「また虫歯が痛む…治療したばかりなのに。」
「この歯、もう何度目の治療だろう…。」
虫歯の治療を繰り返していると、そんな不安や疑問が頭をよぎりませんか?
治療が終わってホッとしたのも束の間、またすぐに痛み出す。
何度も同じ歯を治療しているうちに、「このまま治療を繰り返して、いつまで自分の歯がもつのだろう…」と、将来が心配になってくるかもしれません。
もしかしたら、あなたも「虫歯治療に限界はあるの?」「もう再発させたくない!」と強く願っているのではないでしょうか。
この記事では虫歯の再治療にまつわる疑問を解決できるようにまとめます。
ご興味があれば最後まで読んで頂ければ幸いです。
虫歯の再治療、回数にリミットはある?
「何度も同じ歯を治療しているけど、一体いつまで治療できるの?」
そんな疑問にお答えするために、まずは歯の構造と虫歯治療の基本的な仕組みから見ていきましょう。
歯の構造と虫歯治療の仕組み
私たちの歯は、外側から順に、エナメル質、象牙質、歯髄(神経)という3つの層でできています。
- エナメル質: 歯の表面を覆う、人体の中で最も硬い組織。虫歯菌が出す酸に強いが、一度溶けてしまうと再生しない。
- 象牙質: エナメル質の内側にある、やや柔らかい組織。虫歯が進行すると痛みを感じ始める。
- 歯髄(神経): 歯の中心部にある、神経や血管が通っている部分。虫歯がここまで達すると、激しい痛みを感じる。
虫歯治療では、虫歯菌に侵された部分を削り取り、詰め物や被せ物で補います。 しかし、治療を繰り返すたびに、健康な歯質も少しずつ削られてしまうため、歯は徐々に脆くなっていきます。
治療回数が増えることのリスク
- 歯を削る量が増える: 再治療のたびに、虫歯の範囲が広がっていることが多く、前回よりも大きく削る必要が出てきます。 これにより、歯の残存歯質が減少し、歯の強度が低下します。
- 神経を取る可能性が高まる: 虫歯が深くまで進行し、歯髄(神経)に達すると、神経を取る治療(根管治療)が必要になります。 神経を取った歯は、栄養が行き届かなくなり、もろくなるため、寿命が短くなる傾向があります。
- 詰め物・被せ物の適合が悪くなる: 何度も治療を繰り返すと、歯の形が複雑になり、詰め物や被せ物が外れやすくなったり、隙間ができやすくなったりします。 この隙間から虫歯菌が侵入し、二次カリエス(詰め物・被せ物の下で進行する虫歯)を引き起こすリスクが高まります。
治療回数と歯の寿命の関係
残念ながら、「虫歯治療は何回まで」という明確な回数制限はありません。 しかし、一般的に、治療回数が増えるほど歯の寿命は短くなる傾向にあります。
これは、上記で説明したように、治療のたびに歯が削られ、もろくなっていくためです。 また、神経を取った歯は、神経のある歯に比べて寿命が短いことも、大きな要因となります。
最悪のケースは「抜歯」
治療を繰り返しても虫歯の進行を止められない場合、最終的には抜歯を選択せざるを得ないこともあります。 抜歯をすると、以下のような影響があります。
- 咀嚼(そしゃく)能力の低下: 食べ物を噛み砕く力が弱くなり、消化不良を起こしやすくなる。
- 歯並びの悪化: 抜けた歯の両隣の歯が傾いたり、噛み合う歯が伸びてきたりして、歯並びやかみ合わせが悪くなる。
- 発音への影響: 特定の音が発音しにくくなることがある。
- 見た目の問題: 特に前歯を失うと、見た目に大きな影響を与える。
抜歯後の治療法としては、ブリッジ、入れ歯、インプラントなどがありますが、いずれも費用や時間がかかります。
結論:限界はある!早めの対策を
虫歯の再治療には、残念ながら限界があります。 大切な歯を長く健康に保つためには、再治療を繰り返さないように、日頃からの予防と早期発見・早期治療が非常に重要です。
なぜ?虫歯の再治療を繰り返す原因
「きちんと歯磨きしているはずなのに、なぜ何度も虫歯になるんだろう…」
そう悩んでいる方は、もしかしたら、気づかないうちに虫歯を再発させやすい習慣があるのかもしれません。 虫歯の再治療を繰り返す原因は一つではなく、様々な要因が複合的に絡み合っていることが多いです。
ここでは、主な原因を5つご紹介します。 ご自身の生活習慣を振り返りながら、当てはまるものがないかチェックしてみましょう。
1. 不十分なプラークコントロール
最も多い原因は、毎日の歯磨きやフロス(歯間ブラシ)が不十分で、プラーク(歯垢)がきちんと落としきれていないことです。
- プラークとは?: プラークは、単なる食べかすではなく、細菌の塊です。 この細菌が糖分を分解して酸を出し、歯を溶かしてしまうのが虫歯です。
- なぜ落としきれない?: 歯ブラシだけでは、歯と歯の間や、歯と歯ぐきの境目、奥歯の溝など、細かい部分にプラークが残りやすいです。 また、自己流の磨き方では、磨き残しが生じやすいです。
2. 食生活の乱れ
糖分の過剰摂取や、間食の多い食生活も、虫歯の大きな原因です。
- 糖分と虫歯の関係: 虫歯菌は、糖分をエサにして酸を出し、歯を溶かします。 特に、砂糖(ショ糖)は虫歯菌の大好物です。
- 間食のリスク: 間食をすると、口の中が酸性になる時間が長くなり、歯が溶けやすい状態が続きます。 特に、アメやキャラメル、ジュースなど、糖分が多く、口の中に長く留まるものは要注意です。
3. 詰め物・被せ物の劣化、隙間
過去に治療した詰め物や被せ物が劣化したり、歯との間に隙間ができたりすると、そこから虫歯菌が侵入し、二次カリエス(詰め物・被せ物の下で進行する虫歯)を引き起こすことがあります。
- 経年劣化: 詰め物や被せ物は、時間の経過とともに劣化し、変形したり、欠けたりすることがあります。
- 歯ぎしり・食いしばり: 歯ぎしりや食いしばりによって、詰め物や被せ物に過度な力がかかり、破損や脱落の原因となることがあります。
4. 唾液の減少
唾液には、口の中を洗い流したり、酸を中和したり、歯の再石灰化を促したりする働きがあります。 唾液の量が減ると、虫歯になりやすい環境になります。
- 唾液が減る原因: 加齢、ストレス、薬の副作用、口呼吸、喫煙、糖尿病などが挙げられます。
- ドライマウス: 唾液の分泌量が著しく低下し、口の中が乾燥する状態をドライマウスといいます。
5. 定期検診を受けていない
虫歯は、初期段階では自覚症状がないことがほとんどです。 定期的に歯科検診を受けていないと、虫歯の発見が遅れ、重症化してしまうことがあります。
- 早期発見・早期治療の重要性: 初期の虫歯であれば、簡単な治療で済むことが多く、歯を削る量も最小限に抑えられます。
- プロによるクリーニング: 歯科医院でのクリーニング(PMTC)では、自分では落としきれないプラークや歯石を除去できます。
複数の原因が絡み合っていることも
多くの場合、虫歯の再発は、上記で挙げた原因のどれか一つだけでなく、複数の原因が複合的に絡み合って起こります。
例えば、「歯磨きが不十分」な上に、「甘いものをよく食べる」といった生活習慣があると、虫歯のリスクは格段に高まります。
もう繰り返さない!虫歯の再発を防ぐための対策
虫歯の再発を防ぐためには、原因に合わせた対策を実践することが大切です。 ここでは、具体的な方法を7つご紹介します。 できることから少しずつ、毎日の習慣に取り入れていきましょう。
1. 正しい歯磨きとフロスの使い方をマスターする
毎日の歯磨きは、虫歯予防の基本です。 しかし、自己流の磨き方では、磨き残しが生じやすいです。 歯科医院で、正しい歯磨き方法とフロス(または歯間ブラシ)の使い方を指導してもらいましょう。
- 歯ブラシの選び方: ヘッドが小さく、毛先が細い歯ブラシを選ぶと、奥歯や歯と歯の間にも届きやすいです。
- 歯磨き粉の選び方: フッ素配合の歯磨き粉を選びましょう。フッ素には、歯の再石灰化を促し、虫歯菌の活動を抑える効果があります。
- 磨き方のポイント: 歯ブラシを歯と歯ぐきの境目に45度の角度で当て、軽い力で小刻みに動かします。 1本1本丁寧に磨くことを意識しましょう。
- フロス(歯間ブラシ)の使用: 歯ブラシだけでは落としきれない、歯と歯の間のプラークを除去するために、フロス(または歯間ブラシ)を毎日使いましょう。
2. 食生活を見直す
糖分の摂取量を減らし、間食の回数を減らすことが大切です。
- 糖分を控える: 砂糖(ショ糖)を含む飲食物をできるだけ控えるようにしましょう。 特に、甘いジュースや炭酸飲料、アメやキャラメルなどは要注意です。
- 間食は時間を決めて: ダラダラと間食を続けると、口の中が常に酸性になり、虫歯になりやすくなります。 間食をする場合は、時間を決めて、短時間で済ませるようにしましょう。
- よく噛んで食べる: よく噛んで食べることで、唾液の分泌が促進され、口の中の自浄作用が高まります。
3. 詰め物・被せ物の定期的なチェック
詰め物や被せ物の状態を定期的に歯科医院でチェックしてもらいましょう。
- 早期発見・早期治療: 詰め物や被せ物の不具合を早期に発見できれば、 ചെറിയ修理で済むことがあります。
- 適合性の確認: 歯科医師や歯科衛生士に、詰め物や被せ物がきちんと適合しているか、隙間がないかなどを確認してもらいましょう。
4. 歯ぎしり・食いしばり対策
歯ぎしりや食いしばりがある場合は、歯科医院で相談し、適切な対策を取りましょう。
- マウスピースの使用: 就寝時にマウスピースを装着することで、歯ぎしりや食いしばりによる歯への負担を軽減できます。
- ストレス解消: 歯ぎしりや食いしばりの原因となるストレスを解消することも大切です。 適度な運動やリラックスできる時間を取りましょう。
5. 唾液の分泌を促す
唾液の分泌を促すために、以下のことを試してみましょう。
- ガムを噛む: キシリトール入りのガムを噛むと、唾液の分泌が促進され、虫歯予防効果も期待できます。
- 水分補給: こまめな水分補給を心がけ、口の中の乾燥を防ぎましょう。
- 唾液腺マッサージ: 耳の下や顎の下にある唾液腺を優しくマッサージすることで、唾液の分泌を促すことができます。
6. フッ素塗布
歯科医院で定期的にフッ素塗布を受けると、虫歯予防効果が高まります。
- フッ素の効果: フッ素には、歯の再石灰化を促し、歯質を強化し、虫歯菌の活動を抑える効果があります。
- 高濃度フッ素: 歯科医院で塗布するフッ素は、市販の歯磨き粉よりも高濃度です。
7. 定期検診を受ける
3ヶ月〜半年に1回、必ず歯科医院で定期検診を受けましょう。
- 早期発見・早期治療: 定期検診を受けることで、虫歯や歯周病を早期に発見し、早期に治療することができます。
- プロによるクリーニング(PMTC): 自分では落としきれないプラークや歯石を、専門的な器具を使って除去してもらえます。
- 口腔内の状態チェック: 虫歯だけでなく、歯周病や噛み合わせの問題など、口腔内全体の健康状態をチェックしてもらえます。
マイクロスコープ虫歯治療とは?
「できるだけ歯を削りたくない」「再治療はもう嫌だ」
そんなあなたにおすすめしたいのが、マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)を使った虫歯治療です。
マイクロスコープとは?
マイクロスコープは、肉眼では見えないものを数十倍に拡大して見ることができる、歯科用の顕微鏡です。 手術用顕微鏡を歯科治療に応用したもので、高度な技術を必要とする精密治療には欠かせない機器となっています。
マイクロスコープ治療のメリット
マイクロスコープを使用することで、従来の肉眼での治療に比べて、以下のような多くのメリットがあります。
- 精密な診断が可能に
- 肉眼では見落としがちな、ごく初期の虫歯や、ひび割れ(クラック)などを発見できます。
- 虫歯の進行度合いを正確に把握できるため、削るべき部分と残せる部分を的確に判断できます。
- 詰め物や被せ物の下の二次カリエス(再発)も、早期に発見できます。
- 最小限の侵襲(MI)治療を実現
- 虫歯に侵された部分だけを正確に削り取ることができるため、健康な歯質を最大限に残せます。
- 歯を削る量が少ないため、治療後の痛みやしみる症状を軽減できます。
- 歯の神経を残せる可能性が高まります。
- 再発リスクを低減
- 虫歯の取り残しがほとんどなくなるため、再治療のリスクを大幅に減らすことができます。
- 詰め物や被せ物と歯の間に隙間ができにくく、二次カリエスの予防にもつながります。
- 審美性の高い治療が可能
- 詰め物や被せ物を、歯の形や色に合わせて精密に作製・装着できます。
- 天然歯に近い、自然で美しい仕上がりを実現できます。
- 治療の精度と安全性の向上
- 根管治療(歯の神経の治療)においては、複雑な根管の内部を明瞭に確認出来るようになる事で、治療の精度の向上を期待できます。
- 歯周病治療においては、歯石の取り残しを防ぎ、歯周組織の回復を促進します。
マイクロスコープ治療のデメリット
メリットが多いマイクロスコープ治療ですが、以下のようなデメリットも存在します。
- 高度な技術が必要
- マイクロスコープを使いこなすには、熟練した技術と経験が必要です。
- 歯科医師の技術力によって、治療の質に差が出る可能性があります。
- 治療時間が長くなる場合がある
- 精密な治療を行うため、通常の治療よりも時間がかかることがあります。
- ただし、再治療のリスクを減らせるため、トータルで見ると治療期間が短くなる場合もあります。
- 導入している歯科医院が限られる
- マイクロスコープは高価な機器であり、導入している歯科医院はまだ多くありません。
- お住まいの地域によっては、マイクロスコープ治療を受けられる歯科医院を探すのが難しい場合があります。
マイクロスコープ治療の適応症例
マイクロスコープ治療は、以下のような様々なケースで有効です。
- 虫歯治療全般: 初期虫歯から、神経に近い虫歯、再治療まで、あらゆる虫歯治療に対応できます。
- 根管治療: 複雑な形状の根管の清掃、穿孔(パーフォレーション)の修復、破折器具の除去など。
- 歯周病治療: 歯周ポケット内の歯石除去、歯根面の滑沢化(ルートプレーニング)など。
- 審美歯科治療: 詰め物や被せ物の精密な形成・装着、歯肉の形成など。
- 外科処置: 歯根端切除術、歯周外科手術、インプラント手術など。
- その他: ひび割れ(クラック)の診断、歯の破折の診断など。
まとめ
この記事では、虫歯の再治療を繰り返してしまう原因と、その対策について詳しく解説してきました。
何度も虫歯治療を繰り返していると、「自分の歯はいつまでもつのだろう…」と不安になりますよね。 残念ながら、歯の治療回数には限界があり、治療を繰り返すほど歯は脆くなり、寿命が短くなってしまう可能性があります。
虫歯の再治療を繰り返す主な原因
- 不十分なプラークコントロール: 歯磨きやフロスの不足
- 食生活の乱れ: 糖分の過剰摂取、間食の習慣
- 詰め物・被せ物の劣化、隙間: 二次カリエスのリスク
- 歯ぎしり・食いしばり: 歯への過度な負担
- 唾液の減少: ドライマウス、加齢、薬の副作用など
- 定期検診を受けていない: 早期発見・早期治療の遅れ
虫歯の再発を防ぐための対策
- 正しい歯磨きとフロスの使い方をマスターする
- 食生活を見直す
- 詰め物・被せ物の定期的なチェック
- 歯ぎしり・食いしばり対策
- 唾液の分泌を促す
- フッ素塗布
- 定期検診を受ける
まずは、ご自身の生活習慣を見直し、できることから始めてみましょう。
- 歯ブラシやフロスを正しく使えているか、歯科医院でチェックしてもらう
- 甘い飲み物や間食を控える
- 3ヶ月〜半年に1回、歯科医院で定期検診を受ける
これらの小さな積み重ねが、あなたの歯の健康を守り、将来の不安を解消することにつながります。
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