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深い歯周ポケットは治る?自宅ケアと歯医者での治療法を解説

深い歯周ポケットは治る?自宅ケアと歯医者での治療法を解説

「歯医者さんで『歯周ポケットが深い』と言われたけど、一体どういうことだろう?」

「もしかして、歯を失ってしまうの?!」

そう不安に思っていませんか? 歯周ポケットは、歯と歯ぐきの境目にある、まるで小さな溝のようなものです。健康な状態では、この溝は浅く、問題ありません。しかし、歯磨きが不十分だったり、生活習慣が乱れたりすると、歯周病菌が増殖し、歯ぐきが炎症を起こしてしまいます。すると、歯周ポケットはどんどん深くなり、歯を支える骨を溶かし始めるのです。

実は、日本人の成人の約8割が歯周病にかかっていると言われています。そして、歯を失う原因の多くは、虫歯ではなく、この歯周病なのです。

深い歯周ポケットを放置すると、口臭や歯ぐきの腫れ、出血といった症状が現れるだけでなく、歯がぐらついて噛みにくくなったり、最終的には歯を失ってしまうこともあります。さらに、歯周病菌が血管に入り込むことで、糖尿病や心臓病、肺炎などの全身疾患のリスクを高めることも 明らかになってきました。

「でも、深い歯周ポケットって治るの?」

「歯医者さんに行くのは怖い…」

そんな疑問や不安をお持ちのあなたも、ご安心ください。この記事では、深い歯周ポケットの原因や症状、そして、自宅でできるケアから歯医者さんでの専門的な治療法まで、わかりやすく解説していきます。

例えば、毎日の歯磨きで意識すべきポイントや、歯間ブラシ、デンタルフロスの効果的な使い方、歯医者さんで受けられるスケーリングやルートプレーニングといった治療法、さらには、歯周病を予防するための生活習慣の改善方法など、具体的な情報も満載です。

この記事を読めば、深い歯周ポケットに対する理解を深め、適切なケアと治療を受けることができるでしょう。そして、健康な歯ぐきを取り戻し、笑顔で過ごせる毎日を手に入れてください。

目次

歯周ポケットとは

歯周ポケットとは、歯肉溝が病的に深くなった状態を指します。

歯肉溝は、歯と歯肉の境界部に存在する浅い溝であり、健常な状態では深さは1~2mm程度です。この領域は、歯肉上皮が歯面と接着することで形成され、上皮付着と結合組織性付着によって支持されています。

しかし、口腔衛生状態の不良や生活習慣、全身疾患などの要因により、歯周病原性細菌が歯肉溝内に増殖すると、炎症反応が惹起されます。これにより、歯肉組織に腫脹や発赤が生じ、歯肉溝は深化して歯周ポケットへと移行します。

歯周ポケットの深化は、歯周病の進行度を測る重要な指標となります。プロービング検査により、歯周ポケットの深さを測定することで、歯周組織の破壊 extent を評価することができます。

歯周ポケット内は、プラーク(歯垢)や歯石が付着しやすく、歯周病原性細菌の温床となるため、炎症が慢性化しやすくなります。さらに、歯周ポケットが深くなるにつれて、歯ブラシなどのセルフケアによるプラークコントロールが困難となり、歯周組織の破壊が進行します。

歯周組織の破壊が進行すると、歯槽骨の吸収、歯肉の退縮、歯の動揺などが生じ、最終的には歯の喪失に至る可能性があります。

ポイント

  • 歯周ポケットは、歯肉溝が病的に深くなった状態である。
  • 歯周ポケットの深さは、歯周病の進行度を評価する上で重要な指標となる。
  • 歯周ポケット内は、プラークコントロールが困難であり、歯周組織の破壊が進行しやすい。
  • 歯周組織の破壊は、歯槽骨の吸収、歯肉の退縮、歯の動揺などを引き起こし、歯の喪失に至る可能性がある。

歯周ポケットが深くなる原因

歯周ポケットが深くなる原因は多岐に渡り、細菌による炎症を起点として、様々な要因が複雑に絡み合っています。ここでは、それぞれの原因について解説していきます。

1. 細菌による炎症:歯周病菌の増殖と炎症の悪循環

口の中には数百種類もの細菌が生息しており、その中には歯周病を引き起こす歯周病菌も含まれています。歯磨きが不十分だと、これらの細菌が歯と歯ぐきの境目にプラーク(歯垢)として蓄積されます。

プラークは、細菌の塊であり、歯周病菌の温床となります。歯周病菌は、毒素を産生し、歯ぐきに炎症を引き起こします。初期段階では、歯ぐきが赤く腫れたり、出血しやすくなったりといった症状が現れます。

主な歯周病菌としては、

  • Porphyromonas gingivalis(ポルフィロモナス・ジンジバリス): 歯周組織を破壊する酵素を産生し、歯槽骨の吸収を促進します。
  • Tannerella forsythia(タネレラ・フォーサイシア): 強い病原性を持つ菌で、歯周組織の破壊だけでなく、全身疾患との関連も指摘されています。
  • Treponema denticola(トレポネーマ・デンティコラ): らせん状の菌で、歯周ポケットの奥深くまで侵入し、炎症を悪化させます。
  • Aggregatibacter actinomycetemcomitans(アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンス): 若年性歯周炎の原因菌として知られています。

などが挙げられます。

炎症が進行すると、歯ぐきが破壊され、歯周ポケットが深くなっていきます。さらに、プラークが石灰化して歯石になると、歯ブラシでは除去できなくなり、歯周病菌の増殖をさらに促進してしまいます。歯石は、表面が粗いため、さらにプラークが付着しやすくなるという悪循環を生み出します。

2. 全身的な要因:免疫力やホルモンバランスの影響

歯周病の発症や進行には、全身的な要因も大きく関わっています。

  • 糖尿病: 糖尿病は、高血糖状態が続くことで、体の免疫力を低下させます。その結果、歯周病菌への抵抗力が弱まり、歯周病が悪化しやすくなります。また、歯周病によって炎症性物質が体内に放出されることで、インスリンの働きが阻害され、糖尿病の悪化にもつながるという悪循環が生じます。
  • 喫煙: タバコの煙に含まれるニコチンや一酸化炭素は、血管を収縮させ、歯ぐきの血行を悪化させます。その結果、歯ぐきへの酸素供給が不足し、免疫細胞の働きが低下することで、歯周病菌への抵抗力が弱まります。また、喫煙は、歯周組織の治癒を遅らせることも知られています。
  • ストレス: ストレスは、自律神経のバランスを崩し、免疫力を低下させます。また、ストレスによって cortisol(コルチゾール)というホルモンが分泌されますが、cortisol は、炎症を促進する作用があるため、歯周病を悪化させる可能性があります。
  • ホルモンバランス: 女性ホルモンは、歯ぐきの状態に影響を与えることが知られています。妊娠中は、progesterone(プロゲステロン)というホルモンの分泌が増加しますが、progesterone は、歯ぐきの血管を拡張させ、炎症を起こしやすくします。また、更年期には、estrogen(エストロゲン)の分泌が減少することで、歯ぐきの萎縮や乾燥が起こり、歯周病のリスクが高まります。
  • 遺伝: 歯周病になりやすい体質は、遺伝的な影響も受けます。両親ともに歯周病の場合、子供が歯周病になるリスクは高くなります。
  • 栄養不足: ビタミンCやビタミンDなどの栄養素は、歯ぐきの健康維持に重要です。これらの栄養素が不足すると、歯ぐきの抵抗力が弱まり、歯周病になりやすくなります。

3. その他の要因:ブラッシングや噛み合わせなど

  • 不適切なブラッシング: 力任せにゴシゴシ磨いたり、硬い歯ブラシを使用したりすると、歯ぐきを傷つけ、炎症を悪化させる可能性があります。また、歯ブラシの毛先が開いたまま使用すると、プラークを効果的に除去できません。正しいブラッシング方法を身につけ、自分に合った歯ブラシを選ぶことが大切です。
  • 歯ぎしり: 歯ぎしりによって歯や歯ぐきに過剰な力がかかり、歯周組織を破壊することがあります。歯ぎしりの原因としては、ストレスや噛み合わせの異常などが考えられます。マウスピースを装着することで、歯ぎしりによる歯周組織へのダメージを軽減することができます。
  • かみ合わせ: かみ合わせが悪いと、特定の歯に過剰な負担がかかり、歯周病を悪化させることがあります。噛み合わせの調整を行うことで、歯周組織への負担を軽減することができます。
  • 薬の副作用: 一部の薬には、歯ぐきの腫脹や口内乾燥などの副作用があります。服用している薬が歯周病に影響を与える可能性がある場合は、医師や歯科医師に相談しましょう。
  • 不適合な補綴物: 詰め物やかぶせ物などの補綴物が、歯ぐきに合っていないと、プラークが溜まりやすくなり、歯周病のリスクが高まります。

歯周ポケットが深くなる原因は、このように多岐に渡ります。

深い歯周ポケットを防ぐためには、日々の口腔ケアを徹底し、定期的な歯科検診を受けることが重要です。また、生活習慣の改善や全身疾患の管理も、歯周病予防に役立ちます。

深い歯周ポケットのサイン

歯周ポケットは、歯と歯ぐきの境目にある溝のこと。健康な状態では浅い溝ですが、歯周病が進行すると深くなり、様々なサインが現れます。

しかし、これらのサインは初期段階では自覚しにくく、気づかないうちに病状が進行してしまうことも少なくありません。

そこで、今回は深い歯周ポケットのサインを、より詳細に解説し、早期発見・早期治療に役立つ情報をお届けします。

歯ぐきの変化:炎症のサインを見つける

歯ぐきは、歯周ポケットの状態を反映する鏡のようなものです。

  • 歯ぐきの腫れ: 炎症が起こると、毛細血管が拡張し、歯ぐきが赤く腫れてきます。特に、歯間乳頭と呼ばれる歯と歯の間の歯ぐきが腫れやすいです。
    • 健康な状態: 歯ぐきは引き締まっており、ピンク色をしています。
    • 炎症初期: 歯ぐきがわずかに赤みを帯び、腫れてきます。
    • 炎症が進行: 歯ぐきが赤紫色や暗赤色になり、腫れが顕著になります。
  • 歯ぐきからの出血: 歯磨きやフロスを使った際に、歯ぐきから出血しやすくなります。これは、炎症によって歯ぐきが脆くなっているためです。
    • 出血の頻度: 毎日出血する、時々出血する、全く出血しない、などを把握しましょう。
    • 出血の色: 鮮血の場合は歯肉炎、暗赤色の場合は歯周炎の可能性があります。
  • 歯ぐきの退縮: 歯周病が進行すると、歯ぐきが下がり、歯の根元が露出してきます。
    • 歯が長く見える: 歯ぐきが退縮すると、歯が実際よりも長く見えるようになります。
    • 知覚過敏: 歯の根元が露出すると、冷たいものがしみやすくなります。
  • 歯ぐきの形態: 歯ぐきの形や硬さも変化します。
    • 歯間乳頭の変化: 歯間乳頭が丸みを帯びたり、消失したりすることがあります。
    • 歯ぐきの硬さ: 健康な歯ぐきは弾力がありますが、歯周病になるとぶよぶよとした感じになります。
  • 歯ぐきの付着: 歯ぐきと歯の付着が弱くなり、歯周ポケットが深くなります。
    • プロービング: 歯科医院でプローブという器具を用いて、歯周ポケットの深さを測定します。

口臭:歯周病菌が出すガスの影響

口臭は、歯周ポケットに溜まったプラークや歯石から発生する揮発性硫黄化合物(VSC)が主な原因です。

  • VSC: VSC は、腐った卵のような臭いを発します。
  • 口臭の種類: 朝起きた時の口臭、食後の口臭、緊張した時の口臭など、様々な口臭がありますが、歯周病による口臭は持続性があり、特に起床時や空腹時に強くなります。
  • 口臭のチェック: マスクをした際に自分の口臭が気になる、家族や友人から指摘された、などの場合は注意が必要です。

歯の変化:歯周組織の破壊による影響

歯周病が進行すると、歯を支える歯周組織が破壊され、歯に様々な影響が現れます。

  • 歯のぐらつき: 歯周組織が破壊されると、歯を支える力が弱くなり、歯がぐらついてきます。
    • ぐらつきの程度: 初期はわずかなぐらつきですが、進行すると噛むたびに歯が動くようになります。
    • 歯の動揺度: 歯科医院では、歯の動揺度を3段階で評価します。
  • 歯の移動: 歯周組織が破壊されると、歯の位置がずれたり、歯と歯の間に隙間ができたりすることがあります。
    • 歯並びの変化: 歯並びが悪くなったり、噛み合わせが変わったりすることがあります。
    • 食片圧入: 歯と歯の間に食べ物が詰まりやすくなります。
  • 歯の伸長: 歯を支える骨が破壊されると、歯が長くなったように感じることがあります。
    • 噛み合わせの変化: 噛み合わせが高くなったり、違和感を感じたりすることがあります。
  • 歯の脱落: 最終的には、歯が抜け落ちてしまうことがあります。

その他のサイン:見逃しやすい症状

  • 歯ぐきに違和感がある: かゆみを感じたり、歯ぐきがムズムズしたりすることがあります。
  • 冷たいものがしみる: 歯の根元が露出すると、冷たいものがしみやすくなります。
    • 知覚過敏: 歯周病だけでなく、虫歯や歯ぎしりなどでも知覚過敏が起こることがあります。
  • 膿が出る: 歯周ポケットから膿が出る場合があります。
    • 歯肉膿瘍: 歯ぐきに膿が溜まって腫れることがあります。
  • 口の中がネバネバする: プラークが増えると、口の中がネバネバと感じることがあります。
    • 唾液の減少: 唾液には、口の中を清潔に保つ働きがありますが、ストレスや薬の副作用などによって唾液が減少することがあります。
  • 顎の痛み: 歯周病が進行すると、顎の関節に負担がかかり、痛みが出ることがあります。

早期発見・早期治療のために

これらのサインに気づいたら、早めに歯科医院を受診しましょう。

  • 定期検診: 定期的に歯科医院で検診を受け、歯石除去や専門的なクリーニングを受けることが大切です。
  • セルフチェック: 日頃から、鏡を見て歯ぐきの状態をチェックしたり、歯磨きの際に歯ぐきからの出血がないか確認したりする習慣をつけましょう。
  • 家族や友人からの指摘: 口臭を指摘された場合は、歯周病の可能性を疑いましょう。

深い歯周ポケットのサインを理解し、早期発見・早期治療を心がけることで、歯周病の進行を抑制し、健康な歯を守りましょう。

自宅でできるケア

歯周病治療は、歯科医院での専門的なケアと自宅でのセルフケアの両輪で進めることが重要です。

ここでは、自宅でできるケアをさらに掘り下げ、具体的な方法やアイテム、注意点などを詳しく解説していきます。

1. 正しいブラッシング:プラークコントロールの基本

毎日のブラッシングは、歯周病予防の基本中の基本。しかし、多くの人が自己流のブラッシングになっており、磨き残しが多いのが現状です。正しいブラッシング方法をマスターし、プラーク(歯垢)を徹底的に除去しましょう。

1-1. 歯ブラシの選び方:自分に合ったものを

  • 毛先の状態:
    • 毛先が開いた歯ブラシは、プラーク除去効果が低く、歯ぐきを傷つける可能性があります。
    • 1ヶ月を目安に交換しましょう。
    • 毎日使うものなので、複数本をローテーションして使うのもおすすめです。
  • 毛の硬さ:
    • 「硬め」は歯ぐきを傷つけやすく、「柔らかめ」はプラーク除去効果が低い傾向があります。
    • 歯周病予防には、「ふつう」または「やわらかめ」の歯ブラシを選び、力を入れすぎずに磨くのがポイントです。
  • ヘッドの大きさ:
    • 口腔内の大きさに合わせて選びましょう。
    • 一般的に、ヘッドが小さめの歯ブラシの方が、奥歯まで届きやすく、細かい部分も磨きやすいです。
  • グリップ:
    • 握りやすく、滑りにくいものを選びましょう。
  • 素材:
    • ナイロン製の毛が一般的ですが、近年では、PBT(ポリブチレンテレフタレート)など、耐久性や弾力性に優れた素材も登場しています。

1-2. 磨き方:基本をマスター

  • 持ち方:
    • 鉛筆持ちで軽く握り、力を入れすぎないようにしましょう。
    • 力任せに磨くと、歯ぐきを傷つけ、歯周ポケットを悪化させる可能性があります。
  • 角度:
    • 歯と歯ぐきの境目に歯ブラシを45度の角度で当て、歯ブラシを細かく振動させるように動かします。
    • 歯ぐきをマッサージするようなイメージで、優しく丁寧に磨きましょう。
  • 回数と時間:
    • 一箇所につき20回程度、小刻みにブラッシングしましょう。
    • 全体で3分以上かけて、丁寧に磨くことが大切です。
    • タイマーやアプリを活用するのもおすすめです。
  • 磨く順番:
    • 特定の順番を決めて磨くことで、磨き残しを防ぐことができます。
    • 例えば、右上の奥歯の外側から始めて、反時計回りに磨いていく方法などがあります。
  • 部位別の磨き方:
    • 歯の表面: 歯ブラシを横方向に動かして磨きます。
    • 歯の内側: 歯ブラシを縦方向に動かして磨きます。
    • 噛み合わせ面: 歯ブラシを前後方向に動かして磨きます。
  • 仕上げ:
    • ブラッシング後は、口の中をよくすすぎ、歯ブラシをよく洗い、風通しの良い場所で乾燥させましょう。

1-3. ブラッシングのタイミング:食後と就寝前は必ず

  • 毎食後:
    • 食後は、口の中が酸性になり、歯のエナメル質が溶けやすくなっています。
    • 30分以内にブラッシングすることで、虫歯予防にもなります。
  • 就寝前:
    • 就寝中は、唾液の分泌が減り、細菌が繁殖しやすくなるため、寝る前のブラッシングは特に重要です。
    • 歯間ブラシやデンタルフロスも併用し、丁寧にケアしましょう。

2. 補助的な清掃用具:歯ブラシの届かない場所をケア

歯ブラシだけでは、歯と歯の間や歯周ポケットの奥深くまで完全に清掃することは難しいです。補助的な清掃用具を併用し、プラークの取り残しを防ぎましょう。

2-1. 歯間ブラシ:歯間のプラークを効果的に除去

  • 選び方:
    • 歯間ブラシには、SSS~LLまで様々なサイズがあります。
    • 自分の歯間に合ったサイズを選びましょう。
    • 歯間が狭い場合は、SSSやSSサイズから始めましょう。
    • 歯間が広い場合は、LやLLサイズを選びましょう。
    • 歯科医院で、適切なサイズを相談するのもおすすめです。
  • 使い方:
    • 歯間ブラシを歯と歯の間に優しく挿入し、前後に動かしてプラークを除去します。
    • 無理に挿入すると歯ぐきを傷つける可能性があるので、注意が必要です。
    • 出血がある場合は、炎症が起きている可能性があるので、歯科医院を受診しましょう。
  • 種類:
    • I字型: 一般的な歯間ブラシです。
    • L字型: 奥歯の歯間にも使いやすい形状です。
    • ゴムタイプ: 歯ぐきに優しく、初心者の方にもおすすめです。

2-2. デンタルフロス:歯間ブラシが入らない狭い歯間にも

  • 選び方:
    • 糸巻きタイプ: 一般的なデンタルフロスです。
    • フロスホルダー: 糸巻きタイプよりも使いやすく、初心者の方にもおすすめです。
    • ワックスタイプ: 糸にワックスが付いているため、滑りが良く、歯間に挿入しやすいです。
    • ノンワックスタイプ: ワックスタイプよりもプラーク除去効果が高いですが、歯間に引っかかりやすいです。
  • 使い方:
    • 約40cmの長さにフロスを切り取り、両手の中指に巻き付けます。
    • 親指と人差し指でフロスをピンと張り、歯と歯の間に滑り込ませます。
    • 歯の側面に沿わせるように、C字型に巻き付け、上下に動かしてプラークを除去します。
    • すべての歯間を清掃したら、フロスを新しい部分に替えて、次の歯間を清掃します。

2-3. その他の補助清掃用具

  • 舌ブラシ:
    • 舌の表面には、舌苔と呼ばれる白い汚れが付着しています。
    • 舌苔は、口臭の原因となる細菌の温床となるため、舌ブラシで優しく除去しましょう。
  • 歯間ジェット:
    • 水流で歯間を洗浄する器具です。
    • 歯間ブラシやデンタルフロスと併用することで、より効果的にプラークを除去できます。
  • 電動歯ブラシ:
    • 手磨きよりも効率的にプラークを除去できます。
    • 歯周ポケットケアに特化したモードを搭載した電動歯ブラシもあります。

3. 口腔環境の改善:歯周病を予防しやすい環境を作る

口腔環境を整えることも、歯周病予防に大きく貢献します。

3-1. 洗口液:殺菌・抗炎症効果で歯周病菌を抑制

  • 種類:
    • 殺菌剤: 歯周病菌を殺菌し、プラークの生成を抑制します。
      • クロルヘキシジン: 殺菌効果が高く、歯周病予防に広く使用されています。
      • セチルピリジニウム塩化物水和物: クロルヘキシジンよりも刺激が少なく、使いやすいです。
    • 抗炎症剤: 歯ぐきの炎症を抑え、歯周病の進行を抑制します。
      • トラネキサム酸: 歯ぐきからの出血を抑える効果があります。
      • グリチルリチン酸: 抗炎症作用や抗アレルギー作用があります。
  • 使い方:
    • ブラッシング後、適量を口に含んで、20~30秒ほどすすぎましょう。
    • 洗口液は、あくまでも補助的なものなので、ブラッシングをきちんと行うことが大切です。

3-2. 食生活:歯周組織を強くする栄養を

  • 摂取したい栄養素:
    • ビタミンC: コラーゲンの生成を助け、歯ぐきを健康に保ちます。
    • ビタミンD: カルシウムの吸収を助け、歯や骨を強くします。
    • タンパク質: 歯周組織の修復に必要な栄養素です。
  • 積極的に食べたい食品:
    • 野菜: ビタミンCや食物繊維が豊富です。
    • 果物: ビタミンCや抗酸化物質が豊富です。
    • : タンパク質やビタミンDが豊富です。
    • 乳製品: カルシウムやタンパク質が豊富です。
    • 海藻: ミネラルが豊富です。
  • 控えたい食品:
    • 糖分の多い食品: プラークを生成しやすく、歯周病のリスクを高めます。
    • 酸性の食品: 歯のエナメル質を溶かし、虫歯のリスクを高めます。

3-3. 生活習慣:健康的な毎日で歯周病を予防

  • 睡眠:
    • 睡眠不足は、免疫力を低下させ、歯周病のリスクを高めます。
    • 毎日7~8時間の睡眠を心がけましょう。
  • ストレス:
    • ストレスは、免疫力を低下させ、歯周病を悪化させる要因となります。
    • 適度な運動やリフレッシュなどでストレスを解消しましょう。
  • 禁煙:
    • 喫煙は、歯周病を悪化させる最大の要因の一つです。
    • 禁煙することで、歯周病のリスクを大幅に減らすことができます。
  • 定期的な歯科検診:
    • 歯科医院で、歯石除去や専門的なクリーニングを受けましょう。
    • 歯周病の早期発見・早期治療にもつながります。

自宅でのケアを習慣化

これらのセルフケアを毎日継続することで、歯周病の予防・改善効果が期待できます。

「面倒だな」「今日は疲れたからいいや」と思わず、毎日コツコツと続けることが、健康な歯ぐきを維持するための秘訣です。

また、セルフケアの効果を高めるためには、歯科医院での定期的な検診も重要です。専門家によるチェックやクリーニングを受けることで、より効果的に歯周病を予防することができます。

歯医者さんでの治療法

深い歯周ポケットを効果的に治療するには、歯科医院での専門的な治療が不可欠です。ここでは、歯医者さんで受けられる主な治療法について、詳しく解説していきます。

1. 歯周基本治療

歯周病治療の基礎となる治療法です。歯周病の原因となるプラークや歯石を徹底的に除去し、炎症を抑えることで、歯周組織の回復を促します。

  • スケーリング:
    • 専用の器具を用いて、歯面に付着した歯石を除去します。
    • 超音波スケーラーや手用スケーラーなど、様々な器具を使い分けます。
  • ルートプレーニング:
    • 歯根の表面を滑らかにし、歯周病菌の再付着を防ぎます。
    • キュレットと呼ばれる器具を用いて、丁寧に歯根面を清掃します。
  • ブラッシング指導:
    • 正しいブラッシング方法を指導し、自宅でのセルフケアを徹底します。
    • 歯ブラシの選び方、磨き方、ブラッシングのタイミングなどを丁寧に教えます。
  • 生活習慣指導:
    • 食生活や喫煙などの生活習慣が歯周病に与える影響について説明し、改善を促します。

2. 歯周外科治療

歯周基本治療で改善が見られない場合や、重度の歯周病の場合に行われる治療法です。歯ぐきを切開し、歯周ポケットの奥深くまで直接アプローチすることで、より徹底的な治療を行います。

  • フラップ手術:
    • 歯ぐきを切開し、歯根を露出させて、歯石や感染した組織を直接除去します。
    • 歯周ポケットを浅くすることで、プラークコントロールをしやすくします。
  • 再生療法:
    • 歯周組織の再生を促す治療法です。
    • エムドゲインやGTR法など、様々な方法があります。
  • 歯肉切除術:
    • 増殖した歯ぐきを切除し、歯周ポケットを浅くします。

3. その他の治療法

  • レーザー治療:
    • レーザーを用いて、歯周病菌を殺菌したり、歯ぐきの炎症を抑えたりします。
    • 痛みが少なく、治癒が早いというメリットがあります。
  • 薬物療法:
    • 抗菌薬や抗炎症薬などを用いて、歯周病菌の増殖を抑えたり、炎症を抑えたりします。
    • 内服薬、外用薬、歯周ポケット内への注入など、様々な方法があります。

4. 定期的なメンテナンス

歯周病治療後も、定期的なメンテナンスを受けることが重要です。

  • プロフェッショナルクリーニング:
    • 歯科衛生士による専門的なクリーニングを受け、歯石やプラークを除去します。
    • 歯周病の再発予防に効果的です。
  • 定期検診:
    • 定期的に歯科医院を受診し、歯周病の状態をチェックします。
    • 早期発見・早期治療につながります。

治療法の選択

歯周病の治療法は、患者の状態に合わせて選択されます。

  • 歯周病の進行度:
    • 軽度の歯周病であれば、歯周基本治療で改善することが多いです。
    • 重度の歯周病の場合は、歯周外科治療が必要となることもあります。
  • 患者の全身状態:
    • 糖尿病などの全身疾患がある場合は、治療法の選択に注意が必要です。
  • 患者の希望:
    • 費用や治療期間などを考慮して、患者と相談しながら治療法を決定します。

深い歯周ポケットの治療は、歯科医師との連携が不可欠です。 積極的に歯科医院を受診し、適切な治療を受けるようにしましょう。

深い歯周ポケットを放置することのリスク

深い歯周ポケットを放置すると、様々なリスクが生じます。口臭や歯のぐらつきといった口腔内の問題だけでなく、全身の健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。

ここでは、深い歯周ポケットを放置することのリスクについて、詳しく解説していきます。

1. 歯周病の進行と歯の喪失

深い歯周ポケットを放置すると、歯周病菌がさらに増殖し、炎症が進行します。

  • 歯周組織の破壊: 歯周病菌は、歯ぐきだけでなく、歯を支える骨(歯槽骨)も破壊していきます。
  • 歯のぐらつき: 歯槽骨が破壊されると、歯がぐらつき始め、最終的には抜け落ちてしまう可能性があります。
  • 歯の喪失: 歯を失うと、噛む機能が低下し、食事や会話に支障をきたします。また、見た目の問題も生じます。

2. 全身疾患への影響

最近の研究では、歯周病と様々な全身疾患との関連が指摘されています。歯周ポケットに存在する歯周病菌が、血液中に入り込み、全身に運ばれることで、様々な疾患を引き起こす可能性があると考えられています。

  • 心血管疾患:
    • 動脈硬化: 歯周病菌が血管壁に炎症を引き起こし、動脈硬化を促進する可能性があります。
    • 心筋梗塞・脳卒中: 動脈硬化が進行すると、心筋梗塞や脳卒中のリスクが高まります。
  • 糖尿病:
    • 血糖コントロールの悪化: 歯周病菌がインスリンの働きを阻害し、血糖値のコントロールを難しくします。
    • 糖尿病の合併症: 歯周病があると、糖尿病の合併症(網膜症、腎症、神経障害など)のリスクが高まります。
  • 呼吸器疾患:
    • 肺炎: 歯周病菌が気管支や肺に侵入し、肺炎を引き起こす可能性があります。
    • COPD(慢性閉塞性肺疾患): 歯周病は、COPD の発症や悪化に関連している可能性があります。
  • 妊娠合併症:
    • 早産: 歯周病菌が子宮に侵入し、炎症を引き起こすことで、早産のリスクが高まります。
    • 低体重児出産: 早産により、低体重児が生まれる可能性が高まります。
  • その他:
    • 関節リウマチ: 歯周病菌が関節に炎症を引き起こし、関節リウマチを悪化させる可能性があります。
    • アルツハイマー病: 歯周病菌が脳に侵入し、アルツハイマー病の発症に関連している可能性があります。

3. QOL(生活の質)の低下

深い歯周ポケットを放置すると、様々な症状が現れ、日常生活に支障をきたすことがあります。

  • 口臭: 歯周病菌が出すガスによって、口臭が強くなります。
  • 歯ぐきの腫れや出血: 歯ぐきが腫れたり、出血しやすくなったりします。
  • 歯のぐらつき: 歯がぐらつき、噛みにくくなります。
  • 歯の痛み: 歯周病が進行すると、歯が痛むことがあります。
  • 審美的な問題: 歯ぐきが退縮したり、歯が抜けたりすることで、見た目が悪くなります。

これらの症状は、自信喪失やコミュニケーションの妨げになるなど、精神的なストレスにもつながります。

深い歯周ポケットを放置しないために

深い歯周ポケットを放置することは、口腔内だけでなく、全身の健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。

  • 早期発見・早期治療: 早期に発見し、適切な治療を受けることで、歯周病の進行を食い止めることができます。
  • 定期的な歯科検診: 定期的に歯科医院を受診し、歯周病の状態をチェックしましょう。
  • セルフケアの徹底: 正しいブラッシングや歯間ブラシ、デンタルフロスなどを使い、プラークコントロールを徹底しましょう。
  • 生活習慣の改善: 食生活の改善、禁煙、ストレスの軽減など、健康的な生活習慣を心がけましょう。

深い歯周ポケットは、放置せずに、適切なケアと治療を受けることが大切です。

まとめ

ここまで、深い歯周ポケットの原因、症状、そして自宅ケアと歯医者さんでの治療法について詳しく解説してきました。

深い歯周ポケットは、歯周病が進行しているサインであり、放置すると歯を失うだけでなく、全身の健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。

しかし、歯周病は早期に発見し、適切な治療とケアを継続することで、進行を抑制し、健康な状態を維持することができます。

毎日のブラッシング、歯間ブラシやデンタルフロスの使用、そして定期的な歯科検診など、できることから始めてみましょう。

「歯周ポケットが深いと言われた」「歯ぐきから出血する」など、少しでも気になることがあれば、早めに歯科医院を受診し、専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。

健康な歯ぐきと歯を保ち、笑顔で快適な毎日を送りましょう。

治療のご予約は下記リンクよりいつでもお取り出来ます。キャンセルや2回目以降の治療予約に関しても行えます。

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御茶ノ水つばめ歯科・矯正歯科
〒101-0052
東京都千代田区神田小川町3丁目8-10メアリヒト御茶ノ水ビル1階
TEL:03-6281-7737
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・都営新宿線 小川町駅、丸の内線 淡路町駅B5 徒歩6分
・東西線 竹橋駅 3a 徒歩10分
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Hasegawa
御茶ノ水つばめ歯科・矯正歯科 院長
御茶ノ水駅と神保町駅の間の場所で歯科医院を経営しています。歯の治療でお困りの方向けに情報を発信しておりますので、参考になれば幸いです。
深い歯周ポケットは治る?自宅ケアと歯医者での治療法を解説

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