「インプラント治療を受けた後は、もう安心!」と思っていませんか?
実は、インプラントを長持ちさせるためには、治療後からの適切なケアが非常に重要です。
天然歯と違い、インプラントは人工物。 そのため、虫歯になることはありませんが、歯周病のような症状「インプラント周囲炎」にかかるリスクがあります。
インプラント周囲炎は、インプラントを支える顎の骨を溶かし、最悪の場合、インプラントが脱落してしまうことも。
「せっかく高額な治療を受けたのに…」 「また手術を受けないといけないの…?」
そんな不安を抱える前に、正しいメンテナンス方法を身につけましょう。
本記事では、インプラント治療後のメンテナンス方法について、歯科医が詳しく解説します。
毎日のセルフケアから、歯科医院でのプロフェッショナルケアまで、具体的な方法をわかりやすくお伝えしますので、ぜひ最後までお読みください。
あなたのインプラントを長持ちさせ、健康な口内環境を維持するための秘訣がここにあります。
毎日のセルフケア
インプラントを長持ちさせるためには、毎日のセルフケアが欠かせません。
インプラントは天然歯と異なり、歯周病のような「インプラント周囲炎」のリスクがあるからです。
インプラント周囲炎は、インプラントを支える顎の骨を溶かし、最悪の場合、インプラントが脱落してしまうことも。毎日の丁寧なセルフケアでインプラント周囲炎を予防し、快適なインプラント生活を送りましょう。
1. 歯ブラシ
- 選び方
- 毛の硬さ: 柔らかめ、もしくはインプラント用に設計されたものを選びましょう。硬い毛先はインプラントや歯ぐきを傷つける可能性があります。
- 毛先: ラウンド加工されているものがおすすめです。歯や歯ぐきに優しくフィットし、効率的に歯垢を除去できます。
- ヘッドの大きさ: 口腔内のサイズに合ったものを選びましょう。小さすぎると磨き残しが多くなり、大きすぎると奥歯まで届きにくくなります。
- 素材: ナイロン製が一般的です。耐久性があり、衛生的に保ちやすいです。
- グリップ: 持ちやすく、滑りにくいものを選びましょう。
- 磨き方
- 基本: インプラント体と歯ぐきの境目を意識し、丁寧に磨きましょう。力を入れすぎると歯ぐきを傷つける可能性があるので注意が必要です。
- ブラッシング方法: スクラビング法(歯ブラシを横方向に細かく動かす方法)やバス法(歯ブラシを歯と歯ぐきの境目に45度の角度で当て、細かく振動させる方法)など、自分に合った方法で磨きましょう。
- 時間: 1本1本の歯を丁寧に磨き、少なくとも3分以上かけてブラッシングしましょう。
- 磨き残しチェック: 鏡を見ながら磨く、または歯垢染色剤を使用して磨き残しを確認しましょう。
- ポイント:
- インプラント周囲は、歯ブラシを細かく動かして、歯垢を丁寧に落としましょう。
- インプラントだけでなく、天然歯も忘れずに丁寧に磨き、口内全体を清潔に保ちましょう。
- 歯ブラシは1~3ヶ月を目安に交換しましょう。
2. 歯間ブラシ・デンタルフロス
- 必要性: 歯ブラシだけでは落としきれない歯と歯の間の汚れは、歯間ブラシやデンタルフロスを使用しましょう。
- 歯間ブラシの選び方: インプラントと天然歯の間、インプラントとインプラントの間など、歯間に合わせて適切なサイズを選びましょう。
- サイズが合わないと歯ぐきを傷つけたり、汚れを落としきれなかったりする可能性があります。
- 歯間ブラシは、ワイヤータイプとゴムタイプがあります。歯ぐきの状態に合わせて選びましょう。
- 歯間ブラシの使い方: 歯間ブラシを歯間に挿入し、前後に動かして歯垢を除去します。
- 力を入れすぎると歯ぐきを傷つける可能性があるので注意しましょう。
- デンタルフロスの選び方: ワックスタイプとノンワックスタイプがあります。歯並びや好みに合わせて選びましょう。
- フロスホルダーを使用すると、より簡単にフロッシングできます。
- デンタルフロスの使い方: デンタルフロスを歯間に通して上下に動かし、歯垢を丁寧に除去します。
- 歯ぐきを傷つけないように注意しましょう。
- ポイント:
- 特にインプラント周囲は、歯周病菌が繁殖しやすい場所なので、丁寧にケアすることが重要です。
- 歯間ブラシやデンタルフロスは、1回使用したら交換しましょう。
3. 歯磨き粉
- 研磨剤: 研磨剤入りの歯磨き粉は、インプラントを傷つける可能性があるので避けましょう。
- インプラントに優しい低研磨性または研磨剤不使用の歯磨き粉を選びましょう。
- フッ素: フッ素配合の歯磨き粉は、残っている天然歯の虫歯予防に効果的です。
- その他: 歯周病予防効果のある歯磨き粉や、口臭予防効果のある歯磨き粉など、様々な種類の歯磨き粉があります。
- ご自身の口腔内の状態や悩みに合わせて選びましょう。
4. 洗口液
- 効果: 殺菌効果のある洗口液を使用することで、口内細菌の繁殖を抑え、口臭予防にもなります。
- インプラント周囲炎の予防にも効果が期待できます。
- 使用方法: 洗口液は、歯磨き後や就寝前に使用しましょう。
- 使用方法や使用回数は、製品によって異なるので、使用方法をよく読んでから使用しましょう。
- 種類: アルコール含有量の少ない、低刺激タイプの洗口液を選びましょう。
- 口腔乾燥が気になる方は、保湿効果のある洗口液もおすすめです。
セルフケアのポイント
- インプラントは天然歯と違い、感覚がありません。そのため、炎症が起こっていても気づきにくいことがあります。
- 毎日のセルフケアで、インプラント周囲を清潔に保ち、インプラント周囲炎を予防しましょう。
- 定期的に歯科医院を受診し、専門的なクリーニングを受けることも重要です。
- ご自身の口腔内の状態や悩みに合わせて、歯科医師や歯科衛生士に相談し、適切なセルフケア方法を身につけましょう。
毎日のセルフケアを習慣化し、インプラントを長持ちさせ、健康な口腔内環境を維持しましょう。
歯科医院での定期的なプロフェッショナルケア
インプラントを長持ちさせるためには、ご自宅でのセルフケアに加えて、歯科医院での定期的なプロフェッショナルケアが非常に重要です。
セルフケアだけではどうしても限界があり、磨き残しや歯石の付着などが起こりやすいため、専門的なケアが必要となります。
プロフェッショナルケアでは、歯科医師や歯科衛生士の専門的な技術と機器によって、徹底的なクリーニングや口腔内チェックを受けることができ、インプラントを健康な状態で長く保つことに繋がります。
1. 専門的なクリーニング
- PMTC (Professional Mechanical Tooth Cleaning)
- 目的: 歯の表面に付着したバイオフィルム(細菌の塊)や歯石、着色汚れなどを徹底的に除去し、歯の表面を滑らかにすることで、プラークや歯石の再付着を予防します。
- 内容:
- 専門の器具(超音波スケーラー、エアフローなど)を用いて、歯の表面の汚れを落とします。
- 歯面研磨:研磨剤を用いて歯の表面を磨き、ツルツルにします。
- フッ素塗布:歯質を強化し、虫歯を予防します。
- 効果:
- インプラント周囲炎、虫歯、歯周病の予防
- 口臭予防
- 歯の美白効果
- 対象:
- インプラント治療後の方
- 歯周病の方
- 矯正治療中の方
- タバコを吸う方
- 着色汚れが気になる方
- スケーリング
- 目的: 歯や歯根に付着した歯石を除去します。
- 種類:
- 超音波スケーリング:超音波の振動で歯石を砕いて除去する方法
- ハンドスケーリング:手動の器具を使って歯石を削り取る方法
- 効果:
- 歯周病、インプラント周囲炎の予防・治療
- 対象:
- 歯石が付着している方
- 歯周病、インプラント周囲炎の方
2. 定期検診
- 口腔内検査
- 視診:
- 歯ぐきの色、形、腫れ、出血などをチェック
- インプラント周囲の粘膜の状態をチェック
- 舌、頬粘膜、口蓋などの状態をチェック
- 触診:
- 歯ぐきの腫れや硬さを確認
- インプラントの動揺をチェック
- 歯周ポケット検査:
- プローブと呼ばれる器具を用いて、歯と歯ぐきの間の溝(歯周ポケット)の深さを測定
- 歯周病、インプラント周囲炎の進行度合いを把握
- 噛み合わせのチェック:
- 噛み合わせの異常がないか、顎の動きなどを確認
- インプラントに過度な負担がかかっていないかを確認
- 視診:
- レントゲン検査
- パノラマレントゲン:
- 口腔内全体を撮影し、顎の骨の状態、インプラントの埋入状態、虫歯、歯周病などを確認
- デンタルレントゲン:
- 個々の歯を詳しく撮影し、虫歯、歯周病、歯根の状態などを確認
- CT撮影:
- 顎の骨の立体的な構造を把握し、インプラント周囲炎の診断、治療計画などに利用
- パノラマレントゲン:
- 噛み合わせの調整
- 目的: 噛み合わせの不良を改善し、インプラントや天然歯への負担を軽減
- 方法:
- 咬合調整:歯を削ったり、詰め物や被せ物を調整したりして、噛み合わせを調整
- 矯正治療:歯列矯正装置を用いて、歯並びや噛み合わせを改善
- 効果:
- インプラント周囲炎、歯周病、顎関節症などの予防
- 頭痛、肩こり、首こりなどの改善
- 咀嚼機能の向上
3. その他
- インプラント周囲炎の治療
- 軽度:
- スケーリング、ルートプレーニング:歯石やプラークを除去
- 投薬治療:抗菌薬や消炎剤を服用
- レーザー治療:レーザーを用いて、炎症を抑え、治癒を促進
- 中等度~重度:
- 歯周外科手術:歯ぐきを切開し、歯根の周りの歯石や感染組織を徹底的に除去
- 再生療法:骨や歯周組織の再生を促す治療
- インプラント除去:重度の場合は、インプラントを除去しなければならない場合も
- 軽度:
- 歯周病の治療
- 基本治療:
- スケーリング、ルートプレーニング
- 歯磨き指導
- 外科的治療:
- 歯周ポケット掻爬術
- フラップ手術
- 再生療法
- 基本治療:
- 口腔衛生指導
- 内容:
- 正しいブラッシング方法、歯間ブラシ・デンタルフロスの使い方
- 食生活、生活習慣の改善に関するアドバイス
- 個別指導:
- 患者さんの口腔内の状態に合わせて、適切なケア方法を指導
- 内容:
プロフェッショナルケアを受ける頻度
- 基本: 3ヶ月〜6ヶ月に一度
- リスクが高い方:
- インプラント周囲炎の既往がある方
- 歯周病の方
- 糖尿病などの全身疾患がある方 *喫煙者 → より頻繁なメンテナンスが必要 (1~3ヶ月ごと)
ポイント
- プロフェッショナルケアは、セルフケアではできない専門的なケアです。
- インプラント周囲炎の早期発見・早期治療のためにも、定期的な受診を心がけましょう。
- 歯科医師や歯科衛生士とコミュニケーションをとり、口腔内の状態やケア方法について相談しましょう。
プロフェッショナルケアとセルフケアを組み合わせることで、インプラントを長持ちさせ、健康な口腔内環境を維持しましょう。
まとめ
いかがでしたか?
インプラント治療は、失った歯の機能を取り戻し、快適な生活を送るための素晴らしい選択肢です。しかし、治療が完了したらそれで終わりではありません。インプラントを長持ちさせるためには、毎日のセルフケアと歯科医院での定期的なプロフェッショナルケアが欠かせません。
毎日の歯磨きでは、歯ブラシだけでなく、歯間ブラシやデンタルフロスも併用し、インプラント周囲のプラークを丁寧に除去しましょう。そして、定期的に歯科医院を受診し、専門的なクリーニングや口腔内チェックを受けることで、インプラント周囲炎などのトラブルを早期に発見・治療することができます。
インプラントは、適切なケアを続けることで、天然歯と同じように、あるいはそれ以上に長く機能することができます。ご自身の歯のように大切に扱い、日々のケアを怠らないようにしましょう。
「インプラント治療後のメンテナンスなんて面倒だな…」と感じてしまう方もいるかもしれません。しかし、それは決して無駄な努力ではありません。むしろ、将来的な健康と笑顔を守るための、賢い投資と言えるでしょう。
インプラントを長持ちさせ、健康で充実した毎日を送るために、今日から正しいメンテナンスを始めましょう。
もし、インプラント治療後のケアについて疑問や不安があれば、遠慮なく歯科医師に相談してください。
あなたの口腔内の健康をサポートするために、私たちはお待ちしております。
治療のご予約は下記リンクよりいつでもお取り出来ます。キャンセルや2回目以降の治療予約に関しても行えます。
—————————————————————
御茶ノ水つばめ歯科・矯正歯科
〒101-0052
東京都千代田区神田小川町3丁目8-10メアリヒト御茶ノ水ビル1階
TEL:03-6281-7737
・JR御茶ノ水駅 お茶の水橋口改札 徒歩5分
・千代田線 新御茶ノ水駅B3b 徒歩5分
・神保町駅(半蔵門線、都営新宿線、都営三田線)A5 徒歩5分
・都営新宿線 小川町駅、丸の内線 淡路町駅B5 徒歩6分
・東西線 竹橋駅 3a 徒歩10分
—————————————————————