矯正治療で検討すべき内容|ハイブリッド矯正について

矯正治療にを検討する場合にはどの種類にするべきか、自分に当てはまるのか、予算はどうかなど考える事が多いと思います。当院での矯正についての方法について触れながら、考える一つの指標にして頂ければ幸いです。

目次

歯並びを綺麗にする難しさ

歯並びを綺麗にしたい。と一言で言うのは簡単ですが、人が違えば好みも違うように、綺麗と感じる部分にも違いがあります。

笑った時にどの程度歯が見えると綺麗に感じるのか、歯の位置はどこに並ぶと綺麗に見えるのか。
その人その人の顔のバランスに合わせて位置を探す必要があります。

どのような理由で矯正を考えているのか。これも人によって違います。

うまく噛めていないから歯を動かしてしっかり噛めるようにしたいのか、前歯の段差が気になっていて揃えたいのか。口ゴボが嫌で前歯を中に押し込みたいのか。好きな女優さんの歯並びに寄せたいなどの見た目の理由か。


理由も様々だと思います。

身長や体重、顔の大きさや骨の大きさ、硬さが皆違うように、歯に関しても人それぞれに個性があります。

・大人の歯の形や長さも人によって違う
・大人の歯の本数が元々少ない人がいる(乳歯が残っている)
・親知らずの歯が埋まっていて歯並びがズレている要因になっている
・虫歯が大きすぎて動かす事にリスクがある
・既にインプラントの治療がされていて動かせない
・噛み合わせが深くなってしまいブラケットなどの装置が適正な位置に付けられない
・顎の骨が上下で大きさが違う
・顎の位置が曲がったまま噛んでいる

これくらい個人差があり条件が違います。
そうなってくると当然、その方によってゴールも変わってきてしまうという事です。

そうすると、やはり患者さんの理想としている所と治療を行う側がそこまで出来るのかどうか。の擦り合わせが大切になってきます。

骨のある所に歯を並べる

ではどうしたら良いかという事ですが、歯は骨の中に埋まっているので、骨の中でしか動かせません。その範囲を大きく逸脱してしまうと根の周りの骨が薄くなり、歯茎が痩せてしまうなどのトラブルが起こる場合もあります。

大幅に位置を動かさないといけない場合はそういうリスクも増えてきますし期間も長くなります。少ししか動かさなくて良ければ期間も短くなりやすいというイメージです。

矯正を行う前の事前の検査を元に治療の流れを考え道筋を作る。先を見通す力が必要です

その方の現状がどの程度かを判断し、どのくらい動かすかを決める。そしてそれは患者さんの希望に沿っているか。この辺りで矯正治療としての介入具合を決めていく感じでしょうか。

患者さんの理想の見た目を伺い、表現出来る範囲なのかどうか、気にしている内容は改善出来る範囲なのか。

部分矯正で希望を満たせるのか、全体の矯正でないと難しいのか、装置は適切な位置に着けられるのか、どの程度の予算と時間をみられるのか。この辺りをしっかりと確認を行い、最適な内容の提案が必要となります。

先を見通す力

私の趣味は将棋なのですが、詰め将棋というものがあります。
詰将棋とは、盤上の駒を先手と後手が交互に動かして、相手の王将を詰ませる将棋の一種です。攻める側は王将に王手をかけ、守る側は王手をはずす必要があります。王将に逃げる道がなくなった時点で詰みとなり、将棋は終了します。

これが何手で詰みの局面まで至れるのか。そういう先を読む力が将棋には必要となっていて、普通の方だと3~5手も先を考えられれば十分だと思うのですが、これがプロの先生ともなると数十手先まで考えられているはずです。

矯正の治療も詰め将棋と似た部分があり、長い治療期間が必要になる事が多く、私はこの先を見通す力が必要だと考えています。

最初はまずここから、次はこうなって、最後の頃はこういう調整をして、最後はこうなります。終了した後も固定の期間があって…

このような流れの説明が出来ないと患者さんも不安になりますよね。この辺りがしっかり説明がある医院さんであれば安心して通えるのではないでしょうか。

事前検査のデジタル化

最近ではデジタルデータの連携がスムーズに行えるようになっており、口腔内スキャナーで撮影したデータと、レントゲンのCTの3次元画像をマッチングさせるとかなり細かい部分まで確認出来るようになって来ました。

口腔内スキャナーで撮影した歯並びデータ
口腔内スキャナーで撮影した歯並びデータ

歯の裂孔の具合までしっかりと確認が出来ます。矯正のカウンセリングに使用しますが、もちろん一般的な虫歯治療や審美治療の相談への用途にも使えます。

スキャナーのデータを使用すると現状の噛み合わせの具合も確認出来る。
スキャナーのデータを使用すると現状の噛み合わせの具合も確認出来ます。

矯正の事前検査の際にそもそも何故歯並びがズレてきているのかを把握する事も大切です。歯ぎしりや食いしばりによって歯の表面が削れてきたりしていると全体の噛む面積が増えて力のよくかかる歯の位置が動いてきてしまう事も多いです。顎がまっすぐに開かず、左右非対称で噛んでいた結果歯並びがズレてきている方もいます。


デジタルデータ上だと、自動で咬合のデータを確認出来ますので、あくまでも指標の一つとはなりますが、分析する上では良い情報となります。

CTデータの撮影。口腔内スキャナーのデータとマッチングさせます。
CTデータの撮影。口腔内スキャナーのデータとマッチングさせます。

先程の口腔内スキャナーは口の中の表面のデータのみの分析となりますので、ここで3次元で見る事が出来るCTデータとマッチングさせます。


このデータがあれば、歯の中の状況もレントゲンのデータで確認が出来ますので、虫歯の確認や、根先病巣の確認も行う事が出来ます。


特に、親知らずの歯が埋まっている場合には矯正上抜歯が必要かどうか、抜ける位置に埋まっているのかどうかの判断もしやすくなりますので撮影が必要となります。

2つのデータを合わせると顎の骨と歯根の位置関係を確認出来ます。
2つのデータを合わせると顎の骨と歯根の位置関係を確認出来ます。

二つのデータを掛け合わせると、顎の骨のどの位置に歯があるのかを確認する事が出来ます。ここまで情報がないと判断出来ない事もあります。特に下顎前歯部の骨の幅は人によりとても薄い場合があり、厚みがなければ歯の位置も大きくは動かせない。という事になります。

歯根まで再現されると歯並びを並べる上でどこに無理が生じやすいかを把握しやすくなります。
歯根まで再現されると歯並びを並べる上でどこに無理が生じやすいかを把握しやすくなります。

歯の形が人それぞれに個性があるように、根の長さや幅、曲がり具合なども個人差があります。


当然シュミレーションになるので、このデータ上での表現がそのまま出来ない事もあります。ただ、データ上で、なるべく動きやすいように、より現実的に並びやすい位置に目標の設定を行う事は出来ます。

根と根がぶつかってしまえば当然現実の歯は動かなくなります。


事前のシュミレーションで、難しい要素を出来る限り排除しておく事が大切になってきます。

そのようにしておくと実際の歯の動きも伴ってきやすくなり、トラブルを減らせたり、起こりうる問題を事前に予想をしやすくなります。

骨と歯の状況を見て、マウスピースの方が向いているのか、ワイヤーの方が向いているのか、またはどちらも使用した方が良いのか、順番はどのように進めれば良いか。この辺りの判断が出来るのが理想的だと考えています。

歯茎までのデータだと歯根の角度までは分からないので簡易的な矯正内容までにしています。
歯茎までのデータだと歯根の角度までは分からないので簡易的な矯正内容までにしています。

状況によって、表面だけのデータで矯正治療を行う事もありますが、比較して頂くと事前に確認出来る情報の量に差がある事はお分かり頂けるかなと思います。

機能的な歪みの改善

噛み合う位置が変わると、顎の角度や関節部の緊張具合が変化してくることがあります。もともと顎が曲がった位置で噛んでしまっている方の場合は、矯正治療によって顎の位置が正常の方向に誘導される事も多いです。

逆に歯並びが綺麗になっても顎の歪みが残っていると最後の噛み合わせの位置調整がなかなかまとまらないという状況になってしまう場合もあります。

矯正治療を行う際は、なるべく身体の歪みをなくす、左右対象になるように意識して姿勢をとる、口が真っ直ぐ開けられるように努力をする。などの意識も必要です。

場合によっては腰〜首までの歪みを改善すると顎関節部の歪みも解消してくる事もあり、顎の歪みの改善には全身を診て改善を試みないといけない場合もあります。

現状でどの程度歪んでいるかでアプローチの仕方も変わってきますので、事前の診断が必要となります。

ワイヤーとマウスピース矯正どちらが良いのか

どちらにも得意な所、不得意な所がある為、自身の矯正に対して向いているのかどうかを確認する必要があります。

ワイヤー矯正を希望しているけど、可能なのか、マウスピース矯正を希望しているけれど可能なのか。この辺りを事前相談の段階でお話し出来ると良いと思います。

気になっている部位が前歯だけで、奥歯のずれがほとんどなければ部分矯正で治療が可能な場合もあり、ワイヤーの方が期間が短い可能性もあります。

極力目立ちにくく矯正を進めたい場合はマウスピースの方が良いでしょう。また、急な転勤や引っ越しを余儀なくされた場合にでも、マウスピース矯正であればご自身で進めていただく事も可能となるのでリスクを分散出来る場合もあります。

どちらも組み合わせる。というやり方もあります。

手間は増えてしまうのですが、お互いの欠点を補えますので、治療が順調に進む可能性が高くなります。

当院では患者さんのご希望を聞いた上で、無理なく進められる治療内容をご提案するようにしています。

事前に治療期間の目安や費用、今後の進行のイメージなどをお伝えしています。

1.ハイブリッド矯正とは?

ハイブリッド矯正とは、ワイヤー矯正とマウスピース矯正の2つの治療法を組み合わせた矯正方法です。

通常、ワイヤー矯正はブラケットを歯に接着させ、ワイヤーを用いて強い力で歯を動かします。マウスピース矯正は取り外し可能な透明のアライナーを使用し、目立ちにくく歯を少しずつ動かす方法です。

ハイブリッド矯正では、これら2つの矯正方法を踏まえ、患者さんの希望に応じて柔軟に治療を行います。

例えば、前歯の目立つ部位には目立たないマウスピース矯正を採用し、奥歯など見えにくい部分には先にワイヤー矯正を行ったり、結婚式直前までは全体のワイヤーで、式の際にはマウスピースに切り替えておいて目立ちにくい状況で結婚式を行い、その後はマウスピースにて矯正を進めるなどの対応を行えます。

当院では患者さんに喜んで頂きたいという気持ちと、仕上げの歯並びをなるべく綺麗に揃えたいという気持ちと、患者さんと当院とでのリスク管理の部分も含めてほとんどのプランをハイブリッド矯正での提供をしています。

2. ハイブリッド矯正のメリット

ハイブリッド矯正は、次のような多くのメリットがあります。

2.1 見た目を気にせず矯正しやすい

特に前歯部分で裏側ワイヤーやマウスピース矯正を使用する場合、矯正の中でも目立ちにくく進めることが出来ます。噛み合わせによって向き不向きがあるので事前の検査が必要です。

2.2 矯正期間の短縮の可能性

ワイヤー矯正とマウスピース矯正の得意としている部分を組み合わせる事で、どちらかのみで矯正を行う場合よりも矯正の全体の期間を短縮出来る可能性があります。

2.3 個人の患者に合わせたカスタマイズ治療

患者さん一人一人の歯並びや希望に合わせて、最適な治療法を選択できるがハイブリッド矯正の強みです。例えば、特定の歯並びに対してマウスピースが適している場合もあれば、ワイヤーを使用する方が適切なケースもあります。 柔軟な組み合わせによって、患者さんにとって最も負担の少ない方法で矯正が可能です。

2.4 トラブル時の治療フォローが行いやすい

例えばワイヤー矯正を続けているが器具が痛くて辛い、歯磨きが難しくて虫歯が心配な場合、最後の調整がなかなか上手くいかない場合などに、マウスピースに切り替える事で動かし方が変わるのでスムーズに行くケースもあります。

ワイヤー期間も自然と短くなる為、ブラケットの周りに汚れが付いたままで虫歯になってしまうというリスク回避にもなります。

マウスピース矯正を始めたものの、仕事の最中はどうしても外す必要があり、適切な装着時間が守れなかったり、途中でモチベーションが下がってしまい、マウスピース矯正を続けられなくなってしまった場合などにはワイヤーに切り替えられた方が良い場合もあります。

矯正は期間が長い治療となる為、急な引っ越しや転勤になってしまった際にはワイヤー矯正で進めるよりはマウスピース矯正に切り替えられた方が、引越し先で矯正治療を継続できる為メリットになります。

また、当院ではオンライン診療にも対応していますので、海外移住された際などにもウェブ上での確認や相談も行わせて頂いております。(アタッチメントの脱離やゴム掛け用のボタンの脱離などは直接歯を触れないと出来ない為、その場合は進め方を相談いたします)

3. ハイブリッド矯正のデメリット

ハイブリッド矯正にはデメリットもあります。

3.1 管理が難しい

特にマウスピース矯正のタイミングでは、患者様自身での取り外しや管理が必要です。 マウスピースを適切な時間装着しないと、想定されていた位置に歯が動かない可能性が高くなります。 ワイヤー矯正とは異なり、より自己管理が求められる点に注意が必要です。

マウスピース矯正では一つのマウスピースを10~14日程度で新しい物に交換していく必要があり、カレンダーや手帳などで日数管理を行う必要もあります。


ワイヤー矯正中の場合は、ブラケット周りの汚れをしっかりと落とさないと虫歯や歯周病の原因となる場合があります。また、ブラケット周りの汚れがついたままだとセメントが劣化し、ブラケットが外れやすくなってしまうこともあります。噛む力でワイヤーが外れてしまうような場合もあります。

3.2 手順が多い

ワイヤーから始めた場合、一度装置を外してマウスピースの内容に切り替えなければなりません。マウスピースから始めた場合でも、途中でワイヤーを組み込む必要があり、手間がかかる場合があります。

状況が変わるため、患者さん側も慣れる必要があります。

4. ハイブリッド矯正の治療の流れ

4.1 カウンセリング、検査

診断の結果、ハイブリッド矯正が最適な治療法であると判断された場合、具体的な治療計画を立てます。この段階で、費用や治療期間についても説明があります。手順に関しても、ワイヤーが先が向いている場合もあればマウスピースが先の方が向いている場合もあり、患者さんのご希望を伺った上で最適な治療の順番を決める必要があります。

4.2 矯正器具の作成

次にマウスピースやワイヤーの矯正器具を準備します。マウスピース矯正は患者さんに合わせたオーダーメイドの透明なアライナーを使用しますが、ワイヤー矯正はブラケットとアーチワイヤーを使用します。検査次第ですが、それぞれ数週間〜1ヶ月程度かかる場合あります。

4.3 治療開始

準備が出来てから治療を開始します。 まずはワイヤー矯正やマウスピース矯正の装着を行い、患者さんへの装着方法や注意点を説明します。 特にマウスピースの部分は、1日に20時間以上の装着が必要です。

4.4 矯正中

定期的に歯科医院での治療が必要です。ほとんどのケースでは3週間〜1ヶ月に1度程度の来院が必要となります。ワイヤーの調整やマウスピースの具合を診て、計画通り進んでいるかを確認します。治療の進行状況に応じて相談をしながら柔軟に進めていきます。

4.5 固定期間

歯が理想の位置に動いた後は、保存期間に入ります。ワイヤー固定やマウスピース固定など、いくつか種類があり、医院によって異なってきます。当院ではマウスピース型の固定装置をメインに使用しています。

4.6 定期検診

歯の固さや噛み合わせの確認を行い、大きく後戻りなどが起こっていないかを確認を行います。リテーナーが割れてしまっている場合などは作り直しが必要となったり、後戻りが大きい場合には再度矯正治療を行うかどうかの相談が必要となる場合があります。

5. まとめ

矯正治療を検討する場合、いろいろな手段があり医院によってやり方は様々ですので、何ヶ所かカウンセリングに行き、自分の希望に沿って治療を行ってもらえる医院で決められるのが良いかと思います。

また、通院も長期になる可能性もある為、通える範囲内で検討された方が良いでしょう。

遠くからの通院の場合、医院側も来院回数を減らせるような工夫を行うべきですし、治療の進め方のすり合わせを早い段階から行なった方が良いかと思います。

当院では難易度の高い矯正治療では専門医の先生と相談をしながら事前の診査、診断も行っております。

当院の強みとしては中等度の難易度までの親知らずの抜歯、矯正治療から噛み合わせ、虫歯の治療やホワイトニング、セラミック治療などを一貫して行える環境を整えていますので、全体を見通しやすいかと思います。ご興味がありましたらカウンセリングにてお待ちしております。

全体矯正を検討している方は事前に矯正のシュミレーションのみをお作りし全体像を確認してから治療を始めるかを決めて頂く。ということにも対応しております。(精密検査にて)

少しでも矯正治療を検討している方の参考になっていれば幸いです。

治療のご予約はこちらより24時間行えます。キャンセルもWeb予約より行えます。

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御茶ノ水つばめ歯科・矯正歯科
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Hasegawa
御茶ノ水つばめ歯科・矯正歯科 院長
御茶ノ水駅と神保町駅の間の場所で歯科医院を経営しています。歯の治療でお困りの方向けに情報を発信しておりますので、参考になれば幸いです。
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