「あれ?この歯、噛むと痛い…」
そう感じたことはありませんか?
普段何気なく行っている「噛む」という動作。
それが痛みを伴うと、食事も会話も楽しめなくなり、日常生活に大きな支障をきたしてしまいます。
実は、噛むと歯が痛む原因は、虫歯や歯周病だけでなく、様々なことが考えられます。
そして、その原因によって適切な対処法も異なります。
「もしかして、ただの疲れかな?」
「そのうち治るだろう…」
そう安易に考えて放置してしまうと、症状が悪化し、治療により多くの時間や費用がかかってしまうことも。
このページでは、 「噛むと歯が痛い」 と感じた時に考えられる原因を詳しく解説し、それぞれの症状に合った対処法をご紹介します。
さらに、日頃からできる予防策も合わせてお伝えしますので、ぜひ最後まで読んで、あなたの大切な歯を守りましょう。
噛むと歯が痛い時に考えられる10個の原因
「噛むと歯が痛い」と感じた時、一体何が原因なのでしょうか?
実は、その痛みを引き起こす原因は多岐に渡ります。
1. 虫歯
- 初期段階: 歯の表面のエナメル質が溶け始め、冷たいものや甘いものがしみる程度。この段階では、噛んでも痛みを感じないことが多いです。
- 中期段階: 象牙質まで虫歯が進行すると、ズキズキとした自発痛や、温かいものがしみる、噛むと痛むといった症状が現れます。
- 末期段階: 虫歯が神経まで達すると、激しい痛みで何もしていなくても痛むようになり、噛むと激痛が走ります。
ポイント: 早期発見・早期治療が重要です。初期段階では自覚症状が少ないため、定期的な歯科検診が大切です。
2. 歯周病
- 歯周病菌が歯ぐきに炎症を起こし、歯周ポケットと呼ばれる歯と歯ぐきの間の溝を深くしていきます。
- 初期段階では歯ぐきの腫れや出血が見られますが、進行すると歯を支える骨を溶かし、歯がぐらつき、噛むと痛みを感じるようになります。
- 最終的には歯が抜け落ちてしまうこともあります。
ポイント: 歯周病は、歯を失う大きな原因の一つです。毎日の丁寧な歯磨きと、定期的な歯科検診で予防しましょう。
3. 歯の破折・ヒビ
- 歯ぎしりや食いしばり、硬いものを噛むなどの衝撃で、歯にヒビが入ったり、破折することがあります。
- 目に見えるヒビだけでなく、肉眼では見えないほどの小さなヒビでも、噛むと痛みを感じることがあります。
- 放置すると、破折部分が大きくなり、歯を失う可能性もあります。
ポイント: 歯ぎしりや食いしばりの癖がある人は、マウスピースの着用を検討しましょう。
4. 歯並び・噛み合わせ
- 歯並びが悪かったり、噛み合わせが悪いと、特定の歯に過度な力がかかり、噛むと痛みを感じることがあります。
- また、噛み合わせの不調和は、顎関節症を引き起こす可能性もあります。
- 顎関節症になると、顎の痛み、口が開きにくい、顎関節から音がするなどの症状が現れます。
ポイント: 矯正治療や噛み合わせの調整で改善できる場合があります。
5. 根尖性歯周炎
- 虫歯が歯の神経まで達し、根の先端に炎症が起こる病気です。
- 噛むとズキズキとした痛み、歯ぐきが腫れる、膿が出るなどの症状が現れます。
- 放置すると、顎の骨にまで炎症が広がり、重症化することがあります。
ポイント: 根管治療が必要になります。早めの治療が大切です。
6. 歯ぎしり・食いしばり
- 寝ている間や日中に無意識に歯をこすり合わせたり、強く噛みしめたりする癖のことです。
- 歯や顎に負担がかかり、歯がすり減ったり、顎関節症、歯の痛みを引き起こすことがあります。
- ストレスや緊張、睡眠障害などが原因となることが多いです。
ポイント: マウスピースの着用や、ストレス解消、生活習慣の見直しなどで改善できる場合があります。
7. 親知らず
- 親知らずが斜めに生えていたり、歯ぐきに埋まっていると、周りの歯を圧迫し、痛みを引き起こすことがあります。
- また、親知らず周辺は歯磨きがしにくいため、虫歯や歯周病になりやすいです。
- 親知らずが原因で、歯並びが悪くなることもあります。
ポイント: 症状に応じて、親知らずの抜歯を検討しましょう。
8. 被せ物・詰め物の不適合
- 被せ物や詰め物が合っていないと、噛み合わせが悪くなり、特定の歯に負担がかかり、痛みが出ることがあります。
- また、隙間があると、そこから虫歯菌が侵入しやすくなります。
- 被せ物や詰め物が古くなって劣化し、適合が悪くなることもあります。
ポイント: 被せ物や詰め物の不適合を感じたら、歯科医院で調整してもらいましょう。
9. 知覚過敏
- 象牙質が露出することで、冷たいものや熱いもの、甘いもの、酸っぱいものがしみる症状です。
- 噛むことでも痛みを感じることがあります。
- 歯周病や歯ぎしり、間違った歯磨きなどが原因で象牙質が露出することがあります。
ポイント: 知覚過敏用の歯磨き粉を使用したり、歯科医院でフッ素塗布などの処置を受けることで改善できる場合があります。
10. 顎関節症
- 顎関節やその周りの筋肉に異常が起こる病気です。
- 噛むと顎関節や周りの筋肉に痛みを感じることがあります。
- 口が開きにくい、顎関節から音がする、顎が外れるなどの症状が現れることもあります。
- ストレスや噛み合わせの悪さ、歯ぎしりなどが原因となることが多いです。
ポイント: マウスピースの着用、薬物療法、理学療法など、症状に合わせた治療法があります。
上記以外にも、副鼻腔炎や神経の異常など、歯以外の原因で噛むと痛みが生じることもあります。
自己判断で原因を特定するのは難しいため、噛むと歯が痛い場合は、早めに歯科医院を受診して相談することをおすすめします。
噛むと歯が痛い! 緊急度別対処法と予防策で痛みから解放されよう
「噛むと歯が痛い」という症状は、日常生活に大きな支障をきたします。
痛みを我慢して放置すると、症状が悪化し、治療により多くの時間や費用がかかってしまうことも。
「噛むと歯が痛い」と感じた時の 緊急度別対処法 と、 痛みを防ぐための予防策 をまとめました。
緊急度【高】 今すぐできる!痛みを和らげる応急処置
「痛くてどうしようもない!」
「一刻も早くこの痛みを鎮めたい!」
そんな時は、以下の応急処置を試してみてください。
1. 患部を刺激から守る
- 痛む歯で噛まない: 食事をする際は、痛む歯を意識して使わないようにしましょう。反対側の歯で噛むように心がけましょう。
- 歯ブラシで強くこすらない: 歯磨きの際、痛む歯をゴシゴシこするのは厳禁です。優しく丁寧にブラッシングしましょう。
- 舌や指で触らない: 痛む歯を触ると、炎症が悪化したり、細菌が入り込んでしまう可能性があります。
2. 痛みを悪化させない食事の工夫
- 硬い食べ物は避ける: せんべいやナッツ、フランスパンなど、硬い食べ物は避け、柔らかいものを選びましょう。
- おすすめ: 豆腐、煮物、うどん、おかゆ、シチュー、ヨーグルトなど
- 食べ物を小さく切って食べる: 大きな塊のまま口に入れると、噛む際に歯に負担がかかり、痛みが増す可能性があります。
- 温度に注意: 熱いものや冷たいものは、痛みを悪化させる可能性があります。
- 熱いものは冷ましてから、冷たいものは常温に戻してから食べましょう。
- 刺激物を避ける: 香辛料の強いものや酸味の強いものは、痛みを刺激することがありますので控えましょう。
3. 患部を冷やして炎症を抑える
- 氷嚢や保冷剤: タオルで包んで、痛む部分に10~15分程度当てましょう。
- 冷却シート: 市販の冷却シートを貼るのも効果的です。
- 冷水でうがい: 冷水で口の中をすすぐことで、一時的に痛みを和らげることができます。
4. うがいで口の中を清潔に
- ぬるま湯: ぬるま湯で優しくうがいをしましょう。
- 食塩水: コップ1杯の水に小さじ半分程度の塩を溶かし、うがいをしましょう。殺菌効果が期待できます。
- お茶: 緑茶や紅茶には、抗菌作用や消炎作用があります。
5. 市販薬で痛みを一時的に抑える
- 鎮痛剤: アセトアミノフェンやイブプロフェンなどの鎮痛剤は、痛みを和らげる効果があります。
- 消炎鎮痛剤: ロキソプロフェンナトリウムなどの消炎鎮痛剤は、痛みと炎症を抑える効果があります。
- 用法・用量を守る: 市販薬を服用する際は、必ず用法・用量を守りましょう。
- 副作用に注意: 市販薬の中には、副作用が出るものもあります。心配な場合は、薬剤師に相談しましょう。
緊急度【中】 根本解決のために!歯科医院を受診しよう
応急処置で痛みを一時的に和らげることができても、 根本的な解決にはなりません。
歯の痛みは、様々な原因で起こるため、自己判断で対処するのは危険です。
できるだけ早く 歯科医院を受診 し、 適切な診断と治療 を受けましょう。
歯科医院でできること
- 原因の特定: レントゲン撮影や視診、触診などを行い、痛みの原因を特定します。
- 適切な治療: 原因に応じて、適切な治療が行われます。
- 虫歯: 詰め物、被せ物、根管治療
- 歯周病: 歯石除去、歯周ポケットの洗浄、投薬、外科手術
- 歯の破折・ヒビ: 詰め物、被せ物、抜歯
- 歯並び・噛み合わせ: 矯正治療、噛み合わせの調整
- 根尖性歯周炎: 根管治療
- 歯ぎしり・食いしばり: マウスピースの装着、生活習慣指導
- 親知らず: 抜歯
- 被せ物・詰め物の不適合: 作り直し
- 専門家によるアドバイス: 歯の健康に関する疑問や不安を解消し、今後の予防策などをアドバイスしてもらえます。
緊急度【低】 今後の痛みを防ぐ!日々のケアで歯を守ろう
歯の痛みを予防するためには、日頃から歯の健康を意識することが大切です。
毎日の積み重ねが、将来の歯の痛みを防ぎます。
歯の健康を守るための予防策
- 毎日の歯磨き: 1日3回、食後3分以内に歯を磨き、歯垢をしっかり落としましょう。
- 歯ブラシだけでなく、デンタルフロスや歯間ブラシも使用しましょう。
- 正しいブラッシング方法を身につけましょう。
- 定期的な歯科検診: 3ヶ月~半年に一度は歯科検診を受け、虫歯や歯周病の早期発見・治療に努めましょう。
- 歯科衛生士によるクリーニングで、歯石除去や歯面清掃を行いましょう。
- 歯ぎしり・食いしばり対策: 就寝時にマウスピースを着用しましょう。
- ストレスを解消し、リラックスできる時間を作ることも大切です。
- バランスの取れた食事: 硬いものばかり食べないように、バランスの取れた食事を心がけましょう。
- カルシウムやビタミンDを積極的に摂取しましょう。
- 口呼吸をしない: 口呼吸は口の中を乾燥させ、細菌が繁殖しやすくなります。鼻呼吸を心がけましょう。
- 禁煙: タバコは、歯周病のリスクを高めます。
- 唾液の分泌を促す: 唾液には、歯を保護する働きがあります。
- よく噛んで食べたり、ガムを噛んだりして、唾液の分泌を促しましょう。
- 水分をこまめに摂取しましょう。
歯の痛みは、放置すると症状が悪化し、治療が複雑になるだけでなく、全身の健康にも影響を及ぼす可能性があります。
少しでも気になる症状があれば、早めに歯科医院を受診し、健康な歯を保ちましょう。
歯が痛い時に行っては行けないこと
歯が痛いときは、一刻も早く痛みから解放されたい気持ちでいっぱいだと思います。しかし、痛みを和らげようと自己流で対処したり、ついやってしまいがちな行動が、実は逆効果になってしまうことも少なくありません。
以下に、歯が痛いときに行ってはいけないことをより詳細にまとめました。ご自身の状況と照らし合わせ、適切な行動をとるように心がけてください。
1. 患部への物理的な刺激
- 触る、押す:
- 痛む歯を指で触ったり、舌で押したりする行為は、一見無害に思えますが、実は患部を刺激し、炎症を悪化させる可能性があります。
- 歯の痛みは、歯髄(歯の神経)の炎症や歯周組織の損傷によって引き起こされます。これらの組織は非常にデリケートで、わずかな刺激でも痛みが増幅することがあります。
- また、指や舌には多くの細菌が付着しており、患部に触れることで細菌感染のリスクを高める可能性も懸念されます。
- 歯磨きでゴシゴシ磨く:
- 歯磨きは口腔衛生を保つ上で重要ですが、歯が痛いときは、患部を強く磨くことは避けましょう。
- 力を入れて磨くと、歯ブラシの毛先が歯茎を傷つけたり、炎症を悪化させる可能性があります。
- 特に、歯周病が原因で歯が痛い場合は、歯茎が腫れて出血しやすくなっているため、優しく丁寧に磨くことが大切です。
- 痛む箇所を避けて磨くか、歯ブラシを柔らかいものに変えたり、歯磨き粉を使わずに水だけで磨くのも良いでしょう。
- 爪楊枝などでつつく:
- 歯と歯の間に詰まった食べカスが気になる場合は、爪楊枝ではなく、デンタルフロスや歯間ブラシを使用しましょう。
- 爪楊枝は先端が尖っているため、歯茎を傷つけやすく、出血や細菌感染のリスクを高めます。
- デンタルフロスや歯間ブラシは、歯と歯の間の汚れを効果的に除去できるだけでなく、歯茎への負担も少ないため、歯周病予防にも役立ちます。
2. 血行促進作用のある行為
- 飲酒:
- アルコールは血管を拡張させる作用があり、血行を促進します。
- 血行が促進されると、患部への血液量が増加し、炎症や腫れ、痛みを悪化させる可能性があります。
- また、アルコールには利尿作用があり、体内の水分を排出してしまうため、脱水症状を引き起こしやすくなります。脱水症状は、唾液の分泌量を減少させ、口内環境を悪化させるため、虫歯や歯周病のリスクを高めます。
- 激しい運動:
- 激しい運動は、心拍数を上昇させ、血行を促進するため、歯の痛みを増幅させる可能性があります。
- 特に、ランニングやジャンプなどの運動は、歯や顎に振動を与え、痛みを悪化させる可能性があります。
- 歯が痛いときは、激しい運動は避け、安静にするようにしましょう。軽いストレッチやヨガなど、体に負担の少ない運動は問題ありません。
- 長時間の入浴:
- 熱いお風呂に長時間浸かることは、血行を促進し、体全体の体温を上昇させるため、歯の痛みを悪化させる可能性があります。
- ぬるめのお湯に短時間浸かるか、シャワーで済ませるようにしましょう。
- また、入浴後は水分補給を忘れずに行い、脱水症状を防ぎましょう。
3. その他
- 喫煙:
- タバコに含まれるニコチンは、血管を収縮させる作用があり、血行を阻害します。
- 血行不良は、歯周組織の回復を遅らせ、歯周病を悪化させる可能性があります。
- また、タバコの煙は、歯茎を刺激し、炎症を悪化させるだけでなく、口内を乾燥させ、細菌が繁殖しやすい環境を作ります。
- 歯の健康のためにも、禁煙を心がけましょう。
- 熱いものや冷たいものを食べる:
- 熱いものや冷たいものは、歯の神経を刺激し、痛みを増す可能性があります。
- 特に、知覚過敏がある場合は、温度刺激によって鋭い痛みを感じることがあります。
- 歯が痛いときは、常温のものを食べるように心がけましょう。
- 甘いものや酸っぱいものを食べる:
- 糖分は、虫歯の原因となる細菌のエサとなり、酸は歯のエナメル質を溶かす作用があります。
- 虫歯が原因で歯が痛い場合は、甘いものや酸っぱいものを控えるようにしましょう。
- また、食後は歯磨きやうがいをして、口内を清潔に保つことが重要です。
- 刺激の強い食べ物:
- 辛いものや硬いものは、患部を刺激し、痛みを悪化させる可能性があります。
- 歯が痛いときは、刺激の少ない、柔らかいものを食べるようにしましょう。
- 例えば、おかゆ、うどん、豆腐、煮物など、消化の良いものがおすすめです。
歯が痛いときは、自己判断で対処せず、早めに歯科医院を受診しましょう。 市販の鎮痛剤は、一時的に痛みを和らげる効果はありますが、根本的な治療にはなりません。 歯科医師による適切な診断と治療を受けることで、痛みを解消し、口腔の健康を取り戻すことができます。