歯を失ってしまった場合、その喪失感を埋める治療法として、ブリッジ治療があります。
ブリッジ治療は、両隣の歯を支えにして、人工の歯を橋渡しのように装着することで、歯の機能と見た目を回復する治療法です。
この治療法は、入れ歯やインプラントと並んで、歯の欠損を補う主要な選択肢の一つとなっています。
しかし、ブリッジ治療を選択する際には、費用や種類、メリット・デメリットなど、様々な要素を考慮する必要があります。
そこで、この記事では、ブリッジ治療について、費用、種類、メリット・デメリットなどを詳しく解説します。
ブリッジ治療とは?
ブリッジ治療は、失った歯の両隣の歯を支えにして、人工の歯(ポンティック)を橋渡しのように固定する治療法です。自分の歯に近い色や形で製作されるため、自然な見た目と噛み心地を得られます。
ブリッジ治療のメリット
ブリッジ治療のメリットは多岐に渡り、患者さんの生活の質を向上させる可能性を秘めています。ここでは、それぞれのメリットについてより詳細に解説していきます。
1. 噛む機能の回復
- しっかり噛める: ブリッジは、人工歯を両隣の歯にしっかりと固定するため、入れ歯のようにガタつくことなく、安定した噛み心地を実現します。硬い食べ物や、噛み応えのある食材も、以前と変わらず楽しむことができるでしょう。
- 偏咀嚼の予防: 歯を失ったまま放置すると、噛みやすい方の歯ばかりを使うようになり、偏咀嚼が起こりがちです。ブリッジ治療により、左右バランス良く噛めるようになり、顎への負担を軽減し、顎関節症などのリスクを減らすことができます。
- 消化促進: よく噛むことで消化が促進され、胃腸への負担を軽減できます。消化不良による胃もたれや便秘などのトラブルを防ぎ、健康的な食生活を送るサポートとなります。
2. 自然な見た目
- 審美性の高い素材: ブリッジの素材には、セラミックやジルコニアなど、天然歯に近い色や質感を持つものが使用されます。これらの素材は、光を透過する性質を持つため、人工物特有の不自然な光沢がなく、周囲の歯に自然に馴染みます。
- 歯並びの改善: 歯を失うことで歯並びが乱れ、見た目に影響を与えることがあります。ブリッジ治療は、歯の隙間を埋めることで、美しい歯並びと笑顔を取り戻すことができます。
- 顔貌の維持: 歯は、顔の表情や輪郭を支える役割も担っています。歯を失うことで頬がこけたり、口元がたるんだりすることがありますが、ブリッジ治療によって顔貌のバランスを整え、若々しい印象を保つことができます。
3. 発音の改善
- 明瞭な発音: 歯は、発音にも重要な役割を果たしています。特に前歯や奥歯を失うと、サ行やタ行、カ行などの発音がしづらくなることがあります。ブリッジ治療によって歯並びが整い、舌の動きがスムーズになることで、明瞭な発音を取り戻し、自信を持って会話ができるようになります。
- コミュニケーションの円滑化: 発音が不明瞭だと、相手に意図が伝わりにくく、コミュニケーションに支障をきたす可能性があります。ブリッジ治療は、円滑なコミュニケーションを促進し、社会生活を豊かにする一助となります。
4. 治療期間が短い
- 数回の通院で完了: ブリッジ治療は、インプラント治療のように顎の骨に人工歯根を埋め込む手術が必要ありません。そのため、治療期間が短く、数回の通院で治療を完了することができます。
- 身体への負担が少ない: 外科手術を伴わないため、身体への負担が少なく、体力が心配な方や高齢の方でも安心して治療を受けることができます。
- 日常生活への影響が少ない: 治療期間が短いため、仕事や家事など、日常生活への影響を最小限に抑えることができます。
5. 費用が比較的安い
- 保険適用: ブリッジ治療は、保険適用となる場合があり、インプラント治療と比較して費用を抑えることができます。ただし、使用する素材や治療する歯の本数によって、保険適用外となる場合もあります。
- 経済的な負担の軽減: 保険適用となることで、経済的な負担を軽減し、治療を受けやすくなります。治療費については、事前に歯科医師に相談し、しっかりと確認しておきましょう。
ブリッジ治療のデメリット
ブリッジ治療のデメリットは、患者さんによっては深刻な問題を引き起こす可能性もあります。治療を受けるかどうか判断する際には、メリットだけでなく、これらのデメリットについても十分に理解し、歯科医師とよく相談することが大切です。
1. 健康な歯を削る必要がある
- 歯の寿命への影響: ブリッジを支えるためには、支台歯を大きく削る必要があります。この削る量は、天然歯のエナメル質や象牙質にまで及ぶこともあり、歯の寿命を縮めてしまう可能性があります。
- 神経への影響: 歯を大きく削ることで、神経に近づくため、治療中や治療後に知覚過敏を起こしやすくなります。場合によっては、神経を抜く処置が必要になることもあります。
- 審美性の問題: 支台歯を削ることで、歯の形や色が変化し、審美性が損なわれる可能性があります。特に、前歯を支台歯にする場合は、見た目の変化が目立ちやすいため注意が必要です。
2. 支台歯への負担
- 過剰な負担: ブリッジは、1本の歯にかかるはずの力が、支台歯に集中してかかります。特に、硬いものを噛んだり、歯ぎしりや食いしばりの癖がある場合は、支台歯への負担が大きくなり、歯の破折や脱落のリスクが高まります。
- 歯周病のリスク: 支台歯に過剰な負担がかかると、歯周組織にも影響を与え、歯周病のリスクが高まります。歯周病が進行すると、歯を支える骨が溶け、最終的には歯を失ってしまう可能性もあります。
- 顎関節への影響: 支台歯への負担は、顎関節にも影響を与える可能性があります。顎関節症を引き起こしたり、既存の顎関節症を悪化させたりする可能性もあるため注意が必要です。
3. 清掃が難しい
- 歯ブラシが届きにくい: ブリッジは、人工歯と支台歯が連結されているため、歯ブラシが届きにくい箇所が生じます。特に、ブリッジの下や、人工歯と歯茎の境目は、プラークが溜まりやすく、丁寧に清掃する必要があります。
- デンタルフロスの使用: 通常のデンタルフロスは、ブリッジの下を通すことができません。ブリッジ専用のフロスや、歯間ブラシなどを使い、丁寧に清掃する必要があります。
- 専門的なケアの必要性: ブリッジの清掃は、通常の歯磨きだけでは不十分な場合があります。歯科医院での定期的なクリーニングや、歯科衛生士によるブラッシング指導を受けるなど、専門的なケアを受けることも重要です。
4. 適合が悪くなる可能性
- 支台歯の変形: 時間の経過とともに、支台歯がわずかに変形したり、摩耗したりすることがあります。これにより、ブリッジと支台歯の間に隙間ができ、適合が悪くなる可能性があります。
- ブリッジの劣化: ブリッジ自体も、長年の使用によって劣化し、変形したり、破損したりすることがあります。
- 再治療のリスク: 適合が悪くなったブリッジは、外れやすくなったり、隙間から虫歯菌が侵入しやすくなったりします。場合によっては、ブリッジを作り直すなどの再治療が必要になることもあります。
5. 治療できない場合がある
- 支台歯の状態: 支台歯となる歯が、虫歯や歯周病にかかっている場合、ブリッジ治療を行うことができません。支台歯が 弱くぐらついている場合も、ブリッジを支えることができないため、治療が難しい場合があります。
- 欠損歯の本数: 複数の歯が連続して欠損している場合、ブリッジを支えるだけの十分な支台歯を確保できないため、治療ができないことがあります。
- 顎の骨の状態: 顎の骨が薄い、または量が 不十分な場合、ブリッジを支えることができないため、治療が難しい場合があります。
ブリッジ治療は、これらのデメリットを理解した上で、慎重に検討する必要があります。歯科医師とよく相談し、ご自身の口腔内の状態や生活習慣に合った治療法を選択しましょう。
ブリッジ治療の種類
ブリッジの種類は、主に以下の2つに分けられます。
- 固定式ブリッジ:
- 最も一般的なブリッジです。
- 両隣の歯を削り、土台を作って人工歯を固定します。
- 素材は、金属、セラミック、ハイブリッドセラミックなどがあります。
- 強度が高く、安定性に優れています。
- 接着性ブリッジ:
- 支えとなる歯の裏側に、接着剤で人工歯を固定する方法です。
- 歯を削る量が少なく、健康な歯への負担を最小限に抑えられます。
- 費用も比較的安価です。
- ただし、固定式ブリッジに比べて強度が弱く、耐久性が低いというデメリットがあります。
ブリッジ治療の流れ
ブリッジ治療の流れは、患者さんの口腔内の状態や治療計画によって多少異なりますが、基本的には以下の流れで進みます。
1. 初診・検査
- 問診: 現在の症状、治療に対する希望、過去の病歴やアレルギーの有無などについて詳しくお話を伺います。
- 視診: 口腔内を視診し、歯や歯茎の状態、欠損している歯の本数や位置、噛み合わせなどを確認します。
- レントゲン撮影: 歯や顎の骨の状態を詳しく調べるために、レントゲン撮影を行います。パノラマレントゲンやデンタルレントゲンなどを撮影し、虫歯や歯周病の有無、顎の骨の量や密度などを確認します。
- 歯周病検査: 歯周ポケットの深さや歯茎の炎症の程度などを測定し、歯周病の有無や進行度合いを調べます。
- 治療計画の説明: 検査結果をもとに、ブリッジ治療が可能かどうか、治療に適したブリッジの種類や素材、治療期間や費用、注意点などを詳しく説明します。患者さんのご希望も伺いながら、最適な治療計画を立案します。
2. 支台歯の形成
- 麻酔: 支台歯を削る際には、痛みを感じないように局所麻酔を行います。
- 歯を削る: ブリッジを装着するためのスペースを確保し、ブリッジを安定させるために、支台歯を削ります。削る量は、ブリッジの種類や素材、歯の状態によって異なります。
- 神経への配慮: 歯を削る際には、神経に近づきすぎないように注意深く行います。必要があれば、神経を保護するための処置を行います。
- 支台歯の印象: 削った支台歯の形を正確に記録するために、印象材を使って型取りを行います。
3. 仮歯の装着
- 仮歯の作製: 支台歯を保護し、見た目や機能を一時的に補うために、仮歯を作製します。
- 仮歯の調整: 仮歯を装着し、噛み合わせや形などを調整します。
- 注意点の説明: 仮歯は、あくまで一時的なものであるため、硬いものを噛んだり、強い力が加わったりすると破損する可能性があります。注意点などを詳しく説明します。
4. ブリッジの製作
- 歯科技工所への指示: 歯科医師が、歯科技工士にブリッジの製作を依頼します。患者さんの歯の色や形、噛み合わせなどを詳しく伝え、精密なブリッジを作製してもらいます。
- ブリッジの製作: 歯科技工士は、指示書や印象をもとに、ブリッジを製作します。セラミックや金属などの素材を、患者さんの口腔内に合わせて丁寧に加工し、ブリッジの形を整えます。
5. ブリッジの装着
- 仮歯の除去: 仮歯を取り外し、支台歯を清掃します。
- ブリッジの試適: 完成したブリッジを口腔内に試適し、色、形、噛み合わせなどを確認します。
- ブリッジの接着: 問題がなければ、専用の接着剤を使ってブリッジを支台歯にしっかりと固定します。
- 噛み合わせの調整: ブリッジ装着後、噛み合わせを微調整し、違和感がないようにします。
6. 調整
- 経過観察: ブリッジ装着後、数日~数週間後に再度来院していただき、噛み合わせや歯茎の状態などを確認します。
- 調整: 必要があれば、噛み合わせの調整やブリッジの修正などを行います。
- 清掃指導: ブリッジを長持ちさせるためには、毎日の丁寧なブラッシングが重要です。歯科衛生士が、ブリッジの清掃方法や注意点などを詳しく指導します。
7. メインテナンス
- 定期検診: ブリッジの状態や口腔内の健康を維持するために、定期的な歯科検診を受けましょう。
- 専門的なケア: 歯科医院では、ブリッジの清掃や噛み合わせのチェック、歯周病の予防など、専門的なケアを受けることができます。
- 早期発見・早期治療: 定期検診を受けることで、虫歯や歯周病、ブリッジの破損などを早期に発見し、早期に治療することができます。
ブリッジ治療は、これらのステップを経て完了します。治療を受ける際には、各ステップの内容や注意点などを理解し、積極的に歯科医師に質問するなどして、安心して治療を進めていきましょう。
ブリッジ治療後の注意点
- 毎日の歯磨き: ブリッジと歯ぐきの間は、歯ブラシが届きにくく、汚れが溜まりやすい場所です。歯間ブラシやデンタルフロスを併用し、丁寧に清掃しましょう。
- 定期的な検診: 定期的に歯科医院を受診し、ブリッジの状態をチェックしてもらいましょう。
- 食生活: 硬いものを噛むと、ブリッジに負担がかかり、破損する可能性があります。なるべく避けるようにしましょう。
ブリッジ治療の費用について
1. 保険適用のブリッジ
- 基本的な費用: 1歯欠損あたり約15,000~20,000円が目安となります。実際には下記のような費用が加算されます。
- 加算される要素:
- 部位: 前歯と奥歯では費用が異なる場合があります。
- 支台歯の状態: 支台歯に虫歯や歯周病がある場合は、その治療費が別途かかります。
- 根管治療の有無: 支台歯に根管治療が必要な場合は、その費用が加算されます。
- 医療機関: 医療機関によって費用設定が異なる場合があります。
2. 自費診療のブリッジ
- 費用の範囲: 1歯あたり約50,000円~150,000円が目安ですが、素材や技術料、医療機関によって大きく変動します。
- 素材別の費用:
- セラミック: 最も一般的な素材で、天然歯に近い色調と透明感があります。
- 費用:約50,000円~100,000円/1歯
- 種類:オールセラミック、メタルボンドセラミックなど
- ジルコニア: 強度が高く、耐久性に優れています。
- 費用:約80,000円~150,000円/1歯
- 種類:オールジルコニア、ジルコニアボンドセラミックなど
- ハイブリッドセラミック: セラミックとレジンを混合した素材で、費用を抑えられます。
- 費用:約30,000円~80,000円/1歯
- セラミック: 最も一般的な素材で、天然歯に近い色調と透明感があります。
まとめ
この記事では、ブリッジ治療について、費用、種類、メリット・デメリットを詳しく解説してきました。ブリッジ治療は、歯を失った際の治療法として、多くのメリットを持つ一方、健康な歯を削る必要があるなど、デメリットも存在します。
治療を受ける際には、ご自身の口腔内の状態や生活習慣、そして費用などを考慮し、歯科医師とよく相談した上で、最適な治療法を選択することが重要です。
ブリッジ治療は、適切なケアを行うことで、長期間にわたって快適な口腔内環境を維持することができます。毎日の丁寧なブラッシングはもちろんのこと、定期的な歯科検診を受けるなど、メンテナンスをしっかりと行いましょう。
この記事が、ブリッジ治療を検討されている方の参考になれば幸いです。
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