「あっ!歯が欠けた!」
突然の出来事に、驚きと不安でいっぱいになりますよね。
鏡を見てみると、そこには見慣れない自分の歯の姿が…。
「どうしよう…」「歯磨きってしていいの?」「この後どうなるんだろう?」
そんな疑問や不安を解消するために、この記事では、歯が欠けた時の応急処置から注意点、そして治療法までをわかりやすく解説していきます。
まずは落ち着いて、深呼吸。
この記事を読めば、きっと不安な気持ちが和らぎ、適切な対応をとることができるはずです。
どのように欠けたのかを把握する
歯が欠けてしまったとのこと、大変不安な思いをされているかと思います。状況を詳しく把握し、適切な対応をとるために、まずは欠けた状況について詳しく把握することが大切です。
- どの歯が欠けましたか?(前歯、奥歯、上の歯、下の歯など)
- どのように欠けましたか?(硬いものを噛んだ、転倒した、ぶつけたなど)
- どの程度欠けましたか?(少し欠けた、半分欠けた、根元から折れたなど)
- 痛みはありますか?(ズキズキする、しみる、何も感じないなど)
- 出血はありますか?
- 欠けた歯はありますか?
これらの情報があると、より的確に対応をすることが出来ます。
歯が欠けたときの応急処置
歯が欠けたときの応急処置は、一刻も早く適切な処置を行うことが大切です。 状況別に、より詳細な応急処置の方法を解説します。
1. 口の中をすすぐ
- 目的: 口の中の血や汚れを洗い流し、清潔な状態を保つために行います。
- 方法:
- ぬるま湯か水(できれば生理食塩水)を口に含み、優しくすすぎます。
- この時、強くうがいをすると、傷口を広げたり、欠けた歯のかけらを飲み込んでしまう可能性があるので注意してください。
- 1~2分程度、丁寧にすすぎましょう。
- 補足: 口の中を清潔に保つことで、感染症のリスクを減らすことができます。
2. 出血がある場合
- 目的: 出血を止め、感染症を防ぐために行います。
- 方法:
- 清潔なガーゼやティッシュペーパーを患部に当て、10~15分ほど軽く圧迫します。
- 圧迫する際は、強く押し付けすぎないように注意してください。
- それでも出血が止まらない場合は、すぐに歯科医院を受診してください。
- 補足:
- 血が止まらない場合は、ガーゼなどを交換しながら圧迫を続けましょう。
- 唾液には止血作用があるので、飲み込まずに口の中に溜めておくのも効果的です。
3. 痛みがある場合
- 目的: 痛みを和らげ、患部を保護するために行います。
- 方法:
- 市販の鎮痛剤(アセトアミノフェン、イブプロフェンなど)を用法・用量を守って服用します。
- 歯茎に直接塗るタイプの鎮痛剤は、刺激が強いため使用を控えましょう。
- 痛みがある場合は、患部を冷やすのも効果的です。氷水を入れた袋などをタオルで包み、患部に10~15分程度当ててください。
- 冷やしすぎると凍傷を起こす可能性があるので、注意してください。
- 補足:
- 痛みは、歯の神経が露出している場合や、歯茎が炎症を起こしている場合に強くなります。
- 痛みが強い場合は、早めに歯科医院を受診しましょう。
4. 欠けた歯を保管
- 目的: 欠けた歯を歯科医院に持っていくことで、再接着できる可能性があります。
- 方法:
- 欠けた歯が見つかった場合は、決して捨てずに保管してください。
- 最適な保存方法は、牛乳や生理食塩水に浸すことです。これにより、歯の細胞が長持ちします。
- 水道水は歯の細胞を傷つける可能性があるので避けましょう。
- 保存液がない場合は、口の中に含んでおくのも一つの方法です。ただし、誤って飲み込んでしまわないように注意してください。
- 欠けた歯をティッシュペーパーなどで包んで、濡らした状態で保管するのも良いでしょう。
- 補足:
- 欠けた歯が汚れている場合は、軽く水洗いしてから保管しましょう。
- 欠けた歯を乾燥させると、再接着が難しくなる可能性があります。
5. できるだけ早く歯科医院を受診する
- 目的: 適切な治療を受け、歯の機能を回復させるために行います。
- 方法:
- 応急処置をした後、できるだけ早く歯科医院を受診しましょう。
- 歯科医師に、欠けた状況や痛み、出血の有無、欠けた歯の保管状況などを伝え、適切な治療法について相談してください。
- 補足:
- 早期に治療を受けることで、歯の機能を回復できる可能性が高くなります。
- 治療法は、欠けた歯の状態や範囲によって異なります。
その他
- 欠けた部分を触らない: 汚れた手で触ると、細菌感染を起こす可能性があります。
- 硬いものは食べない: 欠けた歯や周りの歯に負担をかけないように、硬いものは避け、柔らかいものを食べましょう。
- 熱いものや冷たいものは避ける: 知覚過敏を起こしやすくなっているので、極端に熱いものや冷たいものは避けましょう。
- 刺激物は避ける: アルコールや香辛料など、刺激の強いものは避けましょう。
- 歯磨きは優しく: 歯磨きをする際は、欠けた部分の歯茎を傷つけないように、柔らかい歯ブラシを使用し、優しく丁寧に磨きしましょう。
欠けた歯の治療法について
歯が欠けた際の治療法は、その状態によって様々です。 ここでは、それぞれの治療法について、具体的なケースも交えてご紹介します。
1. レジン充填
- どんな欠け方に有効?
- 歯の先端が少し欠けた、エナメル質に小さなヒビが入った、といった軽度の欠けに有効です。
- 特に、前歯など目立つ部分の小さな欠けの治療に適しています。
- 治療方法
- 歯の表面をきれいに清掃し、必要であれば少し削って形を整えます。
- 歯の色に合わせたレジン(歯科用プラスチック)を選びます。
- レジンを欠けた部分に丁寧に盛り付け、光を当てて硬化させます。
- 形を整え、研磨して完成です。
- メリット
- 治療が1回で終わる場合が多いので、通院の手間が少ないです。
- 比較的費用が安く、健康保険が適用される場合もあります。
- 歯を削る量が最小限で済むので、歯への負担が少ないです。
- デメリット
- 強度がそれほど高くないため、欠けたり摩耗したりしやすいです。
- コーヒーやタバコのヤニなどで変色しやすいです。
- 大きな欠けには対応できません。
- 具体的なケース
- 例えば、前歯を軽くぶつけて先端が欠けてしまった場合、レジン充填で自然な形に修復できます。
2. インレー
- どんな欠け方に有効?
- 中程度の欠け、例えば、
- 奥歯の噛み合わせ面が大きく欠けた
- 虫歯が進行して歯に穴が開いた
- レジン充填では対応できないほどの大きさの欠け
- などに有効です。
- 中程度の欠け、例えば、
- 治療方法
- 虫歯などがある場合は、その部分を削り取ります。
- 欠けた部分の型を取り、その型に合わせてセラミックや金合金などでインレーを作製します。
- 約1~2週間後に完成したインレーを歯に接着します。
- メリット
- レジンよりも強度が高く、耐久性に優れているため、長持ちします。
- セラミック製のインレーは、色調や形態を天然歯に近づけることができるので、審美性に優れています。
- 金合金製のインレーは、強度と耐久性に非常に優れており、奥歯の治療に適しています。
- デメリット
- レジン充填よりも費用が高いです。
- 治療に複数回かかる場合があり、通院の手間がかかります。
- 具体的なケース
- 例えば、奥歯の噛み合わせ面が大きく欠けてしまった場合、セラミックインレーで自然な形と色を再現できます。
3. クラウン
- どんな欠け方に有効?
- 歯の大部分が欠けてしまった、歯の根っこだけが残っている、といった重度の欠けに有効です。
- 根管治療後にも用いられます。
- 治療方法
- 歯を削り、形を整えます。
- 歯の型を取り、その型に合わせてセラミックや金属などでクラウン(被せ物)を作製します。
- 約1~2週間後に完成したクラウンを歯に接着します。
- メリット
- 歯全体を覆うため、強度が非常に高いです。
- 色調や形態を天然歯に近づけることができるので、審美性に優れています。
- 噛み合わせの改善にも有効です。
- デメリット
- インレーよりも費用が高いです。
- 健康な歯を削る必要があります。
- 具体的なケース
- 例えば、歯が縦に割れてしまった場合や、虫歯が大きく進行して歯質がほとんど残っていない場合、クラウンを被せて歯全体を保護します。
4. 抜歯
- どんな欠け方に有効?
- 歯の根元から折れてしまった
- 歯の破折がひどい
- 歯周病が進行し、歯を支える骨が大きく失われている
- などの場合に、抜歯が必要となることがあります。
- 治療方法
- 局所麻酔をして、歯を抜きます。
- 抜歯後、必要に応じてブリッジ、入れ歯、インプラントなどで歯を補います。
- メリット
- 感染や炎症のリスクを取り除くことができます。
- 他の歯を守ることにつながります。
- デメリット
- 自分の歯を失ってしまう
- ブリッジやインプラントなどの治療が必要になる場合があり、費用や期間がかかります。
- 具体的なケース
- 例えば、交通事故などで歯が根元から折れてしまい、保存が不可能な場合、抜歯を選択することがあります。
その他
- どの治療法が最適かは、歯科医師が患者の口腔内の状態、ライフスタイル、予算などを考慮して判断します。
- 費用や治療期間なども考慮し、歯科医師とよく相談して治療法を決定しましょう。
- セラミック、金合金、ジルコニアなど、素材によっても費用や特徴が異なります。
歯が欠ける原因について
歯は、人体で最も硬い組織ですが、それでも強い力や長年の負担によって欠けてしまうことがあります。
歯が欠ける原因は大きく分けて以下の3つに分類できます。
1. 物理的な力によるもの
- 硬いものを噛む
- 飴玉、氷、ナッツ、フランスパンの皮など、硬いものを噛むことで歯に過度な力が加わり、欠けることがあります。
- 特に、歯の先端や詰め物が欠けやすいです。
- 歯ぎしり・食いしばり
- 寝ている間の歯ぎしりや、日中の食いしばりによって、歯に大きな負担がかかり、欠けることがあります。
- 自分の体重の2~3倍の力が歯にかかるとも言われており、気づかないうちに歯を傷つけている可能性があります。
- 奥歯が欠けたり、歯にヒビが入ったりすることがあります。
- 外傷
- 転倒、スポーツ中の接触、交通事故など、外部からの衝撃によって歯が欠けることがあります。
- 前歯が欠けたり、折れたりすることが多いです。
2. 歯の構造・状態によるもの
- 虫歯
- 虫歯によって歯質が脆くなり、欠けやすくなります。
- 特に、虫歯が進行して歯の内部が大きく削られている場合は、注意が必要です。
- 加齢
- 年齢を重ねるにつれて、歯の表面のエナメル質が薄くなり、歯質も脆くなるため、欠けやすくなります。
- 歯の形成不全
- 生まれつき歯の質が弱かったり、形が異常だったりする場合、欠けやすいことがあります。
3. 化学的な要因によるもの
- 酸蝕歯
- 酸性の飲食物(柑橘系のジュース、炭酸飲料、ワインなど)の摂取により、歯の表面が溶けて脆くなり、欠けやすくなることがあります。
- これを「酸蝕歯」といいます。
その他
- 金属疲労
- 古い金属製の詰め物や被せ物は、長年の使用で金属疲労を起こし、破損することがあります。
- 歯の治療
- 歯の治療(特に神経の治療)を受けた歯は、健康な歯に比べて脆くなり、欠けやすくなることがあります。
予防策
- 硬いものはなるべく避け、注意して噛むようにしましょう。
- 歯ぎしりや食いしばりの癖がある場合は、マウスピースを着用するなどして予防しましょう。
- 定期的な歯科検診を受け、虫歯を早期に治療しましょう。
- 酸性の飲食物を摂取した後は、水で口をすすいだり、ガムを噛んだりして、口の中を中和しましょう。
- スポーツをする際は、マウスガードを着用して歯を守りましょう。
歯が欠けた時は歯磨きをしても大丈夫ですか?
歯が欠けた時は、基本的には歯磨きをしても大丈夫です。むしろ、口の中を清潔に保つために歯磨きは重要です。ただし、いくつか注意すべき点があります。
歯磨きをする際の注意点
- 欠けた部分の歯茎を傷つけない
- 欠けた部分は歯茎が露出している場合があり、敏感になっています。
- 強くこすったり、硬い歯ブラシを使用すると、歯茎を傷つけてしまう可能性があります。
- 柔らかい歯ブラシを使用し、優しく丁寧に磨くようにしましょう。
- 歯磨き粉は研磨剤の少ないものを使う
- 研磨剤の多い歯磨き粉は、欠けた部分をさらに削ってしまう可能性があります。
- 研磨剤の少ないもの、もしくは研磨剤が入っていないものを使用しましょう。
- 歯間ブラシやデンタルフロスは慎重に
- 歯間ブラシやデンタルフロスを使用する際は、欠けた部分に引っかからないように注意しましょう。
- 無理に使うと、歯茎を傷つけたり、欠けた部分をさらに悪化させる可能性があります。
その他
- 痛みがある場合は、無理に歯磨きをしない
- 痛みがある場合は、歯科医院を受診するまで歯磨きを控えても構いません。
- その場合は、うがいなどで口の中を清潔に保つようにしましょう。
- 出血がある場合は、止血してから歯磨きをする
- 出血がある場合は、清潔なガーゼなどで患部を圧迫して止血してから歯磨きをしましょう。
まとめ
いかがでしたか?
歯が欠けたときは、本当にびっくりしますよね。
でも、落ち着いてこの記事で紹介した応急処置と注意点を参考にすれば、きっと大丈夫。
大切なのは、ご自身の状況を把握し、適切な処置をとること、そして、できるだけ早く歯科医院を受診することです。
歯は、一生付き合っていく大切な体の一部です。
正しい知識と適切なケアで、いつまでも健康な歯を保ちましょう。
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