透明で目立たない!取り外し可能で衛生的!
そんな魅力的なキャッチフレーズで近年人気上昇中のマウスピース矯正。
従来のワイヤー矯正に比べて、見た目の負担や生活上の制限が少ないことから、多くの方が治療を選択されています。
しかし、マウスピース矯正は、決して楽な治療ではありません。
治療中は、様々なトラブルが起こる可能性があり、それらに適切に対処しなければ、治療期間の延長や治療結果に悪影響を及ぼすこともあります。
この資料では、マウスピース矯正治療中に起こりうるトラブルとその対処法、予防法について、詳しく解説していきます。
これからマウスピース矯正治療を始めようと考えている方、現在治療中の方、そして治療を検討中の方にとって、少しでも役立つ情報になれば幸いです。
快適なマウスピース矯正ライフを送るために、ぜひ最後までお読みください。
1. マウスピースの装着による不快感・痛み
マウスピース矯正治療は、透明で取り外し可能なアライナーを用いて歯列を整える方法です。審美性に優れ、従来のワイヤー矯正に比べて快適性が高い一方、治療開始直後やアライナー交換時には、多くの方が装着による不快感や痛みを経験します。
これは、アライナーが歯に力を加え、歯を移動させるために起こる自然な反応です。歯が移動を始めると、歯根膜(歯と歯槽骨をつなぐ組織)に圧力がかかり、炎症反応が起こります。これが不快感や痛みの原因となります。
具体的な症状
不快感や痛みは、人によって感じ方が異なりますが、一般的に以下のような症状が現れます。
- 違和感・圧迫感:
- 口の中に異物があるような感覚。
- 歯が締め付けられる、圧迫されるような感覚。
- アライナーが歯茎に当たって違和感がある。
- 特定の発音(サ行、タ行など)がしづらい。
- 唾液の量が増える。
- 痛み:
- 歯が浮いたような感覚。
- 鈍痛、ズキズキする痛み。
- 噛むと痛い。
- 歯茎が腫れる、触ると痛い。
- 頭痛
これらの症状は、通常数日~1週間程度で軽減していきます。ただし、痛みの程度や持続期間は、個人の歯の移動量や痛みに対する感受性、アライナーの装着時間などによって異なります。
対処法
不快感や痛みが強い場合は、以下の対処法を試してみましょう。
- 市販の鎮痛剤: アセトアミノフェンやイブプロフェンなどの鎮痛剤を服用することで、痛みを和らげることができます。ただし、服用前に必ず説明書をよく読み、用法・用量を守ってください。
- 冷湿布: 患部に冷湿布を当てることで、炎症を抑え、痛みを和らげることができます。
- 歯科医への相談: 痛みが強い場合や長引く場合は、歯科医に相談しましょう。アライナーの調整や、痛みを軽減するためのアドバイスを受けることができます。
- 装着時間の調整: 痛みが強い場合は、装着時間を短くして、徐々に慣らしていく方法も有効です。ただし、装着時間を短くする場合は、必ず歯科医に相談してください。
- マッサージ: 歯茎を優しくマッサージすることで、血行を促進し、痛みを和らげることができます。
- 食事: 硬い食べ物は避け、柔らかいものを食べるようにしましょう。
- 口腔ケア: 歯磨きを丁寧に行い、口腔内を清潔に保つことで、炎症の悪化を防ぐことができます。
- リラックス: ストレスや緊張は、痛みを強く感じさせることがあります。リラックスできる環境を整え、心身ともにリラックスするように心がけましょう。
予防法
不快感や痛みを軽減するためには、以下の予防法も有効です。
- 歯磨き: アライナーを装着する前に、歯磨きを丁寧に行い、歯や歯茎を清潔な状態に保ちましょう。
- 装着方法: 歯科医から指導された正しい装着方法を守りましょう。アライナーが正しく装着されていないと、不快感や痛みが強くなることがあります。
- 段階的な装着: 治療開始直後や新しいアライナーに交換した際は、最初は短い時間から装着し、徐々に装着時間を増やしていくことで、歯や歯茎への負担を軽減することができます。
- 就寝時の装着: 睡眠中は痛みを感じにくいので、就寝時にアライナーを装着するのも効果的です。
不快感や痛みは、マウスピース矯正治療の初期段階によく見られる症状です。これらの症状に適切に対処することで、快適に治療を進めることができます。
もし、症状が改善しない場合や、他に気になる症状がある場合は、自己判断せずに歯科医に相談するようにしましょう。
2. マウスピース装着による発音のトラブル
マウスピース矯正治療中は、アライナーが舌の動きを制限するため、発音に影響が出ることがあります。これは、アライナーが舌と歯の接触を妨げ、舌の動きや位置が変化するためです。
特に影響を受けやすいのは、サ行、タ行、ナ行、ラ行などの発音です。これらの音は、舌先を歯の裏側や歯茎に付けて発音するため、アライナーが物理的な障害となり、正確な発音が難しくなることがあります。
具体的な症状
発音への影響は、個人差がありますが、一般的に以下のような症状が現れます。
- 発音が不明瞭になる
- 特定の音が発音しにくく、言葉が聞き取りづらくなる。
- 全体的に発音がぼやけ、相手に意図が伝わりにくい。
- 特に早口で話すと、発音が不明瞭になりやすい。
- 滑舌が悪くなる
- 舌がスムーズに動かせず、滑舌が悪くなったように感じる。
- 言葉がつっかえる、噛んでしまうことが増える。
- 以前はスムーズに発音できていた言葉が、発音しづらくなる。
- 特定の音が歪む
- サ行が「シャ行」や「サ行」と「シャ行」の中間のような音に聞こえる。
- タ行が「カ行」のように聞こえる。
- ナ行が「ダ行」のように聞こえる。
- ラ行が「ル」や「レ」に近くなる。
- 早口で話せない
- 意識して発音しようとすると、早口で話すことが難しくなる。
- 会話のリズムが悪くなり、スムーズにコミュニケーションを取ることが難しい。
発音への影響が出やすい人
- 舌の短い人: 舌が短い人は、アライナーの影響を受けやすく、発音しづらい傾向があります。
- 歯並びが悪い人: 重度の歯列不正がある人は、アライナー装着による舌の位置の変化が大きいため、発音への影響が出やすいです。
- アライナーの厚みがある: 厚みのあるアライナーは、舌の動きをより制限するため、発音への影響が大きくなる可能性があります。
対処法
発音への影響が気になる場合は、以下の対処法を試してみましょう。
- 発音練習
- 発音しにくい音を意識して、ゆっくりと発音する練習を繰り返しましょう。
- 早口言葉を練習することで、舌の動きをスムーズにすることができます。
- 舌のストレッチやトレーニングを行い、舌の筋肉を鍛えましょう。
- 自分の声を録音し、発音を客観的に確認することで、改善点を見つけやすくなります。
- 発音練習用のアプリや教材を活用するのも効果的です。
- 歯科医への相談
- 発音への影響が大きい場合は、歯科医に相談してみましょう。アライナーの形を調整する場合もあります。
- 積極的に会話する
- 積極的に会話する機会を増やすことで、アライナーに慣れ、発音しやすくなることがあります。
- 家族や友人と話す、電話で話す、プレゼンテーションを行うなど、様々な場面で話す練習をしましょう。
発音しやすくなるまでの期間
発音しやすくなるまでの期間は、個人差がありますが、一般的には数週間~数ヶ月 程度と言われています。
- アライナーへの慣れ: 舌は、新しいアライナーに徐々に慣れていきます。装着初期は発音しづらいと感じても、数週間で自然と発音できるようになることが多いです。
- 舌の筋肉の適応: 舌の筋肉は、アライナー装着による変化に適応していきます。発音練習を続けることで、舌の筋肉が鍛えられ、よりスムーズに発音できるようになります。
- アライナーの種類: アライナーの種類によっては、発音への影響が少ないものもあります。歯科医に相談して、自分に合ったアライナーを選んでもらうことも大切です。
発音への影響は、マウスピース矯正治療における一般的なトラブル の一つです。焦らず、積極的に対処することで、スムーズに発音できるようになります。
もし、症状が改善しない場合や、他に気になる症状がある場合は、自己判断せずに歯科医に相談するようにしましょう。
3. マウスピース装着による口内炎
マウスピース矯正治療中は、口内炎 ができやすくなることがあります。
これは、アライナーが歯茎や頬の内側に擦れたり、アタッチメントと呼ばれる小さな突起が粘膜を刺激したりすることが原因です。
口内炎は、痛みや不快感を伴い、食事や会話に支障をきたすこともあります。
口内炎ができやすい場所
- 歯茎: アライナーの辺縁が歯茎に当たり、擦れて炎症を起こす。
- 頬の内側: アライナーが頬の内側に当たり、擦れて炎症を起こす。
- 舌: アライナーやアタッチメントが舌に当たり、刺激を与える。
- 唇の内側: アライナーが唇の内側に当たり、擦れて炎症を起こす。
症状
- 痛み: 患部に触れると痛みがある。
- 赤み: 患部が赤く腫れる。
- 腫れ: 患部が腫れて、違和感がある。
- 白い膜: 患部に白い膜ができる。
- 出血: 患部から出血することがある。
対処法
- 口内炎治療薬: 市販の口内炎治療薬(軟膏、パッチ、スプレーなど)を患部に塗布する。
- うがい: 食後や就寝前に、うがい薬やぬるま湯でうがいをする。
- 歯科医への相談: 痛みが強い場合や症状が改善しない場合は、歯科医に相談する。アライナーの調整や、適切な治療を受けることができます。
- 刺激物を避ける: 辛いものや酸っぱいものなど、口内炎を刺激する食べ物は避ける。
- 口腔ケア: 歯磨きを丁寧に行い、口腔内を清潔に保つ。
- ビタミンB群の摂取: ビタミンB群は、粘膜の健康維持に役立ちます。
予防法
- アライナーの調整: アライナーの辺縁が鋭利な場合は、歯科医に研磨してもらう。
- アタッチメントの調整: アタッチメントが粘膜に当たって刺激を与える場合は、歯科医に調整してもらう。
- 歯科用ワックス: アライナーやアタッチメントが当たる部分に、歯科用ワックスを貼ることで、摩擦を軽減する。
- 正しい装着: アライナーを正しく装着することで、摩擦や刺激を減らす。
- 口腔ケア: 歯磨きを丁寧に行い、口腔内を清潔に保つことで、口内炎の発生リスクを減らす。
- 唾液の分泌を促す: 唾液には、口内を清潔に保ち、粘膜を保護する働きがあります。ガムを噛んだり、水分をこまめに摂取したりすることで、唾液の分泌を促しましょう。
口内炎ができやすい時期
- 治療開始直後: 新しいアライナーを装着した直後は、口内環境が変化するため、口内炎ができやすいです。
- アライナー交換時: 新しいアライナーに交換した際も、口内炎ができやすいです。
- 装着時間が長い: アライナーの装着時間が長いほど、口内炎のリスクが高まります。
- 口腔ケア不足: 口腔ケアが不十分だと、口内炎ができやすくなります。
- ストレス: ストレスを感じると、免疫力が低下し、口内炎ができやすくなることがあります。
- 睡眠不足: 睡眠不足も、免疫力を低下させ、口内炎のリスクを高めます。
- 栄養不足: ビタミンB群などの栄養素が不足すると、口内炎ができやすくなります。
口内炎は、マウスピース矯正治療中に起こりうる一般的なトラブルです。
もし、口内炎ができてしまったら、上記の対処法を試したり、歯科医に相談したりして、適切な対応を取りましょう。
4. マウスピース矯正中の虫歯・歯周病
マウスピース矯正中は、虫歯や歯周病 にも注意が必要です。
アライナーを装着していると、歯磨きがしづらくなったり、食べカスが溜まりやすくなったりするため、口腔内環境が悪化し、虫歯や歯周病のリスクが高まります。
虫歯
- 原因:
- アライナーと歯の間に食べカスが挟まり、細菌が繁殖する。
- 歯磨きがしにくいため、プラーク(歯垢)が除去しきれない。
- 間食の回数が増える。
- 唾液の分泌量が減る。
- 症状:
- 歯に穴があく。
- 歯が黒くなる、茶色くなる。
- 歯が痛む。
- 冷たいものや熱いものがしみる。
歯周病
- 原因:
- アライナーと歯茎の間にプラークが溜まり、歯周病菌が繁殖する。
- 歯磨きがしにくいため、プラークが除去しきれない。
- 歯茎が炎症を起こしやすくなる。
- 症状:
- 歯茎が赤く腫れる。
- 歯茎から出血する。
- 歯茎が下がる。
- 口臭がする。
- 歯がぐらつく。
対処法
- 虫歯:
- 早期に歯科医で治療を受ける。
- フッ素塗布などの予防処置を受ける。
- マウスピースがはまる範囲での虫歯治療を行う
- 大きく形が変わってしまう場合は仮治療まで。
- 歯周病:
- 歯科医で歯石除去などの治療を受ける。
- 歯周病用の歯磨き粉を使用する。
マウスピース矯正中に虫歯の治療は可能?
マウスピース矯正中でも、虫歯治療は可能です。むしろ、虫歯を放置すると、口内環境の悪化や歯の移動への悪影響があるため、早期に治療することが大切です。
ただし、虫歯の進行度合いによって、治療方法やマウスピース矯正への影響が変わってきます。
1. 軽度の虫歯の場合
初期の虫歯であれば、マウスピース矯正治療を中断せずに治療が可能です。
- 治療方法
- マウスピースを装着したまま、虫歯の部分を少し削り、レジン(プラスチック)などの詰め物で修復します。
- マウスピースの形に合わせて詰め物を作るため、治療後もマウスピースを問題なく装着できます。
- マウスピース矯正への影響
- ほとんど影響はありません。
- 引き続きマウスピースを装着し、矯正治療を継続できます。
2. 中等度の虫歯の場合
虫歯が中等度に進行し、歯の神経に近い場合は、少し注意が必要です。
- 治療方法
- 神経にまで達していない場合は、虫歯の部分を削り、詰め物をする治療を行います。
- 神経に近い場合は、神経を保護する薬を塗布してから詰め物をします。
- マウスピース矯正への影響
- 詰め物によって歯の形が少し変わる場合があり、マウスピースの調整が必要になることがあります。
- 場合によっては、新しいマウスピースを作成する必要があります。
3. 重度の虫歯の場合
虫歯が重度に進行し、神経に達している場合は、マウスピース矯正治療を一時的に中断する必要がある場合があります。
- 治療方法
- 神経の治療(根管治療)を行います。
- 神経の治療後、歯を削って被せ物をする治療を行います。
- マウスピース矯正への影響
- 被せ物によって歯の形が大きく変わるため、新しいマウスピースを作成する必要があります。
- 場合によっては、虫歯治療が完了するまでマウスピース矯正を中断し、治療後に新しいマウスピースで矯正治療を再開します。
治療を受ける際の注意点
- マウスピース矯正中であることを伝える: 虫歯の治療を受ける際は、必ずマウスピース矯正をしていることを歯科医師に伝えましょう。
- マウスピース矯正に精通した歯科医師を選ぶ: マウスピース矯正に精通した歯科医師であれば、矯正治療に影響を与えないよう、適切な治療方法を選択してくれます。
- 歯科医師の指示に従う: 治療中は、マウスピースの装着時間を守ること、歯磨きを丁寧に行うことなど、歯科医師の指示に従いましょう。
- 定期的な検診: 定期的な検診を受けることで、虫歯の早期発見・早期治療につながります。
虫歯かな?と思ったら
- マウスピース矯正中に歯の痛みや違和感、歯茎の腫れ、出血などを感じたら、早めに歯科医師に相談しましょう。
- 早期発見・早期治療が、虫歯の進行を防ぎ、マウスピース矯正治療をスムーズに進めるために重要です。
予防法
- 丁寧な歯磨き:
- 食後は必ずアライナーを外し、歯ブラシ、歯間ブラシ、デンタルフロスを使って丁寧に歯磨きをする。
- 特に、アライナーと歯の隙間、歯と歯の間、歯と歯茎の境目を丁寧に磨く。
- 舌の表面もブラッシングする。
- アライナーの洗浄:
- アライナーも専用の洗浄剤や歯ブラシを使って、毎日丁寧に洗浄する。
- 熱湯での洗浄は避け、流水で洗う。
- 食生活:
- 糖分の多い食べ物や飲み物を控える。
- 間食の回数を減らす。
- よく噛んで食べる。
- 定期的な歯科検診:
- 定期的に歯科検診を受け、歯石除去や歯周病のチェックを受ける。
- 歯科医に口腔内の状態をチェックしてもらい、適切なアドバイスを受ける。
- その他:
- フッ素配合の歯磨き粉を使用する。
- 口腔洗浄液を使用する。
- 唾液の分泌を促すために、ガムを噛んだり、水分をこまめに摂取したりする。
- 禁煙する。
マウスピース矯正中は、口腔内環境が悪化しやすいため、虫歯や歯周病のリスクが高まります。 丁寧な歯磨きとアライナーの洗浄、定期的な歯科検診を心がけ、虫歯や歯周病を予防しましょう。
もし、虫歯や歯周病の症状がある場合は、自己判断せずに歯科医に相談するようにしましょう。
5. マウスピースの紛失・破損
マウスピース型矯正装置(アライナー)は、食事や歯磨きの際に取り外す必要があるため、紛失や破損のリスクが伴います。
万が一、アライナーを紛失したり破損したりした場合には、速やかに歯科医院に連絡し、指示を仰ぎましょう。
紛失
紛失の原因
- 外出先での紛失:
- レストランやカフェなどで食事をした後、アライナーをテーブルに置き忘れる。
- 旅行先や出張先など、慣れない場所でアライナーを置き忘れする。
- ポケットやバッグに入れたまま、うっかり落としてしまう。
- 自宅での紛失:
- アライナーを外した場所を忘れてしまう。
- 家族が誤って捨ててしまう。
- ペットが噛んで持ち去ってしまう。
- その他:
- ゴミと間違えて捨ててしまう。
- ティッシュに包んで捨ててしまう。
対処法
- 歯科医院に連絡: 紛失に気づいたら、すぐに歯科医院に連絡しましょう。
- 予備のアライナーの装着: 予備のアライナーがある場合は、歯科医師の指示に従って装着しましょう。
- 新しいアライナーの作成: 新しいアライナーを作成してもらいましょう。作成には数日かかる場合があり、その間は以前の段階のアライナーを装着するなどの指示がある可能性があります。
- 紛失時の費用: 多くの場合、アライナーの紛失は患者側の責任となるため、再作成費用が発生します。費用は歯科医院によって異なります。
予防法
- アライナーケースを常に携帯: アライナーケースを常に携帯し、使用しない時は必ずケースに保管しましょう。
- 置き場所の確認: 外出先でアライナーを外す際は、テーブルや洗面台などに置いたままにせず、必ずアライナーケースにしまいましょう。
- 目立つ色のケース: 目立つ色のアライナーケースを使用することで、紛失のリスクを減らすことができます。
- 保管場所: 自宅では、アライナーを決められた場所に保管し、家族にもその場所を知らせておきましょう。
- ペット対策: ペットがいる場合は、ペットの届かない場所にアライナーを保管しましょう。
破損
破損の原因
- 落下: アライナーを落としてしまい、割れたり、欠けたりする。
- 噛む: 硬いものを噛んでしまい、アライナーが変形したり、破損したりする。
- 熱: 熱湯で洗浄したり、高温の場所に放置したりすると、アライナーが変形する。
- 無理な力: アライナーを無理に曲げたり、引っ張ったりすると、破損する。
対処法
- 歯科医院に連絡: 破損に気づいたら、すぐに歯科医院に連絡しましょう。
- 以前のアライナーの装着: 以前使用していたアライナーがある場合は、歯科医師の指示に従って装着しましょう。
- 新しいアライナーの作成: 新しいアライナーを作成してもらいましょう。
- 破損時の費用: アライナーの破損も、患者側の責任となる場合が多く、再作成費用が発生します。
予防法
- 丁寧な取り扱い: アライナーを丁寧に扱い、落としたり、ぶつけたりしないようにしましょう。
- 硬いものは避ける: 硬いものを噛む際は、アライナーを外しましょう。
- 適切な洗浄: アライナーの洗浄は、指定された洗浄剤を使用し、流水で行いましょう。熱湯は使用しないでください。
- 無理な力: アライナーを無理に曲げたり、引っ張ったりしないようにしましょう。
紛失・破損した場合の影響
- 治療期間の延長: 新しいアライナーを作成する必要があるため、治療期間が延長する可能性があります。
- 治療費用の増加: アライナーの再作成には費用がかかります。
- 歯の移動への影響: アライナーを装着していない期間が長くなると、歯の移動が遅れたり、計画通りに進まなかったりする可能性があります。
- 後戻り: 場合によっては、歯が元の位置に戻ってしまう可能性があります。
紛失・破損を防ぐために
- アライナーケースを常に携帯する
- アライナーを外す際は、置き場所をしっかり確認する
- アライナーを丁寧に扱う
- 歯科医師の指示に従う
- 疑問や不安があれば、歯科医師に相談する
アライナーの紛失や破損は、マウスピース矯正治療におけるよくあるトラブルです。日頃から注意し、万が一トラブルが起こった場合は、速やかに歯科医院に連絡しましょう。
6. 治療期間の延長
マウスピース矯正は、透明で取り外し可能なアライナーを用いて歯列を整える方法です。治療期間は、歯並びの状態や治療計画によって異なりますが、一般的には1年~3年程度と言われています。
しかし、様々な要因によって治療期間が延長してしまうことがあります。治療期間が延長すると、費用がかさんだり、モチベーションが低下したりする可能性があるため、注意が必要です。
治療期間が延長する原因
1. アライナーの装着時間不足
マウスピース矯正では、1日20時間以上アライナーを装着することが推奨されています。装着時間が短いと、歯の移動が計画通りに進まず、治療期間が延長する可能性があります。
- 原因
- 仕事や学業、スポーツなどで装着時間が確保できない。
- アライナーの装着を忘れてしまう。
- 痛みや不快感で装着をためらってしまう。
- 外食やイベントなどで装着を外す機会が多い。
- 対策
- 毎日のスケジュールを調整し、装着時間を確保する。
- アラームやアプリなどを活用し、装着時間を管理する。
- 装着時間を記録し、目標達成度を視覚化する。
- 痛みや不快感がある場合は、歯科医師に相談する。
2. アライナーの紛失・破損
アライナーを紛失したり破損したりした場合、新しいアライナーを作成する必要があり、その期間だけ治療が中断されます。
- 原因
- アライナーケースを携帯せずに外出してしまう。
- アライナーを外した場所を忘れてしまう。
- 硬いものを噛んでアライナーを破損してしまう。
- 対策
- アライナーケースを常に携帯し、使用しない時は必ずケースに保管する。
- アライナーを外す際は、置き場所をしっかり確認する。
- 硬いものを食べる際は、アライナーを外す。
3. アライナーの不適合
歯の形状や動きによっては、アライナーが歯にうまくフィットせず、計画通りの歯の移動が得られない場合があります。
- 原因
- 歯の形状が複雑である。
- 歯の移動量が大きい。
- アライナーの製作精度が低い。
- 対策
- 歯科医師にアライナーの適合状態を regelmäßig 確認してもらう。
- アライナーが合わない場合は、再製作を依頼する。
- 精度の高いアライナーを製作できる歯科医院を選ぶ。
4. 歯の移動の遅延
歯の移動には個人差があり、年齢や歯根の状態、骨の状態などによって、予定よりも歯の移動が遅い場合があります。
- 原因
- 年齢が高い。
- 歯根が短い、または細い。
- 骨密度が低い。
- 全身疾患がある。
- 対策
- 歯科医師に歯の移動の状態を確認してもらう。
- 必要に応じて、治療計画の見直しを行う。
5. 虫歯や歯周病
マウスピース矯正中に虫歯や歯周病になると、治療を中断してこれらの治療を優先する必要があります。
- 原因
- アライナー装着による歯磨き不足。
- 口腔ケアの不備。
- 対策
- アライナーを外して、丁寧に歯磨きを行う。
- 歯間ブラシやデンタルフロスを使用する。
- 定期的な歯科検診を受ける。
6. 顎関節症
アライナーの装着によって顎関節に負担がかかり、顎関節症を発症することがあります。
- 原因
- アライナーの不適合。
- 歯ぎしりや食いしばり。
- 対策
- アライナーの適合状態を確認してもらう。
- 必要に応じて、顎関節症の治療を受ける。
7. その他
- 矯正治療中に引っ越しをして、転院が必要になった場合。
- 治療計画の変更が必要になった場合。
- 患者さんの協力が得られない場合(例:指示を守らない、通院を怠るなど)。
治療期間の延長を防ぐために
- アライナーの装着時間を守る
- アライナーの紛失・破損に注意する
- 定期的な歯科検診を受ける
- 歯科医師の指示に従う
- 疑問や不安があれば、遠慮なく歯科医師に相談する
7. 矯正後の後戻り
マウスピース矯正治療が終了し、理想の歯並びを手に入れても、安心はできません。矯正治療後、保定 を怠ると 後戻り が起こり、せっかくきれいに並んだ歯が元の位置に戻ってしまうことがあります。
後戻りは、マウスピース矯正に限らず、ワイヤー矯正など他の矯正治療法でも起こる可能性があります。
これは、歯が移動した後の骨や歯周組織はまだ安定しておらず、元の位置に戻ろうとする力が働くためです。
後戻りを防ぐためには、 保定装置(リテーナー) を指示された期間、正しく使用することが非常に重要です。
後戻りの原因
- 保定装置の装着不足:
- 歯科医師の指示に従わず、保定装置の装着時間を守らなかったり、装着を怠ったりすると、後戻りが起こりやすくなります。
- 特に、マウスピース型矯正治療では、保定装置も取り外し式であるため、装着を忘れがちになる傾向があります。
- 歯周組織の不安定:
- 矯正治療直後は、歯を支える骨や歯周組織がまだ完全に安定しておらず、歯が動きやすい状態です。
- この状態で保定を怠ると、歯が元の位置に戻ろうとする力に負けて、後戻りが起こります。
- 舌や唇などの癖:
- 舌で歯を押す癖や、唇を噛む癖などがあると、歯並びに影響を与え、後戻りの原因となることがあります。
- 噛み合わせ:
- 噛み合わせが悪いと、特定の歯に過剰な力がかかり、歯並びがずれることがあります。
- 加齢:
- 加齢に伴い、歯を支える骨や歯周組織が衰えてくると、歯が動きやすくなり、後戻りが起こりやすくなります。
- 親知らず:
- 親知らずが生えてくると、他の歯を圧迫し、歯並びに影響を与えることがあります。
後戻りの症状
- 歯並びのズレ: 前歯が重なってきたり、隙間ができたりする。
- 噛み合わせの悪化: 噛み合わせが悪くなり、食べ物を噛みにくくなる。
- 発音の変化: 発音がしづらくなる。
- 顎関節症: 顎関節に痛みや違和感が出てくる。
後戻りの予防法
- 保定装置の装着:
- 歯科医師の指示に従い、保定装置を決められた期間、きちんと装着しましょう。
- 装着時間を守るだけでなく、正しく装着することも大切です。
- 保定装置の洗浄も忘れずに行いましょう。
- 定期的な歯科検診:
- 定期的に歯科検診を受け、歯並びや噛み合わせの状態をチェックしてもらいましょう。
- 後戻りの兆候があれば、早期に対応することができます。
- 生活習慣の改善:
- 舌で歯を押す癖や、唇を噛む癖などがある場合は、意識して改善しましょう。
- 硬いものを頻繁に食べたり、歯ぎしりや食いしばりの癖がある場合は、注意が必要です。
- 親知らずの抜歯:
- 親知らずが生えてきて、歯並びに影響を与える可能性がある場合は、抜歯を検討しましょう。
後戻りが起こった場合の対処法
- 歯科医師に相談:
- 後戻りの症状に気づいたら、すぐに歯科医師に相談しましょう。
- 軽度であれば、保定装置の再装着で改善できる場合があります。
- 再矯正が必要な場合もあります。
後戻りは、適切な保定 を行うことで防ぐことができます。
8. その他のトラブル
- 顎関節症: マウスピースの装着により、顎関節に負担がかかり、顎関節症を引き起こす可能性があります。
- 対処法: 顎関節症の症状が現れたら、歯科医に相談し、マウスピースの調整や治療を受ける。
- 歯根吸収: 歯の根の部分が短くなることがあります。
- 対処法: 定期的なレントゲン撮影で歯根の状態をチェックし、必要があれば治療を受ける。
- アレルギー: マウスピースの素材にアレルギー反応を起こす可能性があります。
- 対処法: アレルギー症状が出たら、歯科医に相談し、素材の変更などを検討する。
9. トラブルを予防するために
- マウスピースの装着時間を守る。
- 食後は必ず歯磨きをする。
- マウスピースを清潔に保つ。
- 定期的な歯科検診を受ける。
- 歯科医の指示に従う。
- 疑問点や不安な点は、遠慮なく歯科医に相談する。
まとめ
マウスピース矯正治療は、従来のワイヤー矯正に比べて目立ちにくく、取り外しができるというメリットから、多くの方に選ばれています。しかし、治療中は様々なトラブルが起こる可能性があり、それらに適切に対処しなければ、治療期間の延長や治療結果に悪影響を及ぼすこともあります。
この記事では、マウスピース矯正治療中に起こりうるトラブルとして、
- 装着による不快感・痛み
- 発音への影響
- 口内炎
- 虫歯・歯周病
- アライナーの紛失・破損
- 治療期間の延長
- 矯正後の後戻り
などについて詳しく解説してきました。
これらのトラブルは、すべての人に起こるわけではありません。しかし、起こりうる可能性があることを事前に理解し、適切な予防法や対処法を知っておくことが大切です。
マウスピース矯正治療を成功させるためには、歯科医師の指示をきちんと守り、積極的に治療に参加することが重要です。
疑問や不安なことがあれば、遠慮なく歯科医師に相談し、二人三脚で治療を進めていきましょう。
快適なマウスピース矯正ライフを送るために、この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。
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