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歯科医が教える入れ歯(義歯)が壊れた時の正しい対処法

歯科医が教える入れ歯(義歯)が壊れた時の正しい対処法

入れ歯は、歯を失った方の生活の質を大きく向上させる、大切なものです。

しかし、毎日使っていると、どうしても破損してしまうことがあります。

「あっ、入れ歯が壊れた!」

そんな時、慌てていませんか? 実は、入れ歯の破損に対する適切な対処を知っているかどうかで、その後の快適さ、そして治療の難易度まで変わってくるのです。

このガイドでは、歯科医師の視点から、入れ歯が壊れた時の正しい対処法を分かりやすく解説します。

ご自身やご家族の入れ歯トラブルに備え、ぜひ最後までお読みください。

目次

1. 壊れた状況と種類を確認

入れ歯が壊れてしまった時は、落ち着いて状況を把握することが大切です。 詳しい情報があれば、歯科医師がより適切な対応をすることができます。

1. 入れ歯の種類

  • 部分入れ歯
    • 留め金の種類: クラスプ(バネ)には様々な種類があります。
      • 金属クラスプ:
        • エーカースクラスプ: 最も一般的なタイプ。
        • ワイヤークラスプ: 細い針金状のクラスプ。
        • Iバークラスプ: 歯の側面に沿って固定する目立ちにくいクラスプ。
        • ダブルエーカースクラスプ: 2本の腕を持つクラスプ。
      • レジン: 歯の色に近い色のクラスプ。審美性に優れる。
      • ナイロン: 弾力性があり、装着感が良い。
    • 床の材質:
      • レジン: 一般的なプラスチック素材。
      • 金属: 薄くて丈夫な金属素材。
      • ノンクラスプデンチャー: 金属のバネを使わない入れ歯。
  • 総入れ歯
    • 床の材質:
      • レジン: 一般的なプラスチック素材。
      • 金属: 薄くて丈夫な金属素材。
        • チタン: 軽量で生体親和性が高い。
        • コバルトクロム: 強度が高く、変形しにくい。
        • : 高価だが、生体親和性が高く、腐食しにくい。
    • 人工歯の材質:
      • レジン: 一般的なプラスチック素材。
      • セラミック: 自然な色合いで、耐久性が高い。

2. 破損個所

  • 人工歯:
    • 破損:
      • 欠け: 一部が欠けている。
      • 割れ: ひびが入っている、または完全に割れている。
      • 摩耗: 長年の使用で表面がすり減っている。
    • 脱落: 人工歯が床から外れている。
    • ぐらつき: 人工歯がぐらついている。
  • :
    • 破損:
      • 割れ: ひびが入っている、または完全に割れている。
      • 穴: 床に穴が開いている。
      • 変形: 床が歪んでいる、曲がっている。
    • 変色: 床の色が変わっている。
    • ざらつき: 床の表面がざらざらしている。
  • クラスプ (バネ):
    • 破損:
      • 変形: 曲がっている、または折れている。
      • 破断: 完全に折れている。
    • 脱落: クラスプが床または人工歯から外れている。
    • 緩み: クラスプが緩んで、歯にしっかり固定されなくなっている。
  • 連結部分:
    • 破損: 部分入れ歯を連結している部分が破損している。
    • 脱落: 連結部分が外れている。

3. 破損原因

  • 落下:
    • 高いところから落とした。
    • 硬い床に落とした。
    • 洗面台に落とした際に、水道の蛇口にぶつけた。
  • 強い力:
    • 硬いものを噛んだ (例: 氷、ナッツ、骨)。
    • 歯ぎしり、食いしばり。
    • 入れ歯を無理に外そうとした。
  • 経年劣化:
    • 長期間の使用による材料の劣化。
    • 繰り返し行う着脱による摩耗。
  • :
    • 熱湯消毒。
    • 熱い食べ物。
  • 不適切な扱い:
    • 強い力で曲げた。
    • 入れ歯洗浄剤の誤った使用 (例: 指定された時間以上の浸け置き)。
    • 研磨剤入りの歯磨き粉での清掃。
  • 口腔内の変化:
    • 歯ぐきの痩せ。
    • 顎の骨の変化。
    • 残っている歯の移動。

これらの情報をできるだけ詳しく歯科医師に伝えることで、より適切な診断と治療を受けることができます。

2. 自己修理は厳禁

入れ歯の自己修理がいかに危険で、避けるべき行為なのか、より具体的に解説することで、その重要性を深く理解していただけるかと思います。

1. 接着剤の危険性

  • 接着強度不足: 口腔内は、食事、会話、唾液などにより、常に湿潤状態にあり、温度変化も激しい場所です。この過酷な環境下では、市販の接着剤では十分な接着強度を得ることが難しく、せっかく修理しても、すぐに剥がれてしまう可能性が高いのです。
    • 例えば、食事中に接着部分が外れてしまい、誤って飲み込んでしまう危険性も考えられます。
  • 有害物質の溶出: 市販の接着剤には、人体に有害な有機溶剤や重金属などが含まれている場合があります。これらの物質が唾液に溶け出し、体内に吸収されることで、アレルギー反応や健康被害を引き起こすリスクがあります。
    • 特に、エポキシ樹脂系の接着剤は、アレルギー反応を引き起こす可能性が高く、注意が必要です。
  • 変色・変形: 接着剤によっては、入れ歯の材質と化学反応を起こし、変色や変形を引き起こす可能性があります。
    • 例えば、シアノアクリレート系の接着剤は、入れ歯を白く濁らせることがあります。
  • 再治療の妨げ: 自己修理に使用した接着剤は、歯科医院で専門的な修理を行う際に、大きな妨げとなります。
    • 接着剤が硬化してしまうと、歯科医師が入れ歯本来の材質を傷つけずに除去することが難しく、再治療に余計な時間と費用がかかってしまうケースも少なくありません。
    • また、接着剤の種類によっては、歯科医院で使用する材料との相性が悪く、接着強度が低下する可能性もあります。

2. 噛み合わせへの悪影響

  • 顎関節症: 自己修理によって噛み合わせがわずかでもずれてしまうと、顎関節に過剰な負担がかかり、顎関節症を引き起こすリスクが高まります。
    • 顎関節症は、口を開け閉めする際の痛みや違和感、顎の関節から音がする、口が開きにくいなどの症状を引き起こし、日常生活に支障をきたすこともあります。
    • また、顎関節症は、頭痛、肩こり、めまいなどを引き起こす原因となることもあります。
  • 残存歯への負担: 噛み合わせのバランスが崩れると、残っている歯に過剰な力が集中し、歯周病を悪化させたり、歯の寿命を縮めたりする可能性があります。
    • 歯周病は、歯ぐきの炎症や歯を支える骨の破壊を引き起こし、最終的には歯を失う原因となる病気です。
    • また、噛み合わせのずれによって、歯が割れたり、欠けたりするリスクも高まります。
  • 咀嚼効率の低下: 噛み合わせがずれると、食べ物を効率よく噛み砕くことができなくなり、消化不良や胃腸への負担増加につながります。
    • 特に、硬いものが噛みにくくなり、食事の楽しみが減ってしまうこともあります。
  • 発音への影響: 噛み合わせは、発音にも大きく関わっています。噛み合わせのずれによって、特定の音を発音しにくくなったり、発音が不明瞭になったりする可能性があります。

3. 口腔内の健康への影響

  • 細菌の繁殖: 接着剤の隙間や、ずれた噛み合わせによってできた隙間に、食べカスやプラーク(歯垢)が溜まりやすくなります。
    • これらの汚れは、細菌の温床となり、虫歯や歯周病、口臭などの原因となります。
  • 歯ぐきの炎症: 噛み合わせのずれや、不適切な材料の使用によって、歯ぐきが傷ついたり、刺激を受けたりすることで、炎症が起こりやすくなります。
    • 歯ぐきの炎症は、痛みや腫れ、出血などの症状を引き起こし、放置すると歯周病に進行する可能性もあります。
  • 口内炎: 接着剤や修理に使用した材料が、口腔内の粘膜を刺激し、口内炎を引き起こすことがあります。
    • 口内炎は、食事や会話の際に痛みを伴い、日常生活に支障をきたすこともあります。

4. 歯科医師や歯科技工士による修理の重要性

入れ歯は、一人ひとりの口腔内の状態に合わせて精密に作製された、オーダーメイドの医療機器です。そのため、破損した入れ歯を適切に修理するには、専門的な知識と技術、そして専用の器具や材料が必要です。

歯科医師は、口腔内を診察し、入れ歯の破損状態を正確に診断した上で、最適な修理方法を選択します。また、噛み合わせの調整を行い、口腔内の健康を維持できるようサポートします。

  • 歯科医院で行う修理:
    • 専門的な器具や材料を用いた、精度の高い修理
    • 噛み合わせの調整
    • 口腔内の健康状態のチェック
    • 入れ歯のケア方法に関するアドバイス

3. 入れ歯の適切な保管

入れ歯を長持ちさせ、快適に使い続けるためには、毎日の適切な保管が欠かせません。
ここでは、入れ歯の正しい保管方法について、詳しく解説します。

1. なぜ適切な保管が必要なのか?

  • 材質の特性: 入れ歯の床に広く使われているレジン(アクリル樹脂)は、水分を含んだ状態が安定しています。乾燥すると、水分が失われて収縮し、変形やひび割れの原因となります。
    • 特に、薄く作られている部分入れ歯や、強度を必要とする総入れ歯の床は、乾燥による影響を受けやすいです。
    • また、金属床の入れ歯でも、人工歯の部分はレジンでできているため、乾燥に注意が必要です。
  • 衛生面: 口腔内から外した入れ歯には、目に見えない細菌や食べカス、プラーク(歯垢)が付着しています。
    • これらを放置すると、細菌が繁殖し、口臭や歯周病、口腔カンジダ症などの原因となる可能性があります。
    • また、入れ歯に付着した汚れは、変色や臭いの原因にもなります。
  • 入れ歯の寿命: 適切な保管は、入れ歯の変形や破損を防ぎ、清潔な状態を保つことで、入れ歯の寿命を延ばすことに繋がります。
    • 入れ歯の寿命は、材質や使用状況、お手入れ方法によって異なりますが、一般的には数年から10年程度と言われています。

2. 具体的な保管方法

① 洗浄

  • 流水での洗浄:
    • 入れ歯を外したら、まず流水で丁寧に洗い流し、付着した大きな食べカスや汚れを落とします。
    • この時、入れ歯を落とさないように、洗面器などに水を張って行うと安心です。
  • 入れ歯専用ブラシの使用:
    • 入れ歯専用のブラシは、毛先が柔らかく、細かい部分の汚れを落とすのに適しています。
    • 特に、クラスプ(バネ)の部分や人工歯と床の境目など、汚れが溜まりやすい部分は丁寧にブラッシングしましょう。
    • ナイロン製のブラシは、入れ歯を傷つけにくいのでおすすめです。
  • 歯磨き粉の使用:
    • 歯磨き粉には研磨剤が含まれているものが多く、入れ歯の表面を傷つけてしまう可能性があります。
    • 入れ歯を傷つけると、細菌が付着しやすくなり、変色や臭いの原因にもなるため、使用は控えましょう。
  • 入れ歯洗浄剤の使用:
    • 入れ歯洗浄剤には、除菌効果や消臭効果があり、入れ歯を清潔に保つのに役立ちます。
    • 洗浄剤の種類には、錠剤タイプ、粉末タイプ、液体タイプなどがあります。
    • 製品によって使用方法や効果が異なるため、使用方法をよく読み、指示に従って使用しましょう。
    • 洗浄剤に長時間浸け置きすると、入れ歯を傷める可能性があるので、指定された時間内に留めましょう。
    • 金属床の入れ歯に、塩素系の洗浄剤を使用すると、変色する可能性があるので注意が必要です。

② 保管

  • 水または専用の洗浄液に浸ける:
    • 洗浄後、入れ歯を水または専用の洗浄液に浸して保管します。
    • これは、入れ歯の乾燥を防ぎ、変形やひび割れを予防するためです。
    • 水道水で保管する場合は、毎日新しい水に交換しましょう。
    • 専用の洗浄液を使用する場合は、製品の使用方法に従い、定期的に交換しましょう。
  • 入れ歯ケースの使用:
    • 入れ歯を保管する際は、入れ歯ケースを使用しましょう。
    • 入れ歯ケースは、入れ歯を外部からの衝撃や埃から守り、衛生的に保管することができます。
    • また、誤って入れ歯を捨ててしまうなどの事故を防ぐこともできます。
    • 市販の入れ歯ケースには、洗浄剤と併用できるものや、持ち運びに便利なコンパクトなものなど、様々な種類があります。
  • 保管場所:
    • 直射日光や高温多湿の場所を避け、涼しい場所に保管しましょう。
    • 浴室は湿度が高いため、入れ歯の保管場所としては適していません。
    • また、小さなお子さんやペットの手の届かない場所に保管しましょう。

3. その他の注意点

  • 就寝時の取り扱い:
    • 就寝時は入れ歯を外して保管しましょう。
    • 就寝時に装着したままにすると、歯ぐきへの負担が大きくなり、歯ぐきの炎症や歯周病のリスクが高まります。
    • また、唾液の分泌量が減ることで、入れ歯が乾燥しやすくなるため、変形のリスクも高まります。
  • 旅行や外出時:
    • 旅行や外出時にも、入れ歯が乾燥しないように、濡れたティッシュなどに包んで持ち運びましょう。
    • また、携帯用の入れ歯ケースがあると便利です。
  • 定期的なメンテナンス:
    • 定期的に歯科医院で入れ歯の点検やクリーニングを受けましょう。
    • 専門家によるクリーニングは、家庭では落としきれない汚れを落とすことができ、入れ歯を清潔に保つことができます。
    • また、歯ぐきや顎の骨の状態をチェックしてもらい、入れ歯の調整や修理が必要かどうかを判断してもらうことも大切です。

4. 歯科医院での対応

入れ歯の修理方法は、破損の状態や種類、材質によって様々です。大きく分けて以下の様な方法があります。

1. 接着

  • 対象:
    • 人工歯の欠け、割れ
    • 床のひび割れ
    • クラスプの破損(軽度なもの)
  • 方法:
    • 破損部分をきれいに清掃し、乾燥させます。
    • 歯科用接着剤を塗布し、破損部分を接着します。
    • 接着剤が硬化するまで、一定時間固定します。
    • 必要に応じて、研磨や調整を行います。
  • 使用する接着剤:
    • レジン系接着剤: レジン製の入れ歯に用いられます。
    • セメント系接着剤: 金属床の入れ歯に用いられます。
  • メリット:
    • 比較的簡単な修理で、短時間で完了する場合が多い。
    • 費用が安い。
  • デメリット:
    • 接着強度が弱く、再破損の可能性がある。
    • 接着剤が目立つ場合がある。

2. バネの修理・調整

  • 対象:
    • クラスプの変形
    • クラスプの破損
    • クラスプの脱落
    • クラスプの緩み
  • 方法:
    • 変形したクラスプを、専用の器具を使って元の形に戻します。
    • 破損したクラスプは、新しいものと交換します。
    • 緩んだクラスプは、締めたり、調整したりします。
    • 必要に応じて、溶接やレーザー溶接を行います。
  • メリット:
    • 入れ歯の維持力を回復させることができる。
  • デメリット:
    • クラスプの種類や破損状況によっては、修理が難しい場合がある。
    • 費用が高い場合がある。

3. 床の修理

  • 対象:
    • 床のひび割れ
    • 床の破損
    • 床の穴
    • 床の変形
  • 方法:
    • ひび割れや破損部分を、レジンや金属などの材料で補修します。
    • 穴が開いている場合は、レジンなどで埋めます。
    • 変形している場合は、加熱して変形を修正します。
  • 使用する材料:
    • レジン: レジン製の入れ歯に用いられます。
    • 金属: 金属床の入れ歯に用いられます。
  • メリット:
    • 入れ歯の強度を回復させることができる。
  • デメリット:
    • 修理箇所によっては、見た目が悪くなる場合がある。
    • 費用が高い場合がある。

4. 人工歯の交換

  • 対象:
    • 人工歯の脱落
    • 人工歯の破損
    • 人工歯の摩耗
  • 方法:
    • 脱落したり、破損したりした人工歯を、新しいものと交換します。
    • 人工歯の色や形を、周りの歯に合わせて調整します。
  • メリット:
    • 噛み合わせを回復させることができる。
    • 入れ歯の見た目を改善することができる。
  • デメリット:
    • 人工歯の種類や色によっては、適合するものがすぐに見つからない場合がある。
    • 費用が高い場合がある。

5. 裏装

  • 対象:
    • 歯ぐきの変化による入れ歯の不適合
    • 入れ歯のガタつき
    • 入れ歯による痛み
  • 方法:
    • 入れ歯の裏側に、レジンなどの材料を盛り、歯ぐきにフィットするように調整します。
    • 患者さんの口腔内に合わせて、丁寧に調整を行います。
  • 使用する材料:
    • レジン: 一般的な裏装材。
    • シリコン: 柔らかい素材で、装着感が良い。
  • メリット:
    • 入れ歯の安定性を向上させることができる。
    • 入れ歯による痛みを軽減することができる。
  • デメリット:
    • 裏装材が摩耗したり、変色したりすることがある。
    • 定期的なメンテナンスが必要になる。

6. リベース

  • 対象:
    • 床の変形
    • 床の劣化
    • 歯ぐきの変化による入れ歯の不適合
  • 方法:
    • 入れ歯から人工歯を取り外し、床全体を新しい材料で作り直します。
    • 人工歯を新しい床に再設置します。
  • メリット:
    • 入れ歯の強度や安定性を回復させることができる。
    • 新しい入れ歯を作るよりも費用が安い。
  • デメリット:
    • 新しい入れ歯を作るよりも時間がかかる。
    • 人工歯を再利用するため、人工歯の劣化が進んでいる場合は適さない。

7. その他

  • レーザー溶接:
    • 金属床の入れ歯の破損部分に、レーザーを照射して溶接する方法。
    • 精密な溶接が可能で、仕上がりがきれい。
  • CAD/CAM:
    • コンピュータを使って入れ歯を設計・製作する方法。
    • 精度が高く、短時間で製作できる。
    • 費用が高い。

どの修理方法が適切かは、破損状況、入れ歯の種類、材質、患者さんの希望、費用、治療期間などを考慮して、歯科医師が判断します。 歯科医師とよく相談し、最適な方法を選択しましょう。

5. 入れ歯の寿命

入れ歯の寿命は、残念ながら永久的なものではありません。

「入れ歯は一度作れば一生使える」と思っていませんか?

実際には、様々な要因によって入れ歯の寿命は大きく左右されます。

1. 平均的な寿命

  • 保険適用の入れ歯:
    • 一般的に、3~5年程度と言われています。
    • 使用されているレジンは、強度や耐久性が低い傾向があります。
    • また、保険適用のため、使用できる材料や製作方法に制限があることも、寿命が短くなる要因の一つです。
  • 自費診療の入れ歯:
    • 高品質な材料や高度な技術を用いて作製されるため、5年以上、場合によっては10年以上使用できることもあります。
    • 金属床やセラミック製の入れ歯は、レジン製の入れ歯に比べて、強度や耐久性が高く、寿命が長い傾向があります。
  • 部分入れ歯と総入れ歯:
    • 一般的に、部分入れ歯の方が総入れ歯よりも寿命が短い傾向があります。
    • 部分入れ歯は、残っている歯にバネをかけて固定するため、バネや床に負担がかかりやすく、破損しやすいからです。

2. 入れ歯の寿命を左右する要因

(1) 入れ歯の材質

  • レジン:
    • メリット: 安価、修理しやすい、軽量
    • デメリット: 強度や耐久性が低い、変形しやすい、変色しやすい、吸水性が高い、臭いがつきやすい
    • 種類:
      • 熱硬化性レジン: 強度が高く、変形しにくい。
      • 常温重合レジン: 修理がしやすい。
  • 金属:
    • メリット: 強度や耐久性が高い、薄く作製できる、装着感が良い、熱伝導率が良い
    • デメリット: 高価、修理が難しい、アレルギー反応が起こる可能性がある
    • 種類:
      • チタン: 軽量、生体親和性が高い、耐食性が高い
      • コバルトクロム: 強度が高い、変形しにくい
      • 金: 生体親和性が高い、耐食性が高い、高価
  • セラミック:
    • メリット: 審美性に優れる、汚れや変色に強い、耐摩耗性が高い
    • デメリット: 衝撃に弱く、割れやすい、高価
    • 種類:
      • ジルコニア: 強度が高い、審美性に優れる
      • メタルボンド: 金属のフレームにセラミックを焼き付けたもの

(2) 使用状況

  • 使用頻度: 毎日使用するか、週に数回使用するかなど。
  • 食生活: 硬いもの、粘着性のあるもの、着色しやすいものを頻繁に食べるかなど。
  • 噛み合わせ: 噛み合わせの強さやバランス。
  • お手入れ: 毎日清掃しているか、適切な洗浄剤を使用しているか、正しい保管方法をしているかなど。
  • 口腔内の変化: 歯ぐきの痩せ、顎の骨の吸収、残っている歯の移動など。
  • 生活習慣: 歯ぎしり、食いしばり、喫煙など。

(3) メンテナンス

  • 定期検診の頻度: 年に1回、半年に1回など。
  • 専門家によるクリーニング: 歯科医院で定期的にクリーニングを受けているか。
  • 調整: 入れ歯が合わなくなったら、すぐに調整を受けているか。
  • 修理: 破損したら、すぐに修理を受けているか。

3. 入れ歯を長持ちさせるためのポイント

  • 毎日の丁寧な清掃:
    • 食後や就寝前には必ず入れ歯を清掃しましょう。
    • 入れ歯専用のブラシと洗浄剤を使用し、丁寧に汚れを落としましょう。
    • クラスプや人工歯と床の境目など、汚れが溜まりやすい部分は特に注意して清掃しましょう。
  • 適切な保管:
    • 入れ歯を乾燥させると変形する可能性があるため、水または専用の洗浄液に浸して保管しましょう。
    • 入れ歯ケースを使用し、清潔な場所で保管しましょう。
    • 直射日光や高温多湿の場所を避けましょう。
  • 定期的な歯科検診:
    • 少なくとも年に1回は歯科医院を受診し、入れ歯の状態をチェックしてもらいましょう。
    • 歯ぐきや顎の骨の状態もチェックしてもらい、必要があれば調整や修理を行いましょう。
  • 硬いものを避ける:
    • 硬いものを噛むと、入れ歯に負担がかかり、破損しやすくなるため、なるべく避けましょう。
    • 特に、前歯で硬いものを噛み切ったり、奥歯で硬いものを噛み砕いたりするのは避けましょう。
  • 就寝時は外す:
    • 就寝時は入れ歯を外し、歯ぐきを休ませましょう。
    • 歯ぐきへの負担を軽減することで、歯周病などの予防にもなります。
  • 噛み合わせのチェック:
    • 噛み合わせが悪いと感じたら、歯科医師に相談しましょう。
    • 噛み合わせの調整を行うことで、入れ歯の寿命を延ばすことができます。
  • 生活習慣の改善:
    • 歯ぎしりや食いしばりの癖がある場合は、マウスピースを着用するなどの対策をしましょう。
    • 喫煙は、歯周病のリスクを高めるため、禁煙を心がけましょう。

4. 入れ歯の寿命が近づいているサイン

  • 入れ歯がガタつく
  • 入れ歯が外れやすくなった
  • 噛み合わせが悪くなった
  • 入れ歯が痛む
  • 入れ歯が変色したり、臭いがするようになった
  • 歯ぐきが腫れたり、出血したりする

これらのサインに気づいたら、早めに歯科医院を受診しましょう。

入れ歯の寿命は、様々な要因によって左右されますが、日頃からのケアと定期的なメンテナンスによって、長く快適に使い続けることができます。

まとめ

いかがでしたか?

入れ歯が壊れてしまった時は、決して慌てず、ご自身で修理しようとせず、速やかに歯科医院を受診することが大切です。

正しい知識を持つことで、不適切な対応によるトラブルを防ぎ、入れ歯の寿命を延ばし、快適な入れ歯生活を送ることができます。

この記事が、皆様の入れ歯に関する不安や疑問を解消し、健康な毎日を送るためのお役に立てれば幸いです。

何かご心配なことがございましたら、お気軽に歯科医師にご相談ください。

治療のご予約は下記リンクよりいつでもお取り出来ます。キャンセルや2回目以降の治療予約に関しても行えます。

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御茶ノ水つばめ歯科・矯正歯科
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東京都千代田区神田小川町3丁目8-10メアリヒト御茶ノ水ビル1階
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・都営新宿線 小川町駅、丸の内線 淡路町駅B5 徒歩6分
・東西線 竹橋駅 3a 徒歩10分
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Hasegawa
御茶ノ水つばめ歯科・矯正歯科 院長
御茶ノ水駅と神保町駅の間の場所で歯科医院を経営しています。歯の治療でお困りの方向けに情報を発信しておりますので、参考になれば幸いです。
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