抜歯後、傷口がズキズキと痛むことはありませんか?もしかしたら、それは「ドライソケット」かもしれません。
ドライソケットは、抜歯後に起こる可能性のあるトラブルの一つで、強い痛みや不快感を伴います。
「ドライソケットって聞いたことはあるけど、実際どんな状態なの?」 「どうすれば治るの? 予防法はあるの?」
そんな不安をお持ちのあなたへ。
この記事ではドライソケットの原因や症状、治し方、予防法などを分かりやすく解説していきます。
どうぞ最後までお読みください。
ドライソケットとは
ドライソケットとは、抜歯後の傷口に本来できるはずの血餅(けっぺい)がうまく形成されなかったり、剥がれてしまうことで起こる炎症性疾患です。医学的には「歯槽骨炎」とも呼ばれます。
抜歯を行うと、歯があった部分には空洞ができます。この空洞を「歯槽窩(しそうか)」と言います。通常、抜歯後には歯槽窩から出血が起こり、血液中の成分が凝固して血餅が形成されます。
この血餅は、
- 傷口を保護する
- 細菌の侵入を防ぐ
- 新しい組織の再生を促す
といった重要な役割を担っています。
しかし、何らかの原因で血餅がうまく形成されなかったり、剥がれてしまうと、歯槽骨(歯を支えている骨)がむき出しになってしまいます。
むき出しになった歯槽骨は、外部からの刺激に非常に敏感で、細菌感染を起こしやすくなります。その結果、歯槽骨や周囲の組織に炎症が起こり、激しい痛みや不快感を引き起こすのです。これがドライソケットです。
ドライソケットは、あらゆる抜歯後に起こる可能性がありますが、特に親知らずなどの奥歯の抜歯後、下顎の抜歯後、そして抜歯が困難だった場合に発生しやすい傾向があります。
ドライソケットの特徴
- 抜歯後2~3日以降に痛みが始まる
- ズキズキとした持続的な痛み
- 痛み止めが効きにくい
- 耳やこめかみに広がる痛み
- 口臭
- 味覚異常
- 傷口が白っぽく見える
- 骨が見える
これらの症状が見られる場合は、ドライソケットの可能性がありますので、速やかに歯科医院を受診してください。
ドライソケットの症状
ドライソケットの症状は、抜歯後2~3日以降に現れることが多く、非常に強い痛みを伴うのが特徴です。具体的な症状は以下の通りです。
1. 激しい痛み
- ズキズキとした持続的な痛み: 安静時でも痛みを感じ、脈打つような感覚を伴うこともあります。これは、露出した歯槽骨に神経が直接刺激されるために起こります。
- 痛みの増強: 時間の経過とともに痛みが強くなる傾向があり、夜間や早朝に悪化することが多いです。
- 広範囲の痛み: 耳やこめかみ、顎、首など、抜歯した部位以外にも痛みが広がることがあります。これは、三叉神経と呼ばれる顔の感覚を司る神経が刺激されるためです。
- 刺激による痛みの増悪: 冷たい水や空気、食べ物などが傷口に触れると、激痛が走ることがあります。また、話すことや唾を飲み込む動作でも痛みが増すことがあります。
- 鎮痛剤の効果が薄い: 市販の鎮痛剤では痛みが十分に抑えられないことが多いです。
2. その他の口腔内の症状
- 口臭: 口の中に不快な臭いが漂います。これは、歯槽窩に細菌が繁殖し、腐敗臭を発生させるためです。
- 味覚異常: 味が分かりにくくなったり、metallic taste (金属のような味)を感じることがあります。
- 歯肉の発赤・腫脹: 抜歯した周囲の歯肉が赤く腫れ、炎症を起こしていることがあります。
- 開口障害: 口を大きく開けづらくなることがあります。これは、顎の筋肉が炎症の影響で緊張するためです。
3. 全身症状
- 発熱: まれに発熱を伴う場合があります。これは、細菌感染による炎症反応が全身に及んでいることを示しています。
- 全身倦怠感: 体がだるく、疲れやすくなることがあります。
- リンパ節の腫れ: 顎の下や首のリンパ節が腫れることがあります。
4. 視覚的な特徴
- 血餅の欠如: 抜歯窩に血餅が見られず、骨が露出していることがあります。
- 歯槽窩の炎症: 歯槽窩が赤く腫れていたり、白っぽく変色していることがあります。
- 膿の排出: 歯槽窩から膿が出ていることがあります。これは、感染が進行しているサインです。
これらの症状は、個人差やドライソケットの重症度によって異なります。
注意: 抜歯後には、ある程度の痛みや腫れは一般的です。しかし、上記の症状が強く現れたり、長引く場合は、ドライソケットの可能性があります。自己判断せずに、速やかに歯科医院を受診しましょう。
ドライソケットの原因
ドライソケットは、抜歯後に歯槽窩(しそうか:抜歯後の歯があった部分の空洞)に血餅(けっぺい)がうまく形成されなかったり、剥がれてしまうことで起こります。
血餅は、傷口を保護し、細菌の侵入を防ぎ、新しい組織の再生を促す、抜歯後の治癒に不可欠なものです。
では、なぜ血餅がうまく形成されなかったり、剥がれてしまうのでしょうか?
その原因は多岐に渡り、生活習慣や体質、抜歯の種類など、様々な要因が考えられます。
1. 血餅の形成を阻害する要因
- 口腔内の細菌: 口腔内には多くの細菌が生息しており、抜歯窩に細菌が侵入すると、血餅が感染を起こして溶けてしまうことがあります。
- 歯周病: 歯周病菌は特にドライソケットのリスクを高めるため、歯周病の方は注意が必要です。
- 口腔衛生不良: 日頃から歯磨きが不十分だと、口腔内の細菌数が増え、ドライソケットのリスクが高まります。
- 血行不良: 血行が悪いと、抜歯窩への血液供給が不足し、血餅が形成されにくくなります。
- 喫煙: ニコチンは血管を収縮させる作用があるため、血行不良を引き起こし、血餅の形成を阻害します。また、タバコの煙に含まれる有害物質は、組織の治癒を遅らせ、感染のリスクを高めます。
- 糖尿病: 糖尿病は、末梢血管の血行不良を引き起こすため、ドライソケットのリスクを高めます。
- 高血圧: 高血圧も、血管を硬く狭くするため、血行不良の原因となります。
- 唾液: 唾液には口腔内を清潔に保つ働きがありますが、過度な唾液分泌や頻繁なうがいは、せっかくできた血餅を洗い流してしまうことがあります。
- 唾液腺の疾患: 唾液分泌が多い病気の方も、ドライソケットのリスクが高まる可能性があります。
- 機械的な刺激: 抜歯窩を舌で触ったり、指や歯ブラシでこすったり、硬い食べ物を噛んだりするなどの刺激も、血餅を剥がす原因となります。
- 抜歯窩への異物混入: 食べカスや歯磨き粉などが抜歯窩に入り込むと、血餅の形成を妨げたり、感染のリスクを高める可能性があります。
- 薬剤: 経口避妊薬やステロイド剤など、一部の薬剤は血餅の形成を阻害したり、組織の治癒を遅らせる可能性があります。
2. 血餅を剥がしてしまう要因
- 強いうがい: 強い勢いでうがいをすると、水流によって血餅が剥がれてしまうことがあります。
- 激しい運動: 運動によって血圧が上昇すると、血餅が押し出されることがあります。
- 飲酒: アルコールは血管を拡張させるため、血行が良くなりすぎて血餅が剥がれやすくなることがあります。
- くしゃみや咳: くしゃみや咳などによる振動も、血餅を剥がす原因となります。
- 鼻をかむ: 鼻をかむ際に、口腔内の圧力が上がり、血餅が剥がれることがあります。
3. その他の要因
- 抜歯の種類: 親知らずなど、抜歯が困難な場合は、歯槽骨への負担が大きくなり、ドライソケットのリスクが高まります。また、骨を削るような処置を伴う抜歯も、ドライソケットのリスクを高める可能性があります。
- 麻酔: 局所麻酔薬の中には、血管収縮作用を持つものがあり、血餅の形成を阻害する可能性があります。
- ホルモンバランス: 女性ホルモンは、血餅の形成を阻害する働きがあるため、妊娠中や生理中はドライソケットになりやすいと言われています。
- 栄養状態: ビタミンやミネラルが不足すると、組織の修復が遅れ、ドライソケットのリスクが高まる可能性があります。
- ストレス: ストレスは免疫力を低下させ、感染のリスクを高めるため、ドライソケットのリスクを高める可能性があります。
- 遺伝: ドライソケットになりやすい体質は、遺伝的な影響もあると考えられています。
これらの要因が複合的に作用して、ドライソケットを引き起こすと考えられています。
ドライソケットの治し方・治療期間
ドライソケットの治療は、歯科医院で行うことが原則です。自己判断で市販薬を使用したり、民間療法を試したりすることは避け、必ず歯科医師の診断と指示に従いましょう。
歯科医院での治療
ドライソケットの治療は、主に痛みをコントロールし、感染を防ぎ、治癒を促進することに重点を置きます。
- 歯槽窩の洗浄
- 生理食塩水や消毒薬による洗浄: 歯槽窩に溜まった細菌、食べかす、壊死組織などを丁寧に洗い流します。
- 吸引: 洗浄液や debris(破片)を吸引器で除去します。
- 薬剤の塗布
- 鎮痛剤: 局所麻酔薬や鎮痛作用のある薬剤をガーゼなどに染み込ませて歯槽窩に詰めます。
- 抗生物質: 感染を防ぐために、抗生物質を塗布したり、服用したりすることがあります。
- 消毒薬: ヨード系消毒薬などを用いて、歯槽窩を消毒することがあります。
- ドレッシング材の挿入
- 薬剤含有ドレッシング材: 抗炎症作用や鎮痛作用のある薬剤を含んだドレッシング材を歯槽窩に挿入します。
- 保護材: 歯槽窩を外部の刺激から保護するためのドレッシング材を使用します。
- 止血材: 必要に応じて、止血作用のある薬剤を含んだドレッシング材を使用します。
- レーザー治療
- 炭酸ガスレーザー: 炭酸ガスレーザーを照射することで、痛みを軽減し、治癒を促進、殺菌効果などが期待できます。
- 投薬
- 鎮痛剤: 痛みを抑えるために、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)やアセトアミノフェンなどを処方されることがあります。
- 抗生物質: 感染が疑われる場合や、感染が広がっている場合は、抗生物質を処方されることがあります。
- その他
- 生活指導: 食事、口腔ケア、喫煙、飲酒などに関する指導を受けます。
- 経過観察: 定期的に歯科医院を受診し、治癒状況を確認します。
治療期間
ドライソケットの治療期間は、症状の程度や個人差、治療法、患者の全身状態などによって異なりますが、通常は1~2週間程度で痛みが治まり、治癒に向かいます。
- 軽症の場合: 数回の通院で症状が改善することがあります。
- 重症の場合: 1週間以上、薬剤の交換や洗浄などの治療が必要になることがあります。
- 感染が広がっている場合: 抗生物質の投与や、場合によっては入院治療が必要になることもあります。
家庭でのケア
歯科医院での治療に加えて、家庭でのケアも重要です。医師の指示をしっかり守り、以下の点に注意しましょう。
- 口腔内の清潔: 食後や就寝前には、歯磨きやうがいを丁寧に行い、口腔内を清潔に保ちましょう。ただし、抜歯窩を直接刺激しないように、歯ブラシは抜歯窩に当てないように注意し、うがいは優しく行いましょう。
- 刺激の回避: 抜歯窩を舌で触ったり、指や歯ブラシでこすったりするなどの刺激は避けましょう。また、硬い食べ物や刺激の強い食べ物は避け、抜歯した側の歯で噛まないようにしましょう。
- 食事: 硬い食べ物や刺激の強い食べ物は避け、柔らかく消化の良いものを食べましょう。スープ、ヨーグルト、おかゆ、豆腐などがおすすめです。
- 禁煙: 喫煙は血行不良を引き起こし、治癒を遅らせるため、禁煙することが大切です。
- 飲酒: アルコールも血管を拡張させ、血餅を剥がれやすくするため、飲酒は控えましょう。
- うがい: うがいは、医師の指示に従って行いましょう。強すぎるうがいや頻繁なうがいは、血餅を剥がす原因となります。
- 処方された薬: 医師から処方された薬は、指示通りに服用しましょう。
- 安静: 激しい運動や重労働は避け、十分な睡眠をとりましょう。
ドライソケットは、適切な治療とケアを行うことで、ほとんどの場合、問題なく治癒します。
ドライソケットの予防法
「抜歯なんて初めてで、何をすればいいか分からない…」
そんな方のために、抜歯前・抜歯後の具体的な予防策を、より詳細に解説していきます。
抜歯前
- 口腔内環境を整える
- 歯磨き: 毎食後と就寝前に、歯ブラシとデンタルフロスを使って丁寧に歯磨きを行い、歯垢(プラーク)をしっかり落としましょう。
- 歯石除去: 歯石は歯周病の原因となる細菌の温床となるため、歯科医院で定期的に歯石除去を行いましょう。
- 歯周病治療: 歯周病がある場合は、抜歯前に治療を受けておくことで、口腔内の細菌数を減らし、ドライソケットのリスクを軽減できます。
- うがい: 殺菌効果のあるうがい薬を使用するのも効果的です。ただし、常用すると口腔内の常在菌のバランスを崩す可能性もあるため、歯科医師に相談の上使用しましょう。
- 健康状態を整える
- 糖尿病: 糖尿病は、血行不良や免疫力低下を引き起こし、ドライソケットのリスクを高めるため、血糖値をコントロールしておくことが重要です。
- 高血圧: 高血圧も、血行不良の原因となるため、血圧を適切に管理しましょう。
- 貧血: 貧血は、組織の修復に必要な酸素の運搬能力を低下させるため、貧血の治療も重要です。
- 栄養状態: ビタミンCやタンパク質など、組織の修復に必要な栄養素を十分に摂取しましょう。
- 禁煙
- ニコチン: ニコチンは血管を収縮させる作用があり、血行不良を引き起こし、血餅の形成を阻害します。
- 一酸化炭素: 一酸化炭素は、血液中の酸素運搬能力を低下させ、組織の修復を遅らせます。
- タール: タールには発がん性物質が含まれており、口腔内の細胞にダメージを与え、治癒を遅らせます。
- 禁煙期間: 抜歯の2週間前から禁煙するのが理想ですが、少なくとも抜歯前日からは禁煙しましょう。
- 医師への相談
- 服用中の薬: 経口避妊薬、ステロイド剤、抗凝固剤など、一部の薬剤はドライソケットのリスクを高める可能性があるため、服用中の薬がある場合は、事前に医師に相談しましょう。
- アレルギー: 薬剤やドレッシング材などにアレルギーがある場合は、事前に医師に伝えておきましょう。
抜歯後
- 止血
- ガーゼ: 抜歯後は、歯科医師の指示に従ってガーゼをしっかり噛み、止血しましょう。
- 圧迫: ガーゼを噛む際に、指で抜歯窩を圧迫すると、より効果的に止血できます。
- 時間: 通常は30分~1時間程度で止血しますが、出血が続く場合は、歯科医師に連絡しましょう。
- 安静
- 激しい運動: 激しい運動は血圧を上昇させ、血餅を剥がれやすくするため、抜歯当日は避けましょう。
- 長時間の入浴: 長時間の入浴も血行を促進するため、抜歯当日は避け、シャワーで済ませましょう。
- 睡眠: 十分な睡眠をとり、体力を回復させましょう。
- うがい
- 方法: 医師の指示に従って、優しくうがいをしましょう。
- 回数: 頻繁なうがいは血餅を洗い流してしまうため、医師の指示に従って回数を守りましょう。
- 水圧: 強い水圧でうがいをするのも、血餅を剥がす原因となるため、注意しましょう。
- うがい薬: うがい薬を使用する場合は、医師の指示に従いましょう。
- 口腔ケア
- 歯磨き: 抜歯窩を刺激しないように注意しながら、歯ブラシを使って丁寧に歯磨きを行いましょう。
- 歯間ブラシ: 歯間ブラシやデンタルフロスも使用できますが、抜歯窩周辺は避けましょう。
- 舌: 舌苔(ぜったい)も細菌の温床となるため、舌ブラシで優しく清掃しましょう。
- 食事
- 硬さ: 硬い食べ物や刺激の強い食べ物は避け、柔らかく消化の良いものを食べましょう。
- 温度: 熱いものは刺激となるため、冷ましてから食べましょう。
- 種類: スープ、ヨーグルト、おかゆ、豆腐、ゼリー、プリンなどがおすすめです。
- 噛む: 抜歯した側の歯で噛むのは避けましょう。
- 飲酒
- アルコール: アルコールは血管を拡張させ、血餅を剥がれやすくするため、抜歯後数日は飲酒を控えましょう。
- 量: 少量の飲酒でも、血行を促進するため、注意が必要です。
- 喫煙
- 禁煙期間: 抜歯後1週間は禁煙しましょう。
- 本数: 喫煙本数が多ければ多いほど、ドライソケットのリスクが高まります。
- 受動喫煙: 受動喫煙も、ドライソケットのリスクを高めるため、避けましょう。
- 鼻をかむ
- 方法: 鼻をかむ際は、口腔内の圧力が上がり、血餅が剥がれることがあるため、片方ずつ優しくかみましょう。
- 回数: 頻繁に鼻をかむのも、ドライソケットのリスクを高めるため、注意しましょう。
- くしゃみや咳
- 方法: くしゃみや咳をする際は、口を大きく開けて行い、口腔内の圧力変化を最小限に抑えましょう。
- ハンカチ: くしゃみや咳をする際は、口をハンカチなどで覆い、飛沫感染を防ぎましょう。
- 薬
- 種類: 医師から処方された薬は、指示通りに服用しましょう。
- 飲み忘れ: 薬の飲み忘れは、効果を減弱させるため、注意しましょう。
- 副作用: 薬の副作用が気になる場合は、医師に相談しましょう。
- 定期的な検診
- 目的: 抜歯後の経過観察のために、歯科医院で定期的な検診を受けましょう。
- 頻度: 医師の指示に従って、定期的に検診を受けましょう。
- 症状: 痛みや腫れなど、気になる症状がある場合は、早めに歯科医院を受診しましょう。
- その他
- ドライマウス: 唾液の分泌が少ない方は、ドライマウス対策として、こまめな水分補給や人工唾液、保湿剤の使用を心掛けましょう。
- 女性ホルモン: 女性ホルモンは血餅の形成を阻害する働きがあるため、妊娠中や生理中の抜歯は、できるだけ避けた方が良いでしょう。
- ストレス: ストレスは免疫力を低下させるため、ストレスを溜めないようにリラックスしましょう。
抜歯後のケアについて疑問や不安がある場合は、遠慮なく歯科医師に相談しましょう。
ドライソケットを放置することのリスク
「少しぐらいなら大丈夫だろう…」 「そのうち治るだろう…」
そう安易に考えて放置してしまうと、取り返しのつかないことになるかもしれません。
ドライソケットを放置することで何が起きるのか、具体的なリスクについて詳しく解説していきます。
1. 感染の拡大
- 骨髄炎
- 感染経路: 歯槽骨の炎症が、歯根膜や血管を通じて骨髄にまで広がります。
- 症状: 激しい痛み、腫れ、発熱、倦怠感など。重症化すると、骨の壊死や変形、病的骨折を引き起こすこともあります。
- 治療: 抗生物質の投与、外科的な処置、入院治療が必要になることもあります。
- 予後: 治療が遅れると、後遺症が残る可能性があります。
- 蜂窩織炎
- 感染経路: 歯槽骨周囲の軟部組織、皮下組織、筋肉などに感染が広がります。
- 症状: 患部の赤み、腫れ、熱感、痛み、発熱、悪寒など。重症化すると、呼吸困難や意識障害を引き起こすこともあります。
- 治療: 抗生物質の投与、入院治療が必要になることもあります。
- 予後: 早期に治療すれば、通常は問題なく治癒します。
- 膿瘍
- 感染経路: 歯槽骨周囲に細菌が繁殖し、膿が溜まります。
- 症状: 痛み、腫れ、発熱、圧痛など。
- 治療: 切開排膿、抗生物質の投与など。
- 予後: 適切な治療を行えば、通常は問題なく治癒します。
2. 痛みや不快感の増大
- 慢性的な痛み: 神経が露出した状態が続くため、激しい痛みが慢性化することがあります。
- 日常生活への影響: 食事、会話、睡眠など、日常生活に支障をきたすことがあります。
- 精神的な影響: 慢性的な痛みは、精神的なストレスや不安、抑うつを引き起こす可能性があります。
- 開口障害: 顎の筋肉が炎症の影響で緊張し、口を大きく開けづらくなります。
- 食事: 食事が困難になり、栄養不足に陥る可能性があります。
- 会話: 会話が困難になり、コミュニケーションに支障をきたすことがあります。
- 口腔ケア: 口を大きく開けられないため、歯磨きが不十分になり、口腔内の衛生状態が悪化する可能性があります。
- 摂食障害: 痛みや開口障害によって、食事が困難になり、栄養不足や脱水症状を引き起こす可能性があります。
- 体重減少: 体重が減少し、体力が低下することがあります。
- 免疫力低下: 栄養不足は免疫力を低下させ、感染症にかかりやすくなる可能性があります。
- 睡眠障害: 夜間の痛みが強く、睡眠不足に陥ることがあります。
- 集中力低下: 睡眠不足は、集中力や注意力の低下を引き起こす可能性があります。
- 日中の眠気: 日中に強い眠気を感じ、仕事や学業に支障をきたすことがあります。
- 精神的なストレス: 長引く痛みや不快感、日常生活への支障によって、精神的なストレスを感じることがあります。
- 不安: 将来に対する不安や、症状が悪化するのではないかという不安を感じることがあります。
- 抑うつ: 気分が落ち込み、意欲や興味がなくなることがあります。
3. 治癒の遅延
- 骨の再生阻害: 感染が長引くと、骨の再生に必要な細胞の働きが阻害され、治癒が遅れることがあります。
- 骨形成: 新しい骨が作られにくくなり、歯槽骨の回復が遅れます。
- 治癒期間: 治癒までに時間がかかり、長期間の治療が必要になることがあります。
- 歯槽骨の吸収: 歯槽骨が感染によって破壊され、吸収されることがあります。
- 歯槽骨の高さ: 歯槽骨の高さが減少し、歯茎が痩せて見えることがあります。
- インプラント: 将来、インプラント治療を希望する場合、歯槽骨の吸収が進んでしまうと、インプラントを埋入することが困難になる可能性があります。
- 義歯: 歯槽骨の吸収が進むと、義歯が安定しにくくなることがあります。
- インプラント治療への影響: 将来、インプラント治療を希望する場合、歯槽骨の吸収が進んでしまうと、インプラントを埋入する土台が不足し、治療が困難になる可能性があります。
- 骨移植: インプラント治療を行うためには、骨移植が必要になることがあります。
- 治療期間: 治療期間が長くなり、費用も高額になる可能性があります。
- 治療の成功率: 骨移植を行っても、インプラント治療の成功率が低下する可能性があります。
4. その他のリスク
- 上顎洞炎: 上顎の奥歯を抜歯した場合、ドライソケットが上顎洞(副鼻腔)にまで感染が広がり、上顎洞炎を引き起こすことがあります。
- 症状: 鼻詰まり、鼻水、顔面の痛み、頭痛、発熱など。
- 治療: 抗生物質の投与、副鼻腔洗浄など。
- 神経麻痺: まれに、感染が神経にまで及ぶことで、神経麻痺を引き起こすことがあります。
- 三叉神経: 顔面の感覚を司る三叉神経が麻痺すると、顔面のしびれや麻痺、味覚障害などが起こることがあります。
- 顔面神経: 顔の表情筋を司る顔面神経が麻痺すると、顔面麻痺が起こることがあります。
- 敗血症: 感染が血液を通じて全身に広がり、敗血症を引き起こす可能性があります。敗血症は、命に関わる重篤な感染症です。
- 症状: 高熱、悪寒、意識障害、ショック症状など。
- 治療: 集中治療、抗生物質の投与など。
これらのリスクを避けるためにも、ドライソケットの症状が見られる場合は、放置せずに速やかに歯科医院を受診し、適切な治療を受けることが重要です。
早期治療の重要性
ドライソケットは、早期に治療を開始することで、ほとんどの場合、問題なく治癒します。
早期に治療を受けることで、
- 痛みを軽減できる
- 感染の拡大を防げる
- 治癒を促進できる
- 合併症のリスクを減らせる
- 治療期間を短縮できる
- 治療費用を抑えられる
などのメリットがあります。
少しでもドライソケットの疑いがある場合は、自己判断せずに、すぐに歯科医院を受診しましょう。
まとめ
今回は、抜歯後に起こる可能性のある「ドライソケット」について詳しく解説しました。
ドライソケットは、抜歯後の傷口に血餅がうまく作られなかったり、剥がれてしまうことで、歯槽骨が露出してしまい、強い痛みや炎症を引き起こすものです。
主な原因としては、
- 口腔内の不衛生
- 喫煙
- 激しいうがい
- 抜歯窩への刺激
などが挙げられます。
ドライソケットを予防するためには、抜歯前後の口腔ケアを徹底し、医師の指示をしっかり守ることが重要です。
もし、抜歯後に強い痛みや口臭などの症状が現れた場合は、放置せずに早めに歯科医院を受診しましょう。
適切な治療を受けることで、ほとんどの場合、ドライソケットは問題なく治癒します。
この記事が、ドライソケットに対する不安の解消に役立ち、少しでも安心して抜歯に臨めるようになれば幸いです。
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