「ズキズキ…ズキズキ…」
夜も眠れないほどの激しい歯の痛み。
もしかして、神経に達するほど虫歯が進行しているのかも…?
「痛いけど、歯医者に行くのは怖いし、もう少し様子を見ようかな…」
そう思っていませんか?
実は、神経に達した虫歯を放置すると、想像以上に恐ろしい結果が待ち受けているかもしれません。
今回は、神経に達した虫歯を放置することで何が起きるのか、その危険性について詳しく解説していきます。
「自分の歯を守るため」、そして「健康な毎日を送るため」に、ぜひ最後まで読んでみてください。
神経に達した虫歯とは?
夜も眠れないほどのズキズキとした歯の痛み。それは、虫歯がかなり進行し、歯の神経にまで達しているサインかもしれません。
虫歯は、口の中にいる虫歯菌が、食べカスに含まれる糖分を分解して酸を作り、その酸によって歯が溶かされる病気です。
初期段階では自覚症状がほとんどありません。しかし、進行するにつれて、冷たいものや甘いものがしみたり、歯に穴が開いたり、そして最終的には神経にまで達し、激しい痛みを引き起こすようになります。
神経に達した虫歯とは?
歯の構造を理解すると、なぜ神経に達すると激しく痛むのかが分かります。
歯は、大きく分けて3つの層で構成されています。
- エナメル質: 歯の最も外側を覆う、人体で最も硬い組織。
- 象牙質: エナメル質の内側にある、骨のような組織。
- 歯髄: 歯の最も内側にある、神経や血管が通っている部分。
虫歯は、エナメル質から始まり、象牙質、そして歯髄へと進行していきます。
そして、虫歯菌が歯髄に侵入し、炎症を起こすと、激しい痛みを感じます。これが「神経に達した虫歯」の状態です。
歯髄には、神経や血管が通っており、歯に栄養を供給し、外部からの刺激を感知する重要な役割を担っています。
この歯髄が炎症を起こすことで、
- ズキズキと脈打つような痛み:炎症によって歯髄内の圧力が高まり、神経を圧迫するため、脈打つような痛みを感じます。
- 温かいものや冷たいもので痛みが強くなる: 炎症を起こした神経は、温度変化に敏感になり、刺激によって痛みが強くなります。
- 何もしていなくても痛む: 炎症がひどい場合、何もしていなくても持続的な痛みを感じることがあります。
- 夜間や明け方に痛みが強くなる: 横になると、歯髄への血流が増加し、炎症が悪化しやすいため、夜間や明け方に痛みが強くなる傾向があります。
といった特徴的な痛みを引き起こします。
虫歯の進行段階
虫歯の進行段階は、一般的にC1~C4に分類されます。
- C1: エナメル質が溶け始めた状態。自覚症状はほとんどありません。
- C2: 象牙質まで溶けた状態。冷たいものや甘いものがしみる。
- C3: 歯髄(神経)まで溶けた状態。激しい痛みがある。
- C4: 歯冠がほとんど溶けて、歯根だけが残った状態。痛みはなくなるが、歯根の先に膿が溜まるなど、深刻な状態。
神経に達した虫歯は、C3に相当します。
放置するとどうなる?
神経に達した虫歯を放置すると、歯髄の炎症が悪化し、歯髄が壊死してしまうことがあります。
歯髄が壊死すると、一時的に痛みは治まりますが、それは決して治癒したわけではありません。
むしろ、虫歯菌は歯根の先まで進み、周囲の骨を溶かし始めます。
さらに放置すると、
- 歯根のう胞: 歯根の先に膿が溜まり、顎の骨を溶かす病気。
- 顎骨炎: 顎の骨に炎症が広がり、腫れや痛み、発熱などを引き起こす病気。
- 敗血症: 細菌が血液に入り込み、全身に炎症が広がる、命に関わる病気。
といった深刻な病気を引き起こす可能性もあります。
早期治療の重要性
神経に達した虫歯は、自然に治ることはありません。
少しでも早く歯科医院を受診し、適切な治療を受けることが大切です。
早期に治療を開始することで、歯を残せる可能性が高くなります。
「もしかして、神経に達しているかも…」と感じたら、我慢せずに、すぐに歯科医院に相談しましょう。
虫歯を放置することの危険性
神経に達した虫歯を放置すると、口の中だけでなく、全身の健康にも深刻な影響を及ぼす可能性があります。
痛みを感じなくなっても、それは治癒したわけではなく、むしろ危険な状態と言えるでしょう。
ここでは、虫歯を放置することの危険性について、さらに詳しく解説していきます。
1. 歯を失う可能性が高くなる
虫歯が神経に達すると、歯髄は炎症を起こし、放置すると壊死してしまいます。
歯髄が壊死すると、痛みは一時的に治まります。これは、神経が死んでしまったために痛みを感じなくなったためです。
しかし、虫歯菌は活動を止めず、歯根の先まで進み、周囲の骨を溶かし始めます。
こうして、
- 歯根膜炎: 歯根と歯槽骨の間にある歯根膜に炎症が起こる病気。
- 根尖性歯周炎: 歯根の先端に炎症が起こり、膿が溜まる病気。
- 歯根嚢胞: 歯根の先に膿が溜まり、顎の骨を溶かす病気。
といった病気を引き起こし、歯根を支える骨が破壊されていきます。
その結果、歯がぐらつき、最終的には抜歯に至るケースも少なくありません。
抜歯に至ると、入れ歯やブリッジ、インプラントなどの治療が必要になり、時間的・経済的な負担も大きくなってしまいます。
2. 全身の健康に悪影響を及ぼす
口の中は、常に細菌でいっぱいです。
虫歯を放置することで、口の中の細菌が増殖し、血液を通して全身に運ばれ、様々な疾患を引き起こす可能性があります。
具体的には、
- 心筋梗塞や脳梗塞: 虫歯菌や歯周病菌が血管に入り込み、血栓を作り、血管を詰まらせることで、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高まります。
- 糖尿病: 歯周病菌が歯茎から入り込み、血糖値をコントロールするインスリンの働きを阻害することで、糖尿病の悪化を招く可能性があります。
- 肺炎: 口の中の細菌が気管に入り込み、肺炎を引き起こすことがあります。特に、高齢者や免疫力が低下している人は注意が必要です。
- 早産: 妊婦の場合、歯周病菌が子宮に侵入し、早産や低体重児出産のリスクを高める可能性があります。
- 腎臓病: 歯周病菌が腎臓に悪影響を及ぼし、腎臓病のリスクを高める可能性があります。
- 関節リウマチ: 歯周病菌が関節に侵入し、関節リウマチを引き起こす、または悪化させる可能性があります。
など、全身の健康に悪影響を及ぼす可能性があるのです。
3. 経済的な負担が増加する
虫歯を放置すればするほど、治療は複雑になり、治療費も高額になる傾向があります。
初期の虫歯であれば、比較的簡単な治療で済みますが、神経に達した虫歯の場合、根管治療が必要になります。
根管治療は、歯の根の中の神経や血管を取り除き、消毒・洗浄する治療法で、複数回の通院が必要となる場合があり、費用も高額になります。
さらに、歯を失ってしまった場合は、入れ歯やインプラントなどの治療が必要になり、さらに高額な費用がかかります。
4. 精神的なストレスになる
虫歯の痛みは、日常生活に支障をきたし、集中力の低下や睡眠不足を引き起こすなど、精神的なストレスになる可能性があります。
また、歯を失うことで、見た目のコンプレックスや食事の楽しみが減るなど、QOL(生活の質)の低下にも繋がります。
会話や食事をためらってしまう、人前で笑うことに抵抗を感じるなど、精神的な負担を抱えてしまう方も少なくありません。
虫歯を放置しないために
虫歯は、早期発見・早期治療が重要です。
少しでも「おかしいな」と感じたら、すぐに歯科医院を受診しましょう。
また、日頃から、
- 正しい歯磨き
- 定期的な歯科検診
- バランスの取れた食生活
- 十分な睡眠
- ストレスを溜めない
などを心がけ、虫歯を予防することが大切です。
治療法について
神経に達した虫歯は、自然治癒することはありません。
放置すると、歯を失うだけでなく、全身の健康にも深刻な影響を及ぼす可能性があるため、一刻も早く歯科医院で適切な治療を受ける必要があります。
ここでは、神経に達した虫歯の治療法について、より詳細に解説していきます。
1. 根管治療
神経に達した虫歯の最も一般的な治療法が「根管治療」です。
根管治療は、歯の根の中にある神経や血管を含む歯髄を取り除き、消毒・洗浄した後、薬剤を詰めて密封する治療法です。
歯髄は、歯の神経や血管が通っている部分で、歯に栄養を供給し、外部からの刺激を感知する役割を担っています。
虫歯が歯髄に達すると、歯髄は細菌に感染し、炎症を起こします。
根管治療では、この感染した歯髄を取り除き、歯根の中をきれいにすることで、細菌の増殖を抑え、歯根の炎症を鎮めることを目的としています。
根管治療のステップ
根管治療は、一般的に以下のステップで行われます。
- 麻酔: 治療中の痛みを軽減するため、局所麻酔を行います。
- 開口: 歯に小さな穴を開け、虫歯に感染した歯髄にアクセスします。
- 歯髄の除去: 専用の器具を用いて、歯髄(神経や血管)を丁寧に取り除きます。
- 根管の洗浄・消毒: 根管と呼ばれる歯の根の中の細い管を、専用の器具や薬剤を用いて洗浄・消毒し、虫歯菌を徹底的に除去します。根管は非常に細く複雑な形をしているため、このステップは根管治療の中でも特に重要で、時間と手間がかかります。
- 根管充填: 洗浄・消毒した根管に、ガッタパーチャと呼ばれるゴム状の材料を詰めて、隙間なく密封します。これにより、細菌が再び根管内に侵入するのを防ぎます。
- 土台形成: 根管治療後、歯はもろくなっているため、被せ物を支えるための土台を形成します。
- 被せ物: 土台の上に、セラミックや金属などの被せ物を装着し、歯の形態や機能を回復させます。
根管治療は、複数回の通院が必要となる場合があり、治療期間も比較的長くなります。
しかし、歯を残すための有効な治療法であり、成功すれば、自分の歯で噛む喜びを取り戻すことができます。
2. 抜歯
虫歯が非常に進行している場合や、根管治療が困難な場合は、抜歯を選択せざるを得ないこともあります。
例えば、
- 歯根が大きく破折している
- 歯周病が進行し、歯を支える骨が大幅に失われている
- 根管治療を繰り返しても症状が改善しない
といった場合には、抜歯が適応となります。
抜歯後は、入れ歯、ブリッジ、インプラントなどの治療法で、失った歯の機能を補うことになります。
3. その他の治療法
- MTAセメント: 近年注目されている治療法の一つに、MTAセメントを用いた治療法があります。MTAセメントは、生体親和性が高く、歯髄の再生を促す効果が期待できる材料です。
- レーザー治療: レーザーを用いて、虫歯菌を殺菌したり、歯髄の炎症を抑えたりする治療法です。
- 覆髄処置: 虫歯が神経に達する直前の段階で行われる治療法です。虫歯を削り取った後、歯髄を保護する薬剤を塗布し、経過観察を行います。
虫歯予防を意識する
「虫歯になってから慌てて歯医者に行く」のではなく、「虫歯にならないように予防する」ことが大切です。
日々の心がけで、虫歯のリスクを大幅に減らすことができます。
ここでは、効果的な虫歯予防法について、詳しく解説していきます。
1. 正しい歯磨き
虫歯予防の基本は、毎日の歯磨きです。
しかし、「ただ歯を磨けば良い」というわけではありません。
正しい方法で、丁寧に歯を磨くことが重要です。
- 歯ブラシの選び方: 自分に合った歯ブラシを選びましょう。毛先が開きすぎている歯ブラシは、歯垢を落とす効率が悪くなります。
- 歯磨き粉の選び方: フッ素配合の歯磨き粉を選びましょう。フッ素には、歯のエナメル質を強化し、虫歯菌の活動を抑制する効果があります。
- 磨き方: 歯ブラシを鉛筆持ちし、小さな円を描くように優しく磨きましょう。歯と歯茎の境目、奥歯の裏側など、磨き残しやすい部分にも注意して磨きましょう。
- 歯ブラシの当て方: 歯ブラシを歯に対して45度の角度で当て、軽く押し当てるようにして磨きましょう。
- 磨く順番: 一定の順番で磨くことで、磨き残しを防ぎましょう。
- 時間: 1回あたり3分以上、できれば5分程度かけて丁寧に磨きましよう。
2. デンタルフロス・歯間ブラシ
歯ブラシだけでは、歯と歯の間の歯垢を完全に取り除くことはできません。
デンタルフロスや歯間ブラシを併用することで、歯垢をより効果的に除去することができます。
- デンタルフロス: 糸状の清掃用具で、歯と歯の間に通して歯垢を取り除きます。
- 歯間ブラシ: ブラシ状の清掃用具で、歯と歯の間の広い部分の歯垢を取り除きます。
3. 食生活の改善
糖分の過剰摂取は、虫歯の大きな原因となります。
甘いものや清涼飲料水などの摂取を控え、バランスの取れた食生活を心がけましょう。
- 間食を控える: だらだらと食べ続けると、口の中が酸性状態になり、虫歯になりやすくなります。間食はできるだけ控え、時間を決めて食べましょう。
- よく噛んで食べる: よく噛んで食べることで、唾液の分泌が促進されます。唾液には、歯の再石灰化を促し、虫歯菌の活動を抑制する効果があります。
- キシリトール: キシリトールは、虫歯菌の活動を抑制する効果のある甘味料です。キシリトール入りのガムやタブレットを摂取することも有効です。
4. 定期的な歯科検診
定期的に歯科医院で検診を受け、歯のクリーニングやフッ素塗布を受けることで、虫歯を予防することができます。
歯科医師や歯科衛生士から、歯磨きの指導や食生活のアドバイスを受けることもできます。
- 検診の頻度: 3ヶ月~半年に1回程度の頻度で検診を受けることをおすすめします。
- 専門家によるクリーニング: 歯石や歯垢は、歯磨きだけでは完全に取り除くことができません。歯科医院で専門家によるクリーニングを受けることで、虫歯や歯周病を予防することができます。
- フッ素塗布: 歯科医院で高濃度のフッ素を塗布することで、歯のエナメル質を強化し、虫歯予防効果を高めることができます。
5. その他
- フッ素洗口: フッ素入りの洗口液でうがいをすることでも、虫歯予防効果が期待できます。
- シーラント: 奥歯の噛み合わせ面にある溝は、虫歯になりやすい部分です。シーラントと呼ばれるプラスチックで溝を塞ぐことで、虫歯を予防することができます。
まとめ
ここまで、神経に達した虫歯の痛み、そして放置することの危険性について詳しく解説してきました。
「虫歯は、歯医者に行けば治る」と思っていませんか?
確かに、初期の虫歯であれば、比較的簡単な治療で済みます。
しかし、神経に達した虫歯を放置すると、治療は複雑になり、歯を失ってしまうリスクも高まります。
さらに、全身の健康にも悪影響を及ぼす可能性があることを、決して忘れてはいけません。
「夜も眠れないほどの歯の痛み」
「冷たいものや温かいものがしみる」
「歯茎が腫れている」
このような症状がある方は、今すぐ歯科医院を受診しましょう。
そして、日頃から正しい歯磨きや食生活の改善、定期的な歯科検診を心がけ、虫歯を予防することが大切です。
あなたの歯は、あなた自身で守るしかありません。
「もう二度とあんな思いはしたくない」
そう思ったら、今日からできることから始めてみませんか?
健康な歯で、笑顔あふれる毎日を送りましょう!
治療のご予約は下記リンクよりいつでもお取り出来ます。キャンセルや2回目以降の治療予約に関しても行えます。
—————————————————————
御茶ノ水つばめ歯科・矯正歯科
〒101-0052
東京都千代田区神田小川町3丁目8-10メアリヒト御茶ノ水ビル1階
TEL:03-6281-7737
・JR御茶ノ水駅 お茶の水橋口改札 徒歩5分
・千代田線 新御茶ノ水駅B3b 徒歩5分
・神保町駅(半蔵門線、都営新宿線、都営三田線)A5 徒歩5分
・都営新宿線 小川町駅、丸の内線 淡路町駅B5 徒歩6分
・東西線 竹橋駅 3a 徒歩10分
—————————————————————